sassan2000 diary -19ページ目

7/13 ニートでニトニト1 大阪ギャラリー巡り編

夕方から用事のためかのこへ。


その後
studio J に名和さんの個展へ。
今回は現在滞在中のNYから送られた平面作品。
うーんいまいちかなー
でもエアブラシで描いた線の表現方法はおもしろかった。
エアブラシと支持体との距離が、
描かれた線の奥行き感にそのまま反映される。
ひとつとても好きな作品があった。
フューチャラの作品に似ているかな。
それだけパネルになっていて、
15号くらいで15万円也。
かえねー


で、
gallery wks. で涌井達展を見る。
片山さんとしばしお話。
ひまわりの種だけで作った直径50cmくらいのボール。
写真で見たら綺麗だったけど、
実際は土がついたり虫がついたりと、
生々しい感じ。
写真の綺麗な感じの方がよかったな。

他の作品ももろに制作時間を感じさせるものばかり。
ってゆうかそれがコンセプト。
正直あれだけ費やされた時間の重みを見せられると
しんどかったな。
確かに作業量はすごいんだけど、
見ているとなぜか気分が落ち込む。
そこに意味があれば制作に時間をかけるのは悪くないと思うが、
それだけだときついな。
見る側に想像する余地を残しておかないと、
ただエゴを見せ付けられているようなしんどい気分になってしまう。


最後にgallery H.O.Tに飯田 朋宏展へ。
街や自然の中の見慣れたなんでもない風景を
すべて上下逆さまにして展示。
これがおもしろかった。
ぱっと見たら、
逆さまだとはわからず、
じっと見ているとそれが逆さまなのだとわかる。
エッシャーの騙し絵のようだ。
作家さんとしばしお話。
視点の高さや、空などの余白を入れるかどうかなどなど、
少し変えるだけでまったく見え方になるらしい。



あ、さらに最後にOギャラリー行ったんだった。
途中すれ違ったGONちゃんが良いって言ってたけど、
全然わからない。
似た雰囲気の作家二人展で
多分ギャラリーの企画シリーズなんだろうけど、、、
どれがどっちか全然わからない
ってゆうか興味がわかない。
あのへんの今のはやりっぽいペインティングは 苦手だな。
DMにするとまだかっこいいけど、
問題の現物はお粗末な作品ばかり。
まあ個人の好き嫌いの問題だけどとは思うけど。


晩御飯は彼女とお友達カップルたちと「輝」へラーメンを食べに行く。
いつも通りうますぎたので
喫茶「ダイヤモンド」でお茶をして、
我が家で遅くまで談笑。

monoライブ と 「初期衝動」

ドラム


エフェクター


昨日今日とmonoのライブに行って来た。
場所は京都metoroと大阪ファンダンゴ。
どちらも来日したPELICANとの対バン。

PELICANはインスト4Pのロックバンドで、
メタルやハードコアを取り入れた
ヘビーな感じ。
演奏は終始激しく、みんな好きな事を楽しんでいる感じで
見ているこっちも楽しくなった。

で、
monoのライブ。
京都も大阪も多分同じ曲リスト。
京都より大阪の方が音が大きかったうえに、
演奏も激しくてよかったな。
途中gotoさんがtakadaさんにドラムの音がおかしいと
何度も話し合っていて、(僕には全然わからなかったのだが)
その後の演奏にかなり緊迫感が増したような気がした。


一曲目にやった新曲は、
より映像にリンクしたような感じがした。
halcyonにしてもこの曲にしても
美しいメロディがとても物語性に富んでいて、
映画音楽に近いような気がする。
gotoさんはモリコーネとか好きだし、
その辺の関係性が出て来ているのか。
これまでよりもよりも浮かんでくる絵が
よりダイナミックな感じがした。
旅を続ける中から生まれた音楽。
今後、
彼の頭の中からどういう曲が生まれてくるのか、
とても楽しみ。


その他の曲はこれまで何度もライブで見たことのある曲だったのだが、
彼らの曲はその時々によって全く違うものになる。
それはその時の自分の精神状態、
バンドメンバーのそれぞれの精神状態、
客や照明、音響など会場全体の雰囲気、
それら一つ一つが大きく関わってくる。

しかし今日は凄まじかったな。
個展が終わり一息ついた抜け殻の心に
いきなりぐわーっと染み込んできた。
彼らはむこうの精力的なインディーズバンドがそうであるように
アメリカ、ヨーロッパのツアーで何ヶ月もの間、
毎日休みなしでほぼ同じ曲を
演奏し続ける。
だが毎日演奏していても、
一日として同じ演奏はないらしい。
とてもストイックに、
その先の答えを探すため何度も何度も繰り返し演奏する。
何ヶ月かに一度見る日本でのライブでも、
演奏する曲リストは毎回そんなに変わらない。
以前は他の曲やってほしーなーと思っていた。
でも今回のライブを見て、
その意味がわかった。
「継続」するということの大切さ。
作品作りに対する覚悟。

gotoさんはmonoの曲を限界まで徹底して作り込む。
メンバー4人で奏でることの意味もそこには含まれている。
そこまで作り込んだ作品だからこそ、
数えきれない程繰り返し演奏していく中で、
曲自体に生命が宿り、
絶えず成長し続けることができるのではないかと思う。

今日目の前で汗を滝の様に流しながら、
ギターを気が狂ったように掻きむしったり、
思いのすべてを注ぎ込むように静かなメロディーを弾いたりしている様子を見ながら、
彼のこのバンドへの思いの深さと覚悟のようなものを感じた。



あと、
最近のライブはどんどん激しくなっている気がする。
メンバーそれぞれ、
極限まで自分を追い込んで最大限に音を出す。
その状態でさらにgotoさんの演奏が激しくなると、
それに呼応するように他のメンバーの演奏も激しくなり、
曲全体が向上していくように感じる。

gotoさんの作曲家、指揮者、演奏家、人間
としてのカリスマ性と、
takadaさん、yodaさん、tamakiさんのストイックかつ感情的な
素晴らしい演奏が合わさって、
奇跡的なバンドになっていると思う。
それはまるで100人くらいのオーケストラの音を
たった4人で奏でているような、、、



圧巻のステージを前に、
次の個展で自分がすべきことが少し見えて来た。
本来自分が表現したかったこと、
初期衝動、
活動を続けて行くにつれて
ついつい忘れがちになってしまうけど、
結局それが一番大切なことだと思う。


確か3年くらい前だったかなー
当時僕は自分の作品制作にとても悩んでいた。
(いつでも悩んでいるけど、当時はかなり後ろ向きに)
それまでの作風に見切りをつけて、
2年間くらい発表をやめて、
したことのなかったデッサンの勉強をしてみたり、
色んな技法を試してみたり。
でもどれだけもがいても不安は大きくなるばかりだった。
それは根本の「表現したいこと」というのが何かわかっていなかったから。

色々な作家さんの展示を見に行っても、
答えはみつからない。
それどころかいわゆる「アート」に対する不信感がつのるばかり。
作品そのものからエネルギーを感じることはほとんどない。
コンセプトに小難しいことをだらだら書いているだけで、
作品自体からは何も感じない。
また、平面作品を見ても技法の事が気になったり粗探しばかりしてしまったり、、、
「アート」作品を見て心が震えることがほとんどなかく、
かなり絶望していた。
自分のするべきことはここにはないんじゃないか、と。

まあそんな状況でも昔から音楽だけは好きで、
色々なライブに行っては刺激を受けていた。
そんな時に初めてmonoのライブを心斎橋のクアトロで見た。
ガラガラのクアトロで、
静かなmidoriyamaさんのソロから始まって
(2月の個展でライブをしてもらった素晴らしいソロギタリスト)、
最後にmonoが圧巻のライブ。
これまで体験したことのない空間。
真っ暗闇の中で心を掴まれてぐしゃぐしゃにされ、
最後に今まで見た事ないような美しい真っ白な光に包まれて
生まれて初めて心を解放されたような感覚。
泣いてしまった。

初めて「本物」の表現に出会ったと思った。

以来、
その時の感覚を自分なりのやり方で表現したいと思った。
音と平面、
表現媒体としてはまったく性質が異なるとしても、
自分が信じていることを表現したい。


その後浮かんだ数々のイメージを絵に描いて、
ファイルを作っていきなり彼らの事務所に送ったもあった。
送って何ヶ月後かに帰国したgotoさんから
驚く程深いメールをもらった。
それからライブの都度会って話をしたり、
彼らのHPでartcollectionのコーナーを作ってもらったり、
彼らのライブ会場で絵を展示させてもらったり、、、
数えきれない程お世話になっている。

でも一番感謝しているのは、
彼らの音楽に出会えたこと。
偉大なアーティストと同時代に生きることができたこと。
なおかつそれに影響を受け、
幸福にも自分なりに表現することができたこと。
さらにその作品に彼らにも共感してもらえたこと。


「初期衝動」
制作活動を続ける限り、
これからもずっとも
あの時のビジョンを追い求めていくのだと思う。



mono HP
http://www.age.vu/~sound/mono/

7月9日 個展最終日の空気

曇りのち雨

朝早めに実家から車で出発。
一時間早く到着して店を開けて
雨の音が響く中今日でなくなるこの空間のことを想う。


今日はほんとに色んな人が来てくれた。
日曜休みで土曜も16時までだから集中してしまうのはしかたない。
大阪のギャラリーはほんと考えないといけないと思う。
いくら中心の西天満がオフィス街で日曜に人がいないからって、
ギャラリー巡りをする人はまた全然別でしょー
やっぱり平日働いて週末の休みに廻る人が多いんだから。
京都みたいに日曜まで開けて月曜休日にするのが理想だと思う。


今回の会場は6畳間で狭いだけに
一時は立っている人やら座っている人やらでいっぱいになってしまい
本来の和室空間の良さである静けさがなくなってしまった。
と同時に、一人一人と深く話ができなかった。
ほんと申し訳なかったな。

みんなわずかな休日の時間を割いてわざわざ見に来てくれるわけだから、
できるかぎりのもてなしをして楽しんでほしいし、
お互いの深いところまで話をしたい。

志賀さん、りっくん、西村さん、平澤さん、船井さん、ヨダ君、はちすちゃん、
菊池さん、福永さん、ひがしのりー、あだっちゃん、
その他にもきてくださった皆さん、
本当にありがとうございました。


今回の展示期間の中で
一番空間がいい空気をだしていたのは
雨の日の静かな昼間だったような気がする。
毎日だいたいオープンの12時に来て掃除をしてから、
14時くらいから少し畳の上で昼寝をしていた。
浅い眠りからふっと目が覚めた時、
雨の降る音と、
暗い部屋でぼんやりと目の前に横たわる作品とに、
痛みのない白い世界の中にいるような錯覚を覚えた。

また、お客さんと色々話をしたあと
話す事もつきて畳に座ってお茶を飲みながら
暗い部屋でぼーっと作品を見ている時も同じような幸福な感じがした。

そういう瞬間を経験できたということは、
梅雨のこの時期ならではなのではないかと思う。


一階の画廊編で展示していた石居さんにも
色々お世話になったな。
彼女の銅板画の白い静かな雰囲気は
今回の僕の平面と共通するところがあったと思う。
そしてなにより彼女自身が若くてかわいかった笑
年齢が僕より3つ上と聞いてびっくり


搬出を終えたあと、
お世話になった中島さんに挨拶。
また元の静かな空間に戻って、
下町の暖かい空気と相まって少し感傷的に。



その後7時頃大阪の自宅に作品を運んで、
中高の時の親友の結婚式のためそのまま車で一路姫路へ。
といっても式はすでに終わっているので
二次会なのだが、、、
適当にFMをかけながら一人で夜の雨の高速を走っていると、
今回の色々なことを思い出してしまい、
またまた感傷的に、、
でもこの空気が好きなんだよなー
これで前川清とか堀内孝雄とかsionとか
かかってたら最高なのに笑


到着したのが20時半頃。
彼にはほんとに色々お世話になっていて
何かしてあげたいと思っていたので、
今回展示した写真作品3点を新郎新婦にプレゼントした。
二人共とても喜んでくれて、
見ているこっちまで嬉しくなってしまう。

宴はかなり盛り上がったけど、
車のためにビールはほんの少しだけで泣く泣く我慢。
でもあの頃の友人達とはノンアルコールでも全然楽しめるな。
昔そのままの空気。

メンバーの半分くらいは今回のため東京から帰省してきていたので
オールは無しでお開きに。
その後車一台ということもあって何人かの友人を送迎しつつ1時過ぎに帰宅。

ほんと疲れたーなー
でもこれは心地いい疲れ。
心身共に休養のためしばらくゆっくりしようと思う。

7月8日 ウネリ

今日は晴れ


昼間
マイミクのモエちゃんと、
吉田君と、
はねうさぎの平塚さんがほぼ同時に見に来てくれた。
みんな別々のルートで来て別々のルートで帰って行くのに、
示し合わせたように同じタイミングでやってくる。
不思議な感じ。

モエちゃんは髪を切って少年になっていた。
レジデンスに興味があるとゆう。
根無し草な感じがすでに満開だった笑



吉田君と植物の話になった。
彼は木の枝の分かれ目の部分と、
先端の部分に大きなエネルギーを感じるらしい。
次々と繰り返される分かれ目部分は、
その都度大きな決断をするためのエネルギーが内包されている。
また、
先端部分には先へ先へと伸びようとするエネルギーが内包されている。
だが植物は何も物を言わない。
静かに、しかし高速に動いている。
彼は植物にそういうイメージを抱いている。
なるほど、
だから彼の絵は動いているように見えるのかな?

分岐という同じ動作を繰り返し形を形成する、
フラクタルの法則。
その一つ一つにエネルギーが詰まっているとしたら、
その集合体のもつエネルギーは加速度的に大きくなっていく。
その成長は先端の広がり部分のエネルギーに反映される。
1,2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024,2048,4096,8192,16384,
32768,65536,131072,262144,524288,1048576、、、



今回の立体作品は素材感が全面に出ている。
平塚さんに、
この「素材」でこの「形」を示したかったのか、
それとも細部の「線」が密集した部分を示したかったのか、
と聞かれた。
答えは後者。
線がかなり密集した感じは前回展示した平面作品に近いイメージがある。
逆にもし密集具合を少なくしたら
今回の平面作品のイメージに近かったかもしれない。
線と線の間の余白で見せる。
そのためには一本一本の線の形に力がないといけない。
丁度今、平面作品はその段階に来ている。
立体の方はどうだろう。
まだ始まったばかりで到底そんなレベルまで達していない。
空間全体のレベルのバランスの取り方。
何をメインで見せて
それに他をどう関連付けるか。



何人かのそれぞれ別のお客さんから漆塗りの話が出た。
たとえば床の間の下にそれを置いたり、
立体の下の黒い板(今回はつや消し)をそれに代えてみたり。
黒い鏡面に映り込むことによって、
下からエネルギーがめらめらと上がってくるイメージになったり、
逆に風の吹かない水面のような静かなイメージになったり。



夜、gallery wks.の片山さんがきてくれた。
メインの横たわる立体を見て、
静かに置きすぎではないかと言われた。
「様々な方向に動き回る細い線の集合体によって、
エネルギーに満ちた木をイメージする」ということがコンセプトなら、
その細部のうねりがそのまま全体のフォルムに現われるべきではないか、
和室空間を変に意識しすぎたあまり小さくまとまってしまったのでは、
と言われた。
なるほどその通り。
彼の提案するフォルムはエネルギーに満ちている。
蛇や龍のように空間を自由に飛びまわったり、のた打ち回ったりしているイメージ。
もっと乱暴に、よりエネルギーを感じさせるように、、、
コンセプトをより明確に突き詰めていけば当然の事だろう。
逆にコンセプトさえしっかりしていれば手の平サイズの小さいスケールでも十分伝えるこ
とができるはず。

作品に力があればどんな空間に置いても大丈夫だと言われた。
確かにその通りだなあ。
今回はまず空間ありきで作品を製作した。
空間に同調しようとするあまり、
自分が見せたい作品イメージまでも見失ってしまったのか。
その辺のバランスが難しいな。


立体というのは単純に考えるべき要素が多い。
平面の場合は画面の縁の部分で領域が制限されていて、
言い換えればそれによって外部空間から守られている。
一方立体の場合は空間全体に放り出されるため、
スケール感がより重要になってくる。
それがないと
自宅の机の上でこちょこちょ作って、
いざ展示空間で見ると小さすぎて鑑賞に耐えられない、
という結果になってしまう。
自分なりのスケール感をもつことが大事。
これは建築と一緒だな。

平面も立体もどちらもリンクさせながら進めていこうと思う。
たとえば名和さんの場合、
立体はどかーんとするけど平面はそのイメージのためのドローイングに近い。
自分の場合はその逆か、
もしくはどちらも対等に展開していくか。
要はコンセプト次第だな。



まあでも今回片山さんに指摘された事はもっともだと思う。、
言われるまでまったく考えていなかったし、
正直やられたと思った。
彼との話はほんとおもしろいし勉強になる。

店を閉めてから、
近くの黒門ラーメン?で一杯ごちそうになった。
そこでも色々悩みやらを聞いてもらった。

その後実家(神戸市西区)まで2時間かけて帰宅。
長い電車の中で、
酔った頭を奮い起こしながらさっきの話の続きを考えた。


7月7日 主人公の不在

0707kanoko


今日は晴れ時々雨


今週からギャラリーの玄関の前に笹を設置して、
お客さんに書いてもらった短冊がかなり増えた。
短冊なんて書いたの何年振りだろう。
粋な風習だなあと最近しみじみ思う。
このギャラリーに通って何日かしかたっていないけど、
下町独特の人の暖かみみたいなものをひしひしと感じる。


さて、
昨晩飲みに行ったため、
バイクをギャラリーの入り口の前にどーんと置かせてもらっていた。
12時からオープンで、
10分くらい遅刻して到着すると
奥でお母さん(ギャラリーオーナーのお母さん)が
警察に通報していた。
「めっちゃでかいバイクが店の前に放置されているので今すぐ撤去してください!!」
危ない危ない。
レッカーされるところだった。


で、その後すぐにバイト先のKさんが来る。
彼は物書きで色々なことを知っていて
話すとおもしろいのだが、
話をすぐ政治の方向に持って行くので結構やっかいだったりする。
でも毎回見に来てくれて感謝。
今日も色々おもしろいことを言ってくれた。

ある作品を見て
ガンダムのスペースコロニーみたいだと言った。
その後色んな人にそのことを話すとみんな一様に納得していておもしろかった。


その後
ha-gakureのヤスさんが見にきてくれた。
今回のメインの平面作品は
彼らのライブを見た直後に生まれたもの。
作品に色々共感してくれて嬉しかった。

ジャンルの違う表現者同士が
影響を与え合い高め合うというのは素晴らしいことだと思う。
アウトプットは違えど、
奥底の表現したいテーマは近いものがあって、
その微妙な信号をお互い察知するのだろう。
こういう出会いがあると本当に嬉しいし、作家活動において大きな勇気をもらえる。

僕の作品ファイルは
左ページは作品の写真で、
右ページはその解説文がぎっしりだらだらと書いてある。
だいたいみんな写真だけを見るのだが、
彼は解説文を全部ちゃんと読んでくれた。
で、一言
「村上春樹好き?」
ってなんでそんなんわかんねん!
と思ったがそこはさすが、

読解力と想像力のレベルの差

「主人公の不在」が彼の春樹作品に対する解釈であり、
僕の文章の中の「存在/非存在」の部分でリンクしたらしい。

静かな昼のギャラリーでじっと読んでくれているその空間は、

障子を通して差し込む白く暖かい光の影響もあって、

とても静かで幸せな空間になっていました。

彼のラップはブルーハーブのBOSSのそれに匹敵する程
言葉が次から次に続いてゆき、

(ラップというよりもポエトリーリーディングに近いのかな?

それに歌の要素が加わった独特な歌い手、話し手)
さらにその内容は坊主という日常の仕事も影響してか

純日本文学のように深い。
http://www.ha-gakure.com/  のlyricで読めます)
いつか小説も出したいという。
久し振りに出会った共感できるミュージシャン。


来週のmonoのライブでまた会えるかも。
http://blog.drecom.jp/ha-yas/
にて今回のレビューを書いて頂きました。
心温まるコメントに涙涙)



さて、
補聴器を付けたよぼよぼのおじいさんが
興味深そうに見てくれていたので
話しかけるが反応が鈍い。
どうも耳が悪く補聴器ではよく聞こえないらしく、
ボイスレコーダーのモニターの音量を最大にして
イヤフォンを付けると聞こえるようになった。
そのとたん急に威勢がよくなって
作品について話しだす。
メインの立体について素材感はおもしろいが
その分空間全体のテーマから浮いてしまっているということ、
平面作品のスケール感と水墨画のスケール感、
畳におけるミクロとマクロのこと、
北斎らの絵と僕の絵の関係性、
等などとてもおもしろくて勉強になる話が次から次へと出てくる。
しかしその後ピカソの話、フェルメールの話、
どんどん話がそれていく。
完全に捕まってしまった。
30分以上、
他のお客さんを横目に一方的にずっと話を聞くことに。
きっと昔先生だったんだろうなー
まーでも長々と難しいことを話した最後に結局、
「自分がやりたいようにやればいい」
と言い放ったのは嬉しかった。

結局みんなそこなんやね。

特に年配の方からその種の発言を聞くことが多い。



その間
京芸を目指して浪人中の女の子が
ずっと作品を見て待っていてくれた。
色々悩んでいるみたいだったので、
芸術の正規の教育を受けていない自分が
「作品作りにおいて重要なのは、、、」
みたいなことを話していたのは
後から考えるとおかしな話だな。



夕方の雨と同時にどどどっと知り合いが来た。
2年前にアミューズのオーディションで一緒に展示した同い年の友達が
0才の赤ちゃんを連れて見に来てくれた。
しばらく抱かせてもらったりして、もうめちゃめちゃかわいかった。
うちの犬もかわいいけど、やっぱり人間の赤ちゃんのかわいさは特別だなあ。

で、しばらくすると
今回「藝術家の線」でお世話になっている奥田さんが来てくれた。

とほぼ同時に
新風館inkでお世話になっている藤井君が来てくれる。

とほぼ同時に
ニュートロンの石橋さんが来てくれる。

みんな別々に京都から。
展示会場でよくあることだけど、
暇な時は暇なのに、
来る時にはみんな示し合わせたようにいっぺんに来るんだよなー
全員色々話したいことがあるので
なるべくまんべんなく話すようにしているけど、
どうしても偏りができてしまう。
せっかく足を運んでくれたのに申し訳ない。
一人と話込むと別の人が気になって話題に集中できなかったり、、、

しかし皆アートにたずさわっている人たちだけに、
ごまかしがきかないなー
少しでもコンセプトが甘かったり、
自分でも自信があまりない部分を的確に突っ込んでくる。
床の間の空間の特性、
作品のクオリティ、
空間バランスのための作品の取捨選択、、、
色々考えさせられる対談でした。



その後もサラリーマンのおっちゃんや、
一階で個展をしている石井さんのお友達の方々など
色々来てくれて気がつくと夜に。

お客さんのぷーんとした独特の臭いに気付くと同時に
えらく下がにぎやかだなーと降りてみると、
案の定宴会状態。
高そうな焼酎を出されたけど
バイクを持って帰らないと行けないのと腹壊したので頑に断る。
しかし親父たちの酒での豹変振りはおそろしい。
お父さん(オーナーのお父さん)が夕方から店番になったとたんに
どこで嗅ぎ付けたのか次から次へと酒飲みが集まって来て、
若い女の子まで呼んでみんなへべれけ。
そのまま足下おぼつかない感じで見にくるから、
作品踏まれないかどうかハラハラ。

というわけで彼らのセクハラを振り切って
命からがらギャラリーを後にした。


今日は気がつけば朝バームクーヘンを食べただけ。
お腹が減るのも忘れていた。
たくさんの人と会って話をするというのはとてもいい経験になると同時に
非常にエネルギーを消耗するなあ。
残りあと二日、なんとか持続させないと、、、

7月6日 超地元密着型

今日は久し振りの晴れ

岡山で備前焼きの修行のため弟子をしている
友人が見に来てくれた。
彼は大学の同級生で、
留年して休学して退学した後備前へ行った。
彼は結構毎回見に来てくれて、
色々励みになる。
彼とは波長が合うので話すのが楽しい。
お互いの近況について色々話す。

15時頃から色々な友人知人が見に来てくれた。
ファーブル芸術事務所の南口さん、
ストリートギャラリーの窪田さん、
その他にも色々。
前回の個展に来てくれた人や
相手の個展会場でお話した人、
今度ここで個展をする人、
ギャラリーの常連さん、
ふらっと立ち寄った人、
その他にも色んな方々が、、、

窪田さんは結構歳が離れているにも関わらず
山本太郎さんの知り合いで、
この前のジャックの話とか三瀬さんや船井さんのこととか
色々話できて楽しかった。


個展に来てくれたお客さんとは
なるべく話すようにしている。
それによって得られる事が本当に大きいと思う。
何よりそれまで気付かなかった
自分の中のぼんやりしたものが、
作品について話すという行為によって
はっきり姿を表すことが多い。

色々話しをすると楽しいなあ。
自分の個展会場で話すといい刺激になる。
目の前の作品の話からお互いの近況に移り
最後はどうでもいい話に、、、

前回のニュートロンと比べると
今回の会場の全体的な客数は当然かなり少ない。
ただでさえ盛り上がりにかける大阪のアートシーンの中でも、
唯一ギャラリーが集まっている西天満から離れているうえ、
周りにもめぼしいギャラリーはない。
だからお客さんはここに来るためだけに電車に乗って
風俗店や飲み屋が乱立するこの街まで足を運ばないといけない。
逆に言えばここにくるお客さんは
ちゃんと作品を見に来てくれているわけで、
こちらとしても話がしやすい。
(逆にニュートロンのお客さんは
ふらっと寄った若い子とかが多かったので話がしにくかった)


あと、
場所がらやギャラリーの色というのもあってか、
お客さんの年齢層が全体的に非常に高い。
年配の作家さんや
何をしているのかよくわからないおっちゃん、
その合間を縫ってたまに来る若いお客さん(大抵アート関係者)

夜にはマイミクのぱくちゃんと
その相棒の奈良のギャラリーオーナーさんも来てくれた。
うちの近所でギャラリーを開いたおっちゃんが
バイクだというにも関わらず黒ビールをくれた。

この日の夜は気になっていた
すぐ近所の鍬焼き「たこ屋」へ
鍬焼きは初めてだったけどおいしーなー
タレが祭りの時の屋台のイカ姿焼きの味
またしても黒ビールがおいしかった。

7月5日 キラーカーンの訪問

曇りのち雨

こう毎日ギャラリーにいるとあまり思い出せないことが多くなる

この日はGONちゃんが来てくれた。
久々の再会で話も弾む、、、
っていうかいつものことで彼のマシンガントークがずっと続く。
彼は40才でで太ってて背も大きくて
スキンヘッドでひげぼうぼうでキラーカーンそっくり。
ganjaが入っている三寺会館の坊主バーでバーテンをしつつ
朗読のパフォーマンスをしている。
でもほとんど趣味のギャラリー巡りのため
吹田の自宅からちゃりんこで大阪中を走り回り、
凄い時は京都まで。
ノートに"GON"としか書かないので
目にした人も多いのでは?

で、彼はなんでも知ってて
次から次へと色んな話が連想ゲームのように続いて行く。
まー苦手な人も多そうだけど、
僕は彼とのくだらないトークの波長がとても合うので
この日もギャラリーの前に設置した七夕を見つつ
2時間くらい話し込んだ。
あの間ギャラリーはかなり入りにくい状況になっていただろーなー


あと、妹もわざわざ見に来てくれた。
彼女はさっぱりわからんと
文句を言いつつも毎回来てくれるので有り難い。

夕方来てくれたちっちゃくて
すごくかわいらしいおばあちゃんに作品の説明したら、
すごい喜んでくれて、
後からきたお友達のおばあちゃんに
そのまま説明してくれたのは凄く嬉しかった。

このギャラリーの良いところが
少し見えて来たなー

7月4日 個展初日 雨の中で麒麟を思う

この日は個展初日。

まず朝10時頃
豪雨の中、京都の石田大成社へグループ展の搬入。
奥田さんに挨拶して事前に送っていた規定外の作品の引き取り。
速攻大阪に戻ってその作品を個展会場に設置。

しかし、
急いだのもむなしく
この日は一日中豪雨のせいか客足がなかなか伸びなかった。
薄暗い和室で雨音を聞いていると、
とても静かな気分に。
この空間はほんとに雨がよく似合うなあ。
薄暗い中にぼーっと存在する作品が幻想的に思える。
客足さえ気にしなければとてもいい一日だった。

以前からオーナーの中島さんが
「一度はうちのような和室空間での展示を経験すべき」
と言っていた意味が少しわかったような気がした。

今回の展示のお誘いを受けた時、
一階のホワイトキューブと二階の和室、
どちらでもいいと言われ、
迷わず和室を選んだ。
2月末にやったニュートロンでの個展では、
ホワイトキユーブ(床は黒だったが)空間に
めいいっぱい平面を展示したため、
今回は別の空間表現に挑戦してみたかったから。

しかしいくら表現したいテーマがぼんやりと決まっていると言っても、
準備期間は約三ヶ月しかない。
さらに初めての立体。
初めての表現方法には実験を繰り返し、
試行錯誤しないといけない。
始めの二ヶ月をそれに当て、
実質ラスト一ヶ月ですべて具体的な形にする、
という強行スケジュール。

途中不安に押しつぶされそうな精神的修羅場が何度もあったが、
なんとか乗り切った。

実際に事を終えて思うことは、
まあ毎回同じなのだが、
やってよかったと思う。
ほんと何事も経験だなあ。
具体的に何がどうよかったのか、
今後にどう影響していきそうなのかということは、
まだぼんやりとしてうまく説明できないけれど、、、、



またこの日、
豪雨の中来てくれた方々は皆一様に靴下が濡れていて、
畳に上がっていいかどうか迷っていた笑

そうそう、
大好きなアーティスト、東学さんがふらっと個展を見に来てくれて、
すぐ近くに彼が仕事をしているデザイン事務所があるらしい。
「変態やなあ」を連発してくれて嬉しかった。
(彼の友人によるとそれは最高の褒め言葉らしい笑)



この日の営業時間を終えてギャラリーを閉めた後、
東さんの事務所の一階に最近オープンした彼のギャラリーに遊びに行く。
皆さんお仕事テンパリ中なため
鍵をもらって勝手に作品を見せてもらった。
すごくよかった。
極細筆で描いた緻密な墨絵。
僕の作品に近い緻密さと、
恐ろしい程のダイナミックさを兼ね備えた作品。
技術力の格の違いを痛感した。
また最近墨が気になっているだけに、
とてもいい勉強になった。

その後DMを置かせてもらっている
キリンプラザへビールを飲みに。
雨のひっかけ橋の人間模様を見下ろしながら
アサヒビール工場以来の激ウマビールを飲んだ。
鬼の様なノドゴシ
他にもイギリスやドイツのビールも飲んだが、
やはりキリンが一番!
つまみのソーセージと馬肉も最高!

7月3日 搬入2日目 解放された空間

昼からギャラリーに行って作業再開。
結局作業は夜まで続いた。
ぶっ続けで細かい作業をしたため
途中頭がおかしくなりそうになった。

でも最後に完成形が見えた瞬間、
一気に目の前の霧が晴れた。
不安をかき消すには十分の、想像以上のものだった。

あとは配置。
立体は平面と比べて、
「現場で勝負」の割合が高い。
特に今回はインスタレーション的な要素が強いため、
色々試行錯誤を繰り返す。
結果、満足のいく空間ができたんじゃないかな、
と思う。
ひとつのテーマを表現した平面と立体の連動、相互作用。

この前の三瀬さんの個展にしろ船井さんの個展にしろ、
空間を意識した展示をするということは
作家がすべき事の中の必須要素だと思う。

この日は立体制作と同時に
照明の問題についても考えた。
和室空間なのでなるべく自然光を利用したい。
直射日光ではなくて障子を通した淡く、優しく、白い光。
予定では窓に障子紙を貼って
全体的に薄暗くて柔らかい光空間を作る予定だったのだが、
期間中はほぼ毎日雨ということで、
障子紙を貼る必要はないと判断。
基本的に昼間は照明を消して自然光メイン、
夜18時以降は黄色い照明をつけることにした。

この2日手伝いをしてくれた彼女にも感謝。
打ち上げをかねて近くの行ってみたかった
有名な老舗お好み屋に名物の「山芋焼」を食べに行く。
この辺は大阪食い倒れのめっか。
行ってみたいところがいっぱいあるなー
特に個展期間は食に対して解放的な傾向があるだけに
この一週間胃腸の調子が心配笑

あ、grafでやってる津田さんのスライドショー見逃した。
それだけざんねーん

7月2日 搬入1日目 込み上げる不安

この日は夕方から搬入。
前の展示の方の搬出が少し遅れて時間は押し気味に。

いざ始めてみると平面はすぐ終わったが、
立体がなかなか終わらない。
メインの立体は全長3m以上あるため、
自宅で3分割して制作し、
搬入してから現場で合体させることに。
この作業が想像以上に時間がかかった。

ギャラリーの鍵を預かって、
終電まで作業。
ここは長屋なので
ほんとに家にいるみたいな錯覚になる。
ただ場所が場所だけにあまり住みたくはないけど、、、
周りは風俗店や飲み屋がいっぱい、
週末ということで外では酔っ払いの恐怖の奇声が響き渡り、
横の音楽スタジオから同じフレーズのベースがずっと続いている。

結局この日は終わらず、
集中力も限界にきたので
切り上げて自宅近くの居酒屋で飲むことに。

まだ作品の全体像が見えてこない。
あの癖のある和紙鵜空間を
本当に自分の空間にすることができるのか、
また不安で押しつぶされそうになるのを
酒の力でごまかす。