2017年3月29日。
当時娘は3歳でした。

3歳の女の子の代表的なイベントと言えば、着物を着せて七五三の記念撮影。
 
どこの家庭も当然のように行われる、大切なイベントだと思います。

 
私達も、娘の着物姿と家族の記念写真を撮るつもりで、近くの写真館の予約をしていました。
 
私はあまり知らなかったのですが、七五三というのは大体11月に行われるようなので、その時期に合わせて写真撮影の予約を入れていました。
 

でも妻の大腸癌が見つかったのが、2016年11月10日。
 
タイミングが悪くて、七五三の記念撮影当日は大腸癌の摘出手術に向けて入院中だったため、妻の姿はありませんでした。
 
でも娘の晴れ姿を何とか写真に収めたいと思ったので、キャンセルする事なく、撮影を予定していたその日に写真館に向かいました。
 
母親がその場にいない事をきっと娘は不安がると思ったし、七五三の着物選びを妻も楽しみにしていたので、病室と写真館をスマホのテレビ電話で繋いで、妻と一緒に着物選びをしました。
 

でも娘の表情は寂しくて仕方なかったようで、終始機嫌が良くありませんでした
 
着物は何とか選ぶ事が出来のですが、やっぱり母親がいないのが悲しかったようで、いざ着替えるときに泣き出してしまい、結局その日は七五三の撮影は出来ずに終わりました。
 
  
それから約4カ月が経ち。
 
妻の体調も回復してきたので、時期外れではありますがこの日、七五三の撮影をすることが出来ました。
 
髪型もしっかりスタイリングしてもらって少しお化粧もした姿の娘。
本当に可愛らしくて女の子の父親になれて本当に良かったと思いました。
 
 
妻も私も着物を着て、8カ月の息子くんも一丁前に着物を着て。
家族4人で記念撮影をしました。
 
色々あって一度は諦めた七五三の写真。あやうく4歳になるところだったけどギリギリ間に合って良かった。
 
素敵な写真が残せてとても幸せな気分でした。
 
 
そしてこの半年後。
 
病気が急激に進行し、覚悟を決めなければならない時期が来た時。
 
妻は4人で撮ったこの家族写真を、自分の遺影写真に選びました。
 
 
家族に囲まれて。
 
幸せそうな満面の笑顔の写真。
 
 
今でも我が家の真ん中に飾られて。

素敵な笑顔で、暖かく私達を見守ってくれています。