2017年3月22日。
この日は、ハイパーサーミア治療(温熱療法)を開始した日だった。

治療を実施する病院は、抗がん剤治療を行っている病院とは違ってはいたものの、バスと電車を乗り継いて30分程度だった。

これくらいの距離なら通うのもストレスが無い。
本当にいい病院にめぐり会えたと思う。
 
 
ここでちょっとだけ医療費の話。
 
この病院のハイパーサーミアは、1つのクール6回まで保険が適用される。
 
期間の縛りは4カ月間。
 
5か月目以降はまた同じく4か月間で6回目まで保険診療可能だった。
 
 
つまり、抗がん剤治療のように隔週でやっても全部保険が効く訳ではない。
 
でも、お金に余裕があるなら、何回でもやっていい。
そんな治療だった。
 
 
治療の効果がまだ見えないため、最初は保険適用の範囲で行う予定だった。
 
でも治療の状況次第では、自費で追加治療する事も考えていた。
 
 
ちなみに自費だと1万円~1万5千円。
となぜか幅がある。
 
謎だったが、この病院は治療を行う曜日で自費の金額が異なっていた。
うーん。深い詮索はしないでおこう。。
 

到着して早速受付を済ませ、治療室へ移動。
 
 
ここから先は妻から聞いた話。
 
治療は汗だくになると聞いていたので、水着を持参し早速着替えた。
気分はすっかり日焼けサロン。
 
手術の傷の部分にはラップとテープで保護した。
傷があるとピリピリ痛みが出るらしい。
 
装置に寝ころび、電極をお腹に挟みこみ、技師さんの合図により「サーモトロン-RF8」スイッチオン。
スーパーロボットみたいなかっこいい名前だったらしい。
 
治療は45分間だったが最初の20分くらいまで、温かいどころかずっとひんやり冷たかった。
 
 
その後、出力値を上げたのか徐々に身体が温かくなり汗ばむように。
 
最後の数分は腰のあたりが針で刺されたようにピリピリと痛かった。
 
嫁さん曰く、背毛を燃やされている感じだという。
 
出力を下げるも変化はなし。
 
 
いったん中止し、ゼリーを塗って再開。今度は痛み無く続けられる。
 
身動き取れないせいか、また痛くなるんじゃないかと少しだけ怖かった。
 
動くと安全装置が作動して停止してしまうらしい。
 
どうやら今回は1回目という事で出力は低め、次回から出力をもっと上げるとの技師さんの説明があった。
 
 
これでハイパーサーミア1回目は終わり。
 
治療が終わった後の妻の様子は、何かをやり遂げたようなすっきりした表情だった。
 
やはり新しいことを始めるのは不安が付きまとう。
 
でもこれなら治療が続けられそうな、手づかみ感がそこにはあった。
 
 
明日からまた抗がん剤治療が始まる。
 
ハイパーサーミアは単体で行うだけでも少しは効果はあるが、抗がん剤と組み合わせる事で、抗がん剤の効果を高められると言われていた。
 

絶望的な現実を知り、死を意識したCT検査から3週間。
 
奇跡が起きることを願うばかりだった。