なみくんを乗せたソリは
濃い霧の中を抜けると暗闇に飛び出した
(なみくん)えっ…ど…どこ


(敦子)下見てみたら

あんまり覗き込んだら落ちちゃうから気をつけてね

(な)えっ

なみくんが下を覗き込んむと
何かがキラキラ光っていた…
(な)何…あれ…
(敦)何だと思う

(里英)あれですよ……に…
(敦)まだ言っちゃダメ

(な)…うーん
なんかところどころ…明るい所と…ちょっと暗い所と…
…それと周りは真っ暗…
(敦)何か分かったらいい物あげるよ

(な)う…うーん…
(敦)もう少し近づいてみよっか
そう言うと
ソリはどんどん光る物に近づいていった
(な)…う…うん

なんだ

その時
なみくんの下を何かが轟音とともに通りすぎた

(な)あ…あれ…もしかして…

ひ…飛行機


(敦)そうだよ

(な)じゃあ…もしかして…
この光ってるのは……日本


(敦)大正解

さすがなみくんだね~
(な)えっちょっと待って
ここ空気大丈夫なの

(敦)大丈夫だよ
私たちは魂だけの存在だから
空気なんていらないし

(な)そ…そうなんだ

(敦)魂が戻るためには…
体が必要なんだ…
(な)体

(敦)…うん
なみくんは今頃…お通夜が終わってるあたりだね
その体に入れば
なみくんは戻れるから…
(な)…うん

(敦)なみくんにはまだ体がある…
だから戻れるんだよ
でも私にもトナカイさんにも…体は…もう…
(な)あっちゃん…
あっちゃんは目に涙を浮かべていた
さらに
なみくんの頬に水のようなものがついた…
…里英も泣いていたのだ
(な)りえちゃん…
(敦)ほらほら行くよ

早くなみくんを送らなきゃ
あっちゃんがそう言うと
里英が引くソリはどんどん下がっていく…
そして光の海へと飛び込んでいった
その頃…
(友慎)なんで……なんで……
(珠理奈)お兄ちゃん…

(玲奈)なみくん…
(さっしー)いやだよ…なみくん…

なみくん…
(ゆいはん)ウチのせい…
ウチが悪いんや…

あの時…一緒に行かへんかったら…
ウチがなみくんを…
(優子)由依

そんな…そんなこと言わないで…
(陽加)そうよ…
なみくんは由依ちゃんを守ったんだから
由依ちゃんはなみくんの分まで元気に生きていかなきゃ

ほら見て…なみくん…とってもいい顔してる…
みんながなみくんの横に来て話しはじめた
もちろん語りかけるしかできない…
(梅田)…なみくんと一緒に授業ができて
とっても楽しかったよ…
(まりこ先生)…もっと
もっとなみくんをいじめたかったのに

悔しいよ…
(珠)お兄ちゃんは…
ずっと…お兄ちゃんでいてね…
(玲)なみくんが好きだったお姉ちゃんのグラビアの写真…
明日…一緒に入れてあげるからね
(友)俺は一生友達だからな
(さ)……なみくん…大好き
(ゆ)ウチ…頑張って生きるから…
なみくんの分も生きるからね

(陽)お母さんの子供に生まれてきてくれてありがとう

カタッ
(ゆ)…今なんか動かへんかった


(陽)きっと…みんな言葉に
ありがとうって言ってるのよ
最後に優子がなみくんの傍に来た
(優)…なみくん
まだ付き合って…少ししか経ってないのに…
…もっとなみくんとイチャイチャしたかったなぁ
おしりとか…さわって欲しかったよ
(友)何言ってんだよ

(優)ほんとだよ

あたし…おしりも結構自信あるんだけど…
優子はなみくんの目の前に
おしりを突き出した
(優)今…いっぱいさわってね
(陽)優子ちゃんらしいわね

(ゆ)でもさすがになみくんやったらさわらへんよ

(優)さわってくれるもん

だって…なみくんだから…
ムギュ

(優)キャッ

(さ)えっ

(ゆ)…どうしたん

(優)い…今…
(な)さわっちゃった

(さ)なみくん

(梅)ウソ

(ま)ヤバいヤバい

亡霊だよ~

(な)いやいや生きてますから

(陽)な…なみくん…
(な)母さん

(陽)なみくん

ギュッ

(ゆ)ウソや…
そんなことあるわけないやんか…
(な)ほんとだよ

チュッ

(ゆ)んっ

ほんまやん

(優)なみく~ん

ギュ~

(な)優子

おしり最高だったよ

(友)まったく…
(な)うん

(友)……おかえり

(な)ただいま

なみくんは
みんなの元へ帰ってきたのでした…
(陽)明日のお葬式…キャンセルしなきゃ

……
(な)あれ

なみくんは手元に小さな袋を見つけた
(な)…ん

…あっ
なみくんは袋に書かれた文字を見て
思わずほほえんだ
[プレゼント
敦子より]…続く
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