2017年4月12日。
9回目の抗がん剤治療を翌日に控えた日。
娘の幼稚園の入園式を優先させたため、今回は3週間ぶりの抗がん剤治療となる。
いつも必ず前日に病院で診察を受ける。
前回の治療ではどんな副作用が出たか、それはどれくらいの強さだったか、について主治医に報告をするためだ。
そして、翌日からの抗がん剤治療が開始できるかを判断するため、血液検査はかかさず行う。
白血球の値を確認する必要があるからだ。
この白血球の値が非常に低い値、例えば1500以下になると骨髄抑制の副作用が強く出ており、抗がん剤治療が行えない。
また、感染症のリスクが高くなってしまう。
そして月に1回だけ、腫瘍マーカーの検査を行う。
CT検査は3ヶ月に1回だから、かなりタイムラグがある。
今の諸々の治療効果をリアルタイムで判断するための材料は、この腫瘍マーカーしかなかった。
この日は4月の腫瘍マーカーの検査をする日だった。
今までの腫瘍マーカーの数値。
◼︎腫瘍マーカー記録
2016年11月9日
CEA 3438.4 CA19-9 21000
2016年12月8日
CEA 2698.1 CA19-9 15000
2017年1月4日
CEA 7442.8 CA19-9 33000
2017年2月9日
CEA 1528.1 CA19-9 6928.0
2017年3月9日
CEA 844.0 CA19-9 4168.0
2016年11月9日
CEA 3438.4 CA19-9 21000
2016年12月8日
CEA 2698.1 CA19-9 15000
2017年1月4日
CEA 7442.8 CA19-9 33000
2017年2月9日
CEA 1528.1 CA19-9 6928.0
2017年3月9日
CEA 844.0 CA19-9 4168.0
「腫瘍がぶっ壊れたから」
という主治医の主張があった1月の異常値を除外すれば、順調に右肩下がりの状態だった。
このままのペースが続いてくれれば奇跡が起こるかもしれない。
新しい治療法ハイパーサーミアも始めた。
新しい治療法ハイパーサーミアも始めた。
まだまだこれからどんどん良くなっていくに違いない、と思っていた。
そして今回の数値。
2017年4月12日
CEA 812.4 CA19-9 6810.6
CEAはほぼ横ばいだが、CA19-9は1.5倍以上増えている。
CEA 812.4 CA19-9 6810.6
CEAはほぼ横ばいだが、CA19-9は1.5倍以上増えている。
これが何を意味するのか。
数値が悪化した理由について、主治医いわく。
「ハイパーサーミアを始めたから、また腫瘍がぶっ壊れたのかも。」
またそれか。。
確かに壊死した癌細胞が血中に多く流れ込んだ時に、腫瘍マーカーが上がる事があると聞いた事はある。
少し嫌な予感がした。
新たな治療が影響して腫瘍がぶっ壊れたなんて信じていいのか。
妻が最近胸が苦しいと言い始めている。
痛みを伴う時もあるという。
確実に何か悪いことが彼女の身体の中で起きている。
そしてこれから先の話、腫瘍マーカーの値が改善する事は無かった。
そしてこれから先の話、腫瘍マーカーの値が改善する事は無かった。
これが少しずつ見えてきた治療の陰り。
下り坂を転がり落ちる感覚を覚えるのはまだ先だったけど。
吹いていた追い風が止んだのか。
風を背中に乗せて歩いてきたつもりけど。
次はどこに歩けばいい?
どうすればいいのか分からなくなった。
どうすればいいのか分からなくなった。
そんな思いだった。