「猛スピードで母は」 長嶋有 2007-146 | 流石奇屋~書評の間

「猛スピードで母は」 長嶋有 2007-146

第126回芥川賞受賞作が所収されている長嶋有氏「猛スピードで母は」読了しました。

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長嶋 有
猛スピードで母は
出版元
文藝春秋
初版刊行年月
2002/01
著者/編者
長嶋有
総評
21点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:4点 
読了感:3点 
ぐいぐい:4点 
キャラ立ち:4点 
意外性:3点 
装丁:3点

あらすじ
アクセルを踏み込んで、母は結婚を口にした。外国帰りの男に、慎は気をゆるすが。芥川賞候補作「サイドカーに犬」を含む処女作品集<<Amazonより抜粋>>



こういうことを書くと誤解を招きそうですが、芥川賞受賞作にしては、良い作品でした。

芥川賞候補作であった「サイドカーに犬」と、タイトル作であり受賞作でもある「猛スピードで母は」の2作が所収されています。

どちらの作品でも描かれているのは「女性の強さ」。
「サイドカーに犬」に登場する洋子であり、「猛スピードで母は」の母であり、「母の強さ」とも言い換えられそうですが、あえて「女性」としました。

語り手が「子供」というのが、2作品の共通点であって、その視点であるが故に「母」という役割が与えられているだけなのだよなと思ったわけです。
なので、「女性の強さ」。

表面ではなく内面で戦う女性の姿を見せてもらいました。

文体も比較的シンプルだし、ストーリも負けずにシンプルなので、何もひっかからない可能性もありますが、ぐっと行間を読み取り(もしくは主人公の子供の目線に帰って)、「子供のころになんとなく憧れた大人の姿」のようなものを思い出しながら読むと結構面白いかもしれません。