「エクスペンダブル」★映画のMIKATA【28】 シルヴェスター・スタ監督★映画をMITAKA… | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

◆スタッフ
監督: シルヴェスター・スタローン /製作: アヴィ・ラーナー 、ジョン・トンプソン、ケヴィン・キング・テンプルトン/ 製作総指揮: ダニー・ディムボート、ボアズ・デヴィッドソン、トレヴァー・ショート、レス・ウェルドン/原案: デヴィッド・キャラハム/脚本: シルヴェスター・スタローン、デヴィッド・キャラハム/撮影: ジェフリー・キンボール/プロダクションデザイン: フランコ=ジャコモ・カルボーネ/衣装デザイン: リズ・ウォルフ/編集: ケン・ブラックウェル、ポール・ハーブ/音楽: ブライアン・タイラー /

◆キャスト
シルヴェスター・スタローン= バーニー・ロス/ジェイソン・ステイサム =リー・クリスマス/ジェット・リー =イン・ヤン /ミッキー・ローク= ツール/ドルフ・ラングレン =ガンナー・ヤンセン /エリック・ロバーツ= ジェームズ・モンロー/ランディ・クートゥア= トール・ロード/スティーヴ・オースティン= ダン・ペイン /デヴィッド・ザヤス= ガルザ将軍/ジゼル・イティエ= サンドラ/カリスマ・カーペンター= レイス/ゲイリー・ダニエルズ= ザ・ブリット /テリー・クルーズ= ヘイル・シーザー/ブルース・ウィリス= チャーチ/アーノルド・シュワルツェネッガー =トレンチ /

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・


10月下旬の映画特選をアップロードします。映画館で観賞した映画は6本でした。総評としては、これぞまさしく、特選映画の1本だ…という恒久の名作映画がなかったです。そう簡単に出現しないのですが、時代の声なき声をー、心の亀裂からフツフツと沸いてくる情念をー、時を突き抜ける永遠の形象をスクリーンに焼き付ける映像の神神しい光を肉眼に感じる作品がなかったです。


さて、1本目の映画は「エクスペンダブル」(シルヴェスター・スタローン監督)です。早速ですが私は今回、この映画をベスト特選映画に挙げます。2本目は「桜田門外の変」(佐藤純彌監督)。3本目は、「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」(中田秀夫監督)。4本目は「大奥」(金子文紀監督)、5本目は★★「SP野望篇」(原案・脚本:金城一紀、波多野貴文監督)で、これはベター特選映画です。6本目は「雷桜」(宇江佐真理原作、廣木隆一監督)。


冬枯れのような映画の収穫のない季節だなという感嘆だけが残りました。そんな時は暫くの間、邦画の名作でも発掘しよう…と思っています。これから洪水のように押し寄せる「お正月映画」を今、懸命に製作している野心的な監督と、破壊と再生と暗黒と希望を胸に秘めてプロデュースしていてる映画業界のスタッフに期待したいしたいです。


●「エクスペンダブル」

自らを消耗品「エクスペンダブルズ」と名のる最強の腕利き傭兵チームを率いるリーダーのバーニー(シルヴェスター・スタローン)は、ナイフの達人リー(ジェイソン・ステイサム)や、マーシャルアーツの天才ヤン(ジェット・リー)、大型銃器のスペシャリスト・シーザー(テリー・クルーズ)らと共に数多の危険な任務を遂行、巨額を手にしてきました。ある日、バーニーは依頼人チャーチ(ブルース・ウィリス)から、南米の島国ヴィレーナで圧政を敷いている軍事独裁政権の壊滅と独裁者・ガルザ将軍の暗殺を依頼されます。


シルベスター・スタローンが監督、脚本、主演の一人三役をこなす、スタローンが映画に望む肉体と火器と爆弾が主役であるアクション大作です。だから肉体派俳優たち、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、ドルフ・ラングレン、久々にスクリーンに復帰したアーノルド・シュワルツェネッガーと、夢のような豪華なアクションスターの顔ぶれが揃った映画です。


大量の火薬が桟橋を木っ端微塵に爆破し、ガルザ将軍の邸宅を崩壊炎上させるー。爆弾の光が映画館内を照らし、これでもか、これでもかと弾薬が飛び交う銃撃シーンが続き、火薬の焦げ臭い匂いがスクリーンから押し寄せて来ます。久々に痛快無比なアクション映画でした…。退屈させない娯楽映画です。


●「桜田門外の変」

安政7年(1860年)、3月3日、関鉄之介ら水戸脱藩士17名と、薩摩藩士1名が桜田門前にて井伊直弼の籠を襲撃、首を討ち取った。この「桜田門外の変」は、誰もが知っている幕末日本史の有名な事件ですが、襲撃部隊を指揮した関鉄之介(大沢たかお)たち水戸藩の尊皇攘夷の藩士たちの、その後の消息と顛末を知るものは少ないのではないでしょうか。吉村昭の原作を映画化した佐藤純彌監督は、それを史実のドキュメントフィルムのように、淡々と映像化しています。ある意味で、歴史から忘れられた幕末・明治維新の人間を描いた薩摩藩の志士「半次郎」と似たものを感じました。ただ、余りにもリアルに淡々と描いているので、日本史の教材映像を見ているような錯覚も起こりました。実在の人物が恰も架空の英雄のように登場する「坂本竜馬」ブームの、これは反動でしょうか…?


●「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」

コンビニに居たフリーターの理久彦(藤原竜也)は、突然清純そうな祥子(綾瀬はるか)に時給11万2000円のアルバイトについて訊ねられ、そのアルバイトに同伴してしまう。この高給で怪しいアルバイトは、、山中の暗鬼館という館で男女10人が7日の間、地下で共同生活をする心理実験でした。しかもその一部始終の殺戮の実験ドラマは、克明に外部の世界にネット配信され、好奇の目で眺める有料の観客がいました。


息子をこの実験で亡くした男(北大路欣也)、通り魔殺人の逃亡者、心臓病の子どもを抱えた母親ー、結婚資金を稼ごうとするカップル、それぞれの参加者は、危険で怪奇な仕事に飛びつくそれぞれの理由を持っていました。暗鬼館の部屋には謎の箱があり、それぞれ違う凶器が置かれてました。ルールは生存者が2名になるまで暗鬼館に残らなければならないというものでした。


米澤穂信原作の「インシテミル」を読んではいないのですが、「リング」を製作したホラー映画の中田秀夫監督は、社会の存立基盤である人間の絆の脆さや、疑心「暗鬼」に陥る人間の狂気の様をよく描いているな、という感想を持ちました。ただ、藤原竜也が出演しているためなのか、この殺人ゲームは、深作欣二監督の「バトル・ロワイアル」や、佐藤東弥監督の「カイジ 人生逆転ゲーム」を思い浮かべてしまいます。こんな邪推は私だけでしょうか…?程程に面白くて、そこそこの収益を上げれば、映画に変わりはないー、という商業主義一辺倒の映画でしょか…。


●「SP野望篇」★★

テレビドラマの劇場版はこれまで、「相棒」や「踊る大捜査線」や「釣りバカ日誌」等がありました。いずれもテレビで人気を博し<、高視聴率で映画化が望まれていたものです。これもまた、2007年11月から2008年1月まで、フジテレビ系で深夜に放送されたテレビドラマ「SP  警視庁警備部警護課第四係」の劇場版です。2時間スペシャル版は、20%を超える高視聴率番組が、遂に映画化されましたー。「エクスペンダブル」のように瞳孔に眩しい光が突き刺さる派手な爆発や、鼓膜を刺激する銃撃シーンはないものの、主演の岡田准一は、2年間をかけて肉体鍛錬と格闘技の修練を行っただけあって、迫力のある格闘シーンと、凄みのアクションがあります。私はこれも特選映画の一本に挙げたいです…。


直木賞作家・金城一紀の原案・脚本による2部作ストーリーのうちの1本、「野望篇」と称する当編では、国家のシステムを根底から揺るがすようなテロに資金を提供し、国家中枢の要職にいながら政治転覆を画策するキャリア官僚たちを影で支援する大物国会議員、与党幹事長の伊達役で香川照之が登場します。井上薫を演じる岡田准一の迫真のアクションシーンも見ものですが、政治の裏も表も、酸いも甘いも知っている野心的な政治家を見事に演じている香川照之の演技も拍手喝采でした…。


テロリストの魔の手によって、笹本・山本・石田ら第四係のメンバーが次々に襲われ、国会議事堂近くのビルの屋上から虎視眈々と狙うテロリストのターゲットに、昇る朝日に照らされる井上がいたー。警護課第四係の責任者・尾形は、テロリストの味方なのか、SPの敵なのかー?野暮編の次作「SP 革命篇」が早く見たくなる幕の下ろし方でした。


●「大奥」

男だけがかかる疫病で男の数が女の4分の1に減ってしまった江戸時代という漫画チックな場面設定の「大奥」は、よしながふみのコミックを、「木更津キャッツアイ」シリーズ、「流星の絆」の金子文紀監督が映画化したもの。もしも映画に魅かれる観客がいるとするならば、「嵐」の二宮和也が主演である故でしょうか…。


近頃、コミクで大人気のキャラクターが、アイドルを主役に抜擢して実写ドラマ化映画化される作品が多くなりました。「ごくせん」「花より男子」「ドラゴン桜」「のだめカンタービレ」…、もう挙げれば次々と映画のヒット作がならびます。漫画である程度の発行部数と人気を持っていれば、実写でテレビドラマ化映画化されても、ある程度の視聴率と観客は確保できますー。アイドルを主役に出演させればそれだで更に話題になります。テレビディレクターや映画監督たちの安易な製作方法と考えるべきなのか、それとも時代を象徴するひとつの社会現象と捉えるべきなのか…?別の機会に是非とも言及したいです。


●「雷桜」

近頃、時代小説(歴史小説)の書ける売れっ子の女流作家といえば、直木賞受賞作「吉原手引草」の今井今朝子か、「あくじゃれ瓢六」で直木賞候補になった諸田玲子か、「髪結い伊三次捕物余話」で直木賞候補になった宇江佐真理ではないでしょうかー。その一人宇江佐真理の原作を、『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督が映画化した純愛ラブストーリーの時代劇が「雷桜」です。


私も時代劇ファンの一人として、。映画化されるずっと前に彼女の「雷桜」は読んでいました。物語の舞台が江戸から離れた「瀬田村」「瀬田山」という地名なので国道246号の瀬田交差点あたりなのかなと思っていました。昔の大山街道の様子を書いた本には険しい山道が続く秘境であったと記憶します。そこで小説の舞台の「瀬田山」とは、あそこなのかとずっと思い込んでいましたー。地誌に詳しいどなたかがいましたら、教えてください。、


さて、徳川将軍・家斉の息子で、心に病を抱えて生きる孤独な斉道を演じるのは『悪人』などに出演の岡田将生。病気療養のために家臣の一人・瀬田助次郎の故郷・瀬田村を訪れました。天狗が住むと言われる瀬田山で、斉道は「天狗」と出会う。実の正体は、幼い頃に政略から誘拐され、忍びによって山奥で育てられた瀬田助次郎の妹・遊だった。遊を演じるのが蒼井優。雷に打たれた山中の銀杏の巨木から桜が芽を出した「雷桜」の前で、荒馬で疾走する遊に斉道が恋するー。、


甘い、あま~い時代劇ではあるのですが、余りにストーリが荒唐無稽すぎて特選映画には選べなかったです。



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