2017年12月15日。
なんだか後ろ向きな気持ちから逃れられない。
頑張るなと言われても頑張らないといけないし、会社に何かを求めても返ってこない。
現在育児休暇取得中のため、働いていない。
社会的な自分の現在の位置付けに焦りを感じ、被害妄想。
ちょっと疲れてるのかもしれない。
そんな時、さやかが言っていた言葉をふと思い出した。
「敗北感」
治療も後半に差し掛かり、標準治療は肝機能の低下により出来なくなった。
遺伝子検査は陰性で治験も適用外となり、がん難民となっていた時、
ある病院で肝動注の治療を試してみるため入院していた。
もう亡くなるまで一カ月もない時だった。
その病院に入院していたある日、
髪を洗いたくなって看護師に問い合わせたところ、
「手術の傷口があるので、台所の流し台で洗って下さい」と言われ、洗っていた。
隣に同じような境遇のお爺さんだろうか、四苦八苦しながら髪を洗っていた。
それを見た時に、
この「敗北感」を強く感じたようだった。
妻はまだ33歳の女性。
人によってはお洒落に着飾り、恋愛を十分楽しんだり、
結婚しているのであれば、
大変ながらも子育てに邁進したり、
社会に出て活躍するキャリアウーマンもいるだろう。
33歳はそんな年齢。
そんな中、肝臓と肺に多発転移した大腸がんとなり、明るい未来が消えた。
期待していた標準治療も頑張ったけど、
数カ月で底が付いた。
効果もあるか分からない標準外の治療のための手術で辛い傷を負い、
流し台で知らないお爺さんと四苦八苦しながら髪を洗う自分は何なのか。
それは敗者。
そう思うのは当然かもしれない。
彼女がそれを感じたと切り出した時、俺はどんな言葉を返したか。
気休めの言葉なんて彼女には通用しない。
間違いなく否定より同意。だったと思う。
私も敗者だったから。
あの時は本当に疲れていた。
今日はあの時の感覚が少し蘇ってきた。
苛立ちと悲しみ、敗北感。。。。罪悪感。
復活までは長く遠い道のり。