2017年9月14日。
 
軽井沢旅行の2日目。
 
 
娘を寝かしつけた後、
 
夫婦二人だけの時間で、
 
妻の本音と私の本音がぶつかり合いました。
 
 
妻は私が考える事を信じてずっと付いて来てくれたから、
 
私の言葉に敏感だったと思います。
 
 
私は絶対に病気に負けたくなかったから、
 
後ろを振り向く事も、
 
立ち止まる事もせず全力で突っ走って。
 
 
それなのに報われない事に、
 
焦りと苛立ちを感じて。
 
妻が求めている言葉を感じ取る余裕が無かった。
 
 
自分の中で後ろ向きな感情が育ち始めて、
 
「大丈夫」という言葉は、
 
無責任な言葉とも感じていました。
 
 
妻もそんな気休めな言葉は求めていない人だった。
 
妻の性格は良く知っていたし、
 
私も気休めは大嫌いだった。
 
 
妻は気丈な性格である。

それは間違いないけど。
 
 
垣間見えた妻の弱さと、
 
正直に出てしまった私の弱さ。
 
 
それを表現することがお互いに出来た夜だった。
 
 
妻を安心させられなくて、
 
逆に心配をかけてしまった事は、悔しくて仕方ないけど。
 
 
最後の最後に、
 
本当の夫婦になれた瞬間の一つだと思っています。
 
 
この日は軽井沢旅行の2日目。
 
1泊2日なので最後の日。
 
 
妻の体調を考慮し、無理に外出するのは止めました。
 
昨日は十分にアウトレットを満喫出来た。
 
チェックアウト時間ぎりぎりまで部屋でゆっくりして、その後は真っ直ぐ帰る事にしました。
 
 
朝ごはんの時間。
 
私は和食。妻は洋食を選んでいました。
 

ホテルをチェックアウトしてホテルの駐車場で記念撮影。

これが娘と妻との最後のスリーショット写真でした。
 
 
妻はあまり自分の写真を撮られるのが好きな方ではなく、拒否される時もありました。
 
でもなぜか娘と一緒に撮る時だけは、
 
いつも笑顔で写真を撮らせてくれました。

 
大変だった子育てだったけど、
 
だからこそ、娘との時間を一番大切にしていたのだと思います。
 
 
ランチは妻の大好きなハンバーガー。

軽井沢アウトレットのクアアイナで買って、車の中で食べました。
 
気持ち悪くなってもいいから食べたい!
 
と言っていた。
 
妻の食いしん坊っぷりには毎回驚かされました。。

 
車を発進して、無事に家に到着。
 
こうして、妻と行く事が出来た最後の旅行は終わりました。 
 
 
明日は9月15日。
 
国立がん研究センター東病院でマイクロサテライト不安定性検査の結果を聞く日でした。
 
この結果で陽性で無ければ、治験に参加する事は出来ず、
 
一発大逆転の夢は絶たれる。
 
 
 
そして既に分かっている事実。
 
2017年10月14日に妻は死ぬこと。
 
 
軽井沢旅行から帰ってきた日から、
 
ちょうど1カ月後のことです。
 
 
でも最後の最後まで諦めなかった癌との闘いはまだ終わりません。

 
大丈夫という言葉は嫌いになったけど。
 
妻の命があと1か月しかないなんて、
 
この時は全く考えもしません。
 
 
全力を尽くし続ける事は、
 
最後まで止める事はありませんでした。