「ツーリスト」★映画のMIKATA【⑳】ドナースマルク監督★映画をMITAKA… | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

◆映画情報
上映時間 103分/製作国 アメリカ/フランス/公開情報 劇場公開(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)/初公開年月 2011/03/05/


オフィシャル・サイト
http://www.tourist-movie.jp/

予告編映像を楽しみたい方は、ここをクリックしてください。

http://www.youtube.com/embed/kFtoVoyJQfo

◆スタッフ
監督: フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク/製作: グレアム・キング/ティム・ヘディントン、ロジャー・バーンバウム、ゲイリー・バーバー、ジョナサン・グリックマン/製作総指揮: ロイド・フィリップス、バーマン・ナラギ、オリヴィエ・クールソン、ロン・ハルパーン/脚本: フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナー/マルククリストファー・マッカリー/ジュリアン・フェロウズ/オリジナル脚本: ジェローム・サル/撮影: ジョン・シール、ロダクション/デザイン: ジョン・ハットマン/衣装デザイン: コリーン・アトウッド/編集: ジョー・ハッシング、パトリシア・ロンメル/音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード/

◆キャスト

アンジェリーナ・ジョリー= エリーズ・クリフトン・ワード/ ジョニー・デップ= フランク・トゥーペロ/ ポール・ベタニー= ジョン・アチソン警部/ ティモシー・ダルトン= ジョーンズ主任警部 / スティーヴン・バーコフ= レジナルド・ショー/ ルーファス・シーウェル= 英国人男性/



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M 9.0の東日本大震災で映画館も大きく揺らぎ館内点検のため11日以来ずっと休館が続き、さらにその後の福島原発のトラブルによって、「計画停電」が始まり休館が延びていました。今現在だけでも、死者・不明者だけで2万7000人を超える大災害です。


漸く震災による東北地方壊滅の復興も、活発に動き始めました。義援金の輪も大きな広がりを見せています。ただ、福島原発の放射能漏れはなかなか収束されず、展望さえ見えません…。復旧に苦慮する東電は、フランス電力(EDF)や仏核燃料会社「アレバ」、仏原子力庁などに支援を要請したようです。東電は、とうとう原子力発電への制御技術と原子炉管理を完全に放棄したのだろうかな…。


東電と日本支援のためにフランスの企業と政府は、放射線防護服1万着、防護マスク3千個、放射線測定のための環境測定車両2台などを提供、放射能汚染の技術者を派遣したようです。フランスのサルコジ大統領も来日しました…。フランス人って、なんと善い人たちばかりなのでしょう…!。


国内海外でもいろいろな変化が起こっています。例年ならば花見で盛り上がる上野公園では、浮かれざわめく花見の春に石原都知事が自粛と「待った」をかけました。

各地で祭の開催が中止されています。日本の原発事故に対して、原発の危険性にようやく気付き、オバマ大統領のアメリカでも、欧州の原子力政策にも警戒と凍結が始まり、原子力エネルギーに「待った!」がかかりました。米軍の放射能被害管理の専門部隊「CBIRF」の部隊が約140人近くが日本に派遣させると言います。なんとアメリカ人は、ヒューマンで素敵な人たちなんでしょうか…!


しかし人間の心と同じく、政治にも社会事象にも裏と表があるものです。政治と社会の底流には、暗くどろどろした欲得と渦巻く陰謀と、狡猾な策略と逆転ドラマが蠢いています…!まるで映画の「ツーリスト」のように。


身近な映画館の休館も解禁されたので、息抜きにここ一週間に4本の映画を見ました。そして、なんとか3月上旬の「特選映画」としてアップロードできました…。 3月の映画特選は4本で、1本目は、「漫才ギャング」(品川ヒロシ監督)。2本目は第83回アカデミー賞の助演男優、助演女優賞を受賞した「ザ・ファイター」( デヴィッド・O・ラッセル監督)。3本目は、「ツーリスト」( フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナー監督)。4本目は「SP革命編」( 波多野貴文監督)です。私は今回ベスト特選映画に、この「ツーリスト」を挙げます。ベター映画は「漫才ギャンぐ」を推します。映画には、映画でなければ表現できない映像とストーリと舞台があります。


流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


1本目の★★「漫才ギャング」は、『ドロップ』で監督デビューした品川ヒロシの監督作品の第2弾です。漫才コンビの飛夫(佐藤隆太)は、相方の石井保(綾部祐二)からコンビ解散を告げられ、ヤケ酒を飲んだ末に、目覚めたら留置場に入ってた。そこで喧嘩ばかりする不良の龍平(上地雄輔)を新しい相方に選ぶ。笑いの要素「ボケ」と「ツッコミ」を、こんな風に≪漫才映画≫にまで仕上げたストーリは、今までなかった斬新な映像です。劇中の二人の舞台はまるで寄席で漫才を見ているようで本当に面白かったです。


ただ品川ヒロシは、自伝的独白の映像、或いは自分のお笑いの世界から離れた世界をどのように表現できるのだろうか…?第3作目には、彼のよりフィクショナルな独自の映像的表現が楽しみです。


・2本目の「ザ・ファイト」は、今年のアカデミー賞では助演男優賞にクリスチャン・ベイル(主人公ミッキー・ウォードの異母兄弟のディッキー役)が、助演女優賞にメリッサ・レオ(ミッキー・ウォードの母親アリス役)が受賞したオスカー作品です。


ポピラーなボクシング映画は数々あります。1976年第49回アカデミー作品賞である「ロッキー」(ジョン・G・アヴィルドセン監督、シルベスター・スタローンが脚本)も、1999年の「ザ・ハリケーン」(ノーマン・ジュイソン監督。脚本はダン・ゴードン)も、2005年の「ミリオンダラー・ベイビー」(クリント・イーストウッド監督脚本)もありました。しかし、私には、依然、ハングリーなスポーツ映画としても「ザ・ハリケーン」は最高の作品でした。これらのボクシング映画から「ザ・ファイト」を見たときに、「ザ・ファイト」のどこに魅力が在るのか分からず、遜色を感じました。


・3本目の「ツーリスト」は、今やハリウッドを代表するアクションも出来る女優アンジェリーナ・ジョリーと、さまざまなキャラクターを演じるやはりハリウッドでの人気スタージョニー・デップが、初共演した映画です。面白くないわけがありません。


水の都「ヴェネチア」を訪れたアメリカ人旅行者フランクが、犯罪のにおいのする謎の美女エリーズに騙され弄ばれ、マフィアの絡む巨大な事件に巻き込まれていくというストーリですが、最後の最後に人間の心と社会の裏と表、陰謀と策略のどんでん返しがあります…。これは見てのお楽しみにしておきます。


「ツーリスト」は、観光案内の映画ではありませんが、パリ・リヨン駅、べネチア・サンタルチア駅行の列車で起こる二人の出会いは、なんともミステリアスでロマンティックな雰囲気がムンムンします。犯罪がこんなにお洒落で美しい風景の舞台で描かれるなんて、純粋なアメリカ映画とはまた一味違ってます。


二人の共通点は、ネイティブなアメリカインディアンの血を引いていることだろうか。アンジェリーナ・ジョリーは、インディアン部族のイロコイ族の血をひく母を持ち、一方、ジョニー・デップですが、母方の曽祖父母はチェロキー族であった。二人の野生的な魅力はこの辺りにあるのかもしれません。


アンジェリーナ・ジョリーは単独インタビューでこの映画のロケ先の感想をこう答えています。

Q:『ツーリスト』でのベニスロケはいかがでしたか?

素晴らしかったです。いつものように家族全員で行ったので、大運河の見えるすてきな家に滞在したんです。子どもたちもすっかり慣れて、よくボートの上で宿題をやっていました。また、家庭教師の先生と一緒に船で運河巡りをしながら宿題をすることもありました。イタリア語の先生にもついていたので、楽しかったです。それに素晴らしい美術館もたくさんあるので、芸術鑑賞もたっぷり楽しめましたと。


夫はご存知の通り俳優ブラッド・ピットで、彼女は慈善活動を積極的にしています。カンボジア人の男児一人、エチオピア人の女児一人、ベトナム人の男児一人を養子に引き取り、2006年には、ブラッド・ピットの娘シャイロ・ヌーベルを出産、2008年には、ノックス・レオンとヴィヴィアン・マーシェリンの男女の双子を出産しています。そんな六人の子供たちの母親をしながら女優を続けています…。そのバイタリティーと女としての魅力は、今までのハリウッド女優の誰とも比較できない輝きを放っています。


・4本目の「SP革命編」は、脚本を金城一紀が書いています。私は『GO』を読んで以来、在日朝鮮人であることの激しい心の内面をここまで書ける作家は少ないなーと思い、彼の読者であったのですが、なかなか新しい小説を書かないので不思議でした。ドラマの脚本を書いていたのですね…。


ストーリは、国会議事堂の議場をテロリストが占拠して、汚職賄賂企業献金などの黒いお金にまみれた議員の犯罪を暴くために、一つ一つテレビカメラの前で拳銃を突きつけながら贖罪させる政治ドラマです。映画は妙に緊迫感と、テンポの速いストーリ展開でした。


出演は、警視庁警備部警護課第四係のチーフ、テロ事件の首謀者である尾形役の堤真一と、警備役の面々、井上薫を演じている岡田准一と真木よう子 (笹本絵里役)、国会議員伊達國男を演じている香川照之の存在が大きいです。どうやら「ファイナル」の続編がありそうなので、私としてはややおどけた演技もする真木よう子、しかし何かいわくありげな彼女の過去を絡ませて、もう少し彼女の魅力をクローズアップしたストーリをお願いしたいです。



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