「イナイ×イナイ」 森博嗣 2007-113 | 流石奇屋~書評の間

「イナイ×イナイ」 森博嗣 2007-113

ものすごいペースで作品を提供していただいてる森博嗣氏の最新シリーズ第1段「イナイ×イナイ」読了しました。
もはや、”どこまで続くの?森大河”といった感じです。

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森 博嗣
イナイ×イナイ (講談社ノベルス モF- 38)
出版元
講談社ノベルズ
初版刊行年月
2007/05
著者/編者
森博嗣
総評
19点/30点満点中
採点の詳細
ストーリ性:3点 
読了感:3点 
ぐいぐい:3点 
キャラ立ち:3点 
意外性:4点 
装丁:3点

あらすじ
「私の兄を捜していただきたいのです」美術品鑑定を生業とする椙田事務所を訪れた黒衣の美人・佐竹千鶴はこう切り出した。都心の一等地に佇立する広大な佐竹屋敷、美しき双子、数十年来、地下牢に閉じ込められているという行方不明の兄・鎮夫。そして自ら“探偵”を名乗る男が登場する。旧家で渦巻く凄惨な事件の香り…。<<Amazonより抜粋>>


作者HPでもさらっと書いてありましたが、なんとも「ノスタルジックな作品」です。
館モノであり、そこに住むのは非協力的である種異様な家族であり、裏側には遺産相続がからんでいる。

このあたりの要素が盛りだくさんで、加えて、ちゃんと探偵が出て、謎を解いたりします。

綾辻氏の「館シリーズ」をドキドキしながら読んでいたころに、この本を読んでいたら、また違った感想があったのでしょうけど、今はただ「懐かしい」という気持ちが先に来ちゃいます。

ただ、ただですね。
どうにも作品として短すぎるという印象をもってしまうのです。
四季シリーズから、通常2段枠のノベルズサイズで1段枠。
加えて、改行も多いことから、あっという間に読み終わってしまいます。

読み終わってしまうこと自体は問題ないのですが、ストーリーもそれにあわせて、とても表面的な感じを受けました。
プロットがしっかりしているわりに、それを十分に表現できないまま終わってしまったという印象を受けました。

Gシリーズが、「長い物語の一部ずつ」をひとつの作品にしているのに比べ、当シリーズは今のところ完全に一話完結という点も、良い部分もありながら、先に述べた「短いが故の表面なぞり」な感じを受けた要因かも知れません。

といいつつ、このXシリーズも大いなる森大河の一部の作品であり、メインストリームの殺人事件の犯人解明時点よりも、エピローグに差し込まれた、とある重要人物の登場にびっくりしてしていました。
ま、予想していたといえば予想はしていたのですがね。