2017年8月4日。
 
退院後の妻の調子は悪くはありませんでした。

釣り堀なんかにお出かけしたりして。
 
無理は承知だけど、やりたい事はやっておきたい。
 
 
腹水は一旦消滅したものの、また少し膨らんできた気がする。
 
 
そして、骨転移の告知があった。
 
 
絶望の中にいる時に、絶望的な事を言われても絶望感はあまり感じなかった。
 
 
骨転移の今後の治療方針についてあれこれ悩むのは止めて、
 
8月9日のJ大学病院の診察を受けるまで、心に蓋をして置く事にした。

 
そんなモヤモヤを吹き飛ばすかのように。
 
さらなる試練。
 
 
息子が40度以上の高熱を出している。
 
咳、鼻水がひどく意識も朦朧として元気がありませんでした。
 
 
この日、朝から近くのかかりつけの診療所を受診しました。

一言で感染症といっても種類が色々あります。

インフルエンザが一番メジャー。
 
でも夏の時期だったから、まずインフルエンザは有り得ない。
 
この当時、流行っていたのがRSウィルス感染症。
 
 
病院に連れていき、感染症の検査をしてみたら。
 
的中。。
 
RSウィルス感染症と診断されました。
 
まだ免疫力が発達していない1歳くらいの子は、
 
RSウィルスに感染すると重症化する恐れがあるので。
 
近くの総合病院に行って診察を受ける事になりました。
 
 
レントゲンを撮って、採血。
 
1歳の子供の場合、採血をする姿は親に見せないそうです。
 
針を刺して泣き叫ぶ姿を見て、可哀想になって拒否をする親が出るらしいので。

 
待合室からカーテン越しに聞こえる息子の悲鳴。
 
何だかこんなのばっかり。。
 
頭を抱えたくなるけど、ふんばるしかない。
 
 
気管支炎が悪化して肺に影が出来ているということもあり、
 
息子の入院が決まりました。
 
 
採血が終わった後の息子。

泣き叫んで放心状態になって、この後すぐに寝ました。
 
 
入院した病室。

 
小児科の乳幼児のベッドには、とても高い鉄格子の柵がありました。
 
撫でてあげたいけど手が届かない。
 
 
点滴をするので針は手首に入れたままでした。
 

心電図とサチュレーションのモニターを身体に巻き付けた息子。
 
すっかり病人になっちゃったね。
 

一番の大変だったのは、

妻が入院した時のように。
 
「また明日ね。ゆっくり休んでね。」
 
と言って帰る事が出来ない。
 
 
24時間の監視体制。

常に息子の側にいてあげなければならない。
 
これが乳幼児が入院した時のルール。
 
 
この日から。
 
息子の闘病生活と、私の泊まり込み生活が始まりました。
 
 
妻の体調は大丈夫か。
 
娘のお世話はちゃんと出来てるか。

心配事は尽きないけど、
 
家族全員で一丸となってこの困難に立ち向かうしかない。
 
もう、辛いのが当たり前なんだから、へっちゃらだと思うしかない。
 

今まで、妻の病気の事ばかり考えていたけど。
 
子供の心配をするという事。
 
これは親として当たり前の事だけど。
 
その当たり前の事をしていいよ、と許しを得たような時間でもありました。
 
 
複雑で表現しがたいですが。
 

この時だけは。
 
子を持つ普通の親の心境に戻れていた気がします。