さて、明日アメリカに向けて出発...

荷物がいい加減入らない...

という困った状況の中、

どういうわけか余裕をかまして?読んで読んで

やっと読み終わった本。


huaquero

ペルーの盗掘者に関する本なのですが...。

「盗掘者?」

どこかで聞いたアリババの話みたいでしょう、まるで。


ご存知のとおり、ペルーには多くの遺跡があります。

マチュピチュやナスカの地上絵なんて、メジャーじゃないかな。

この本でも取り上げられており、私が調査していた地域は

ペルーの海岸部で、とても乾燥した地域。

(本では北部が取り上げられていますが、私は南部)

年間平均降水量が11ミリとかなんですよ。「年間」だよ。

当然地中に埋まってるインカ・プレインカの遺物(特に土器や織物)が

湿度による影響を受けずに、色鮮やかなまま出土します。

ペルーの海岸部では、こうした遺物を目当てに盗掘を違法に行い、

国内外のブラックマーケットに高値で売って

生活する人々がいます。

ただ、盗掘者とひとまとめに言っても

先祖から受け継いだ遺産に敬意を払い、

神聖な場所への畏怖を忘れずに儀礼などはきちんととり行って盗掘する人もいるし、

そんなこと気にせず、ただ手っ取り早くお金を稼ぐ方法と割り切って盗掘する人もいる。


ただ、共通するのは、安定した職が得られず

家族を抱えて生活していくためには、他に選択肢がない

という点。


彼らに盗掘をやめさせる方法があるとすれば...

1)盗掘される遺物を欲しがる対象先(収集家等)の熱を冷まさせる


  ...しかし、これは難しい。


2)彼らが安定した職を得られるような経済的政策・貧困政策の実施

   これならできそうな気が。


(ま、当然こんな単純な二択じゃないけど)

ペルーでは鉱山(最近では北部で油田が見つかったとか)もあり、

ここから相当な利益を得ているはず。

(採れるものや県・州によっては、そこに税金としてお金を落とすようになってはいるだろうけど)

私が地理を習った頃は「ペルーの輸出物と言えば…」

アンチョビー、マグロ…という感じだったけど、

今は世界有数の銅・亜鉛の輸出国となりつつあります。

これらの利益で博物館でも作って、

そこでワッケーロ(スペイン語で"盗掘者")でも働かせりゃいいのに。

盗掘者といっても、下手な考古学者よりも知識は豊富なはず。


ほとんどの利益は、多国籍企業や銀行団が持ってちゃうんだろうなぁ。