2017年9月25日。
A病院入院7日目。
場所は病室ではありましたが、
昨日は久しぶりにゆっくりとした家族の時間を過ごす事が出来ました。
A病院に入院してからの妻は、
過度のストレスを感じ、状態が一気に悪化していました。
そんな中で穏やかな時間を過ごせた事は奇跡とも思えました。
でも、現実は変わりません。
一人になると妻はやはり情緒不安定になる。
私達が面会から帰ってきた後に妻から電話がかかってきて、妻はこう言っていました。
「怒られるかもしれないけど、もう治療なんてどうでも良くなっちゃった。早く楽になりたい。。」
早く楽になる。
深い意味で捉える事が出来る言葉ではありましたが、
少なくとももう、A病院に入院し続ける事だけは避けねばならない。
次の日。
娘は幼稚園の日でしたが、午後からお休みをもらい、
昨日と同じように一緒に妻に会いに行く予定でした。
そして、今すぐにでも退院させてもらいたいと、
A病院側に直訴するつもりの日でした。
朝起きてすぐ、妻から電話がかかってきました。
珍しいな。何か持ってきて欲しいものでも出来たかな?
と思いながら、電話に出ました。
「もしもし。どうした?」
「あ、あのね。さっき看護師長さんが病室に来たんだけど、今日の午後から肝動注の治療を開始するんだって!」
!?
「もしもし。どうした?」
「あ、あのね。さっき看護師長さんが病室に来たんだけど、今日の午後から肝動注の治療を開始するんだって!」
!?
耳を疑いました。
肝機能が良くならなければ治療は開始出来ないとあれほど言われて来たのに。
肝機能が良くなったからか?
まさか?
何も治療していないから、状態が良くはなったとは思えない。
本当に不可解でした。
妻に聞いても開始の理由までは分からず。
早く開始の理由を確認したい。
私は、いてもたってもいられなくなり、すぐに娘を幼稚園まで引き取りに行って、その足でA病院に向かいました。
A病院に着いたのは13時頃。
病室に着いて本当にすぐでした。
見知らぬ医師が無言で部屋に入ってきて、肝動注の針を刺し、目線も合わせず、何の説明も無く去っていく。
呆気に取られて何も質問出来ませんでした。
呆気に取られて何も質問出来ませんでした。
この行為により、治療が始まってしまった。
妻も不安そうにはしていましたが、治療は望んでいた事なので複雑な心境ではある。
そして昼間なので、せん妄特有の眠気が強く出ているようでした。
でもやはり。
なぜ治療を開始出来ると判断したのか。
これは明らかにしたかった。
今日の朝、血液検査をしていた事は知っていました。
でも、A病院は血液検査の結果を患者に教えない方針なのは分かっていました。
でも今回だけは絶対に知りたい。
看護師長に頼み込んだ結果。
教えてもらう事に成功しました。
その結果、
肝機能の数値は横ばいで、全く良くなっていない。
どういうことだ?
なぜ治療を開始出来ると判断したのか。
なぜ治療を開始出来ると判断したのか。
そしてこの状態で治療が出来るのであれば、なぜ最初から治療を開始しなかったのか。
全く意味が分からない。
判断したであろう院長先生は手術中で不在。
モヤモヤは抑えきれませんでしたが、すぐに確認出来ないのであれば仕方がない。
待つしかありませんでした。
元々予定していたとはいえ、勢いで連れてきてしまった娘。
家に帰したいけど妻を一人には出来ない。
どうやって家まで帰そうか。。
そんな事を考えている矢先の事件でした。
妻がトイレに行きたくなったようで、トイレに立ちました。
妻がトイレに行きたくなったようで、トイレに立ちました。
私は目を閉じて考え事をしていましたが、妻がトイレにちゃんと行けるか、ふと不安になり目を開けました。
妻は起き上がり、少しふらふらとしながらも、ちゃんとトイレに向かっていました。
大丈夫そうだ。
また目を閉じようとした時、鮮やかな赤い飛沫のような物が飛び散っているのが視界に飛び込んで来ました。
「。。。お、おい!血が逆流してるよ!」
最初は何かよく分からず、血液が逆流してると叫んでしまいました。
点滴中に血液が逆流するのはたまにあることだったので、
最初は瞬間的にいつもの逆流だと思いました。
ところが。
今行っているのは点滴ではなく肝動注。
その逆流した血が行き着くところは、点滴のパックの中ではなく、
床一面でした。
血しぶきはあっという間に床一面に広がり、暴れ回る管によってあたりは血の海に!
これはおかしい!
すぐにナースコールをしました。
看護師がすぐにやって来ましたが、さすがに青ざめて、沢山の看護師が来て大騒ぎになりました。
原因は、肝動注治療で使う抗がん剤のシリンダーと、
鼠蹊部に埋め込んだポートとをつなぐ管の、接続部分のキャップの閉め忘れ。。
もし私が気付かなかったら。
私が居なかったら。
妻がトイレに立たず眠りに付いていたら。
人はどれくらいの出血量で死に至るのかは詳しくは知りませんが。
失血死していた可能性を捨てる事は出来ません。
A病院側もさすがにこのような事故が起きるのは想定外で、
看護師長がひたすら平謝りしていました。
そして。
こんな重大な医療ミスが起きても、医師は誰一人来ません。
もう、怒りを通り越して。
恐怖。
恐怖。
本当に大げさではなく、間違いなく殺される。
早く逃げなければならない。
本気で殺される。
もう無理。
看護師長と会話し、明日の退院を決めました。
肝動注治療の抗がん剤が入ったシリンダーが一旦空になるのに24時間。
本来はここで次のシリンダーに交換するのですが、この1つ目のシリンダーで中止とすることを決めました。
もう治療が開始出来たとか。
抜糸がまだだとか。
そんなレベルの話ではない。
逃げる事が先決。
でも本当に気付いて良かった。
側にいてあげて良かった。。
色々あったけど。
許しがたい行為を何度も受けてきたけど。
やっとこの辛い状況から解放される。
この先の事を考えるよりも。まずは逃れられる目先の喜び。
恐ろしい経験をしたけど、
退院できることが決まったことで、
ほんの少しですが、安堵した部分がありました。
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