
聞きながら・・・・よろしく♡
この曲を唄うと思い出す・・・
あの子には青が似合っていたわ

いつの時だったかしら
たしかロンドンでオリンピックがあった時だったわ
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
いつものライブハウスで唄う歌が どうしても頭に入らない
こんなこと今まで 無かったのに
いろいろなことが 周りに起きているから 頭の中が整理できていない
無意識に駅の反対側の公園に向かっていた
木々の緑が濃くなってきた 薄曇りの平日
人はまばら 工事中の味気ないビニールカバーの先
前日の雨でぬかった道を気にしながら
食べ過ぎで巨大化した鯉のいる池に掛かった橋を渡り
横道から少し外れたところにある 屋根のあるベンチ・・
道からはずれた分 人目を気にしなくていい お気に入りの場所
あっ 残念 先客がいるわ
まぁジョギング中の休憩でしょう
健康志向とは真逆の私 道からそれている分 立ったままタバコに火をつける
ホラホラ健康志向者は、離れていくはず ちょっと後ろめたいけどね
キャップを目深に被った その男性? 男の子?女の子?
あぁ ヒゲがあるわ
『あの~ ライター持ってます?』
『エッ? あ どうぞ』
タバコを挟んだ指のきれいなこと・・・
昔 惚れた男のきれいな手をふと思い出す
健康志向のランナーじゃないことにホッとして
2本目のタバコに火をつける
私が気づかず落としたらしい譜面を手にとり
『ジャズ 唄ってるんですか?』
『なんで わかるの?』
『いえ 書き込みがあるから・・ごめんなさい』
いいのよ 謝ることないって それが頭に入らないのよ
『なかなか おぼえられなくてねぇ~新しい曲は』
『へぇ~やっぱ 歌手なんだ ククク』
笑わないでよ しがない ジャズシンガーなんだから
いつの間にか その屋根付きベンチに並んで座りながら
池の鯉がデカ過ぎるだの 駅からの道の焼き鳥屋のケムリが
昼間っから飲みたくなるなど どうでもいい話をし合う
クククと笑う声に愛嬌があって はすっぱな口調の私とは大違いの
穏やかな話し方
『コーヒー飲みたくなっちゃった 腹も減ったし』
『ちょっと先に美味しいアイスコーヒー淹れるお店あるのよ
たしか カレーもあったわよ』
『エッホント いいなぁ どこ』
『行く?』
『エッ いいの?』
同時に立ち上がったら 差ほど背の違いはなかった
下向き加減で 私にピタッとくっついて歩き始める
初対面でも何故か違和感を感じさせない 何か不思議な子だった