2017年3月9日。
この日から7回目の抗がん剤治療が始まった。
 
死に物狂いで頑張った抗がん剤治療の効果に失望し、淡い期待をしていた自分が甘かったと自覚。
 
その中で新たな治療「ハイパーサーミア」を見つけ、期待に胸を膨らませた時期だった。
 
 
7回目の抗がん剤治療初日。
いつもの通り採血は前日に済ませ、午前中は児童館に娘を連れて行って、午後から治療開始。
 
治療開始の日はバタバタする事が多かったが、児童館の集まりは来週で終わりなので、このバタバタも今回でおしまいになる。
 
私は今日も臨時出勤だったが、幸い仕事が早めに終わったので、治療が終わる時間には病室に足を運ぶ事ができた。
 
今回の妻の様子はケロッとしていて体調も良さそう。
 
抗がん剤治療をやっている人には到底見えなかった。
 
 
当然のように、外泊届を出して自宅へ向かう。
 
体調が良さそうに見えたが、それは妻の性格がそう見せているだけ。
 
もう私は分かっていた。
手の痺れの症状が辛いはずなのに妻は弱音を吐かなかった。
 
 
オキサリプラチンの蓄積量からすると、7クール目は700mlを超えるのでかなり危険なラインに入ってくる。
 
気を付けて症状の変化をみていかないといけない。
 
でも採血の結果が良かったのは唯一の好材料だった。

やっとALPの数値が初めて3桁まで下がっていて、γ-GPTも200を初めて切った。
 
 
CT検査の結果はあまり良くなかったが、血液検査の結果としてはまずまず。
 
抗がん剤の効果がまだまだ続いている事は感じられていた。
 
 
治療2日目。
私は娘と近くの公園で、サッカー遊びをして楽しんだ。
 
かなり気晴らしになった。
こんなに運動したのは数カ月ぶりかもしれない。
 
特に何もない日常が本当に貴重なものだと感じる事が出来るようになるには、何かしらの代償を払うしかないのだろうか。
 
 
治療3日目。
外泊していたため、病院にポートに繋がっているシュアフューザーの針を抜きに行かなければならない。
 
針を抜く前に生理食塩水入れる必要がある。
医師に頼らず、自分で抜針する人もいるみたいだけど、さすがに素人がやるのは怖さがある。
 
治療中でも家に帰れるだけでも良しとしよう。

 
通院した際、主治医からハイパーサーミアを行う病院の件で話があった。
 
主治医はハイパーサーミアについて相談した後、治療をしてくれる病院を探してくれていた。
本当にありがたい。
 
聞くところによると、ハイパーサーミアは保険点数が低い割に装置が高価であるため、撤退する病院が増えているんだとか。
 
そんな中でも、ハイパーサーミアに尽力している良さそうな病院を見つけたとの事だった。
 
相手側の先生も非常に熱心な方で、医者同士で30分も医療談議をしてしまったとか。
 
これはだいぶ期待できそう。
 

ハイパーサーミアは、局所温熱と全身温熱があるが、現状では局所のみが保険扱いとなる。
 
その病院では、局所温熱を行っており、30センチほどの広範囲で温められるとのこと。
 
これは具体的でいい情報を得られた。
 
信頼する主治医も勧めてくれたその病院に通う事にためらいは無かった。