2016年11月。
 
癌告知をされた月。
 
11月上旬。
 
体温は39.8℃まで上昇。
念のためインフルエンザも調べたが陰性。
 
体も目に見えて痩せてきていた。
 
特に肉が落ちづらいと嘆いていた太ももまでもが痩せてきており、
ここまで来ると、さすがに彼女の身体に重大な何かが起きている予感がした。
 
妻も痛い辛いと嘆いていた。
 
当時のLINEのやり取りを振り返って読んでも心が痛くなる。
もう痛いのは嫌だと。
 
癌の症状は末期にならないと辛くないという。
妻は既にその状態に差し掛かっていたのだ。
 
近くの総合病院で精密な検査をしてもらうよう嫁さんに伝えた。
 
何でもっと早く調べようという発想が無かったのだろう。
 
と言っても出産から数えて3カ月。いつ何をするのが最適だったのか。
 
もっと早く正しい行動を取る事が、果たして出来ただろうか。
 

11月9日。
かかりつけだったK病院にて血液検査とCT検査を行う。
 
私は仕事で会議中だったが、妻からLINEで報告があった。
検査結果はこうだった。
 
「病院で検査をした。何かヤバイ事が起きている。肝臓の血液検査とCTで異常が見つかったから、家族を連れて明日病院に来て欲しい。って先生から言われた。明日仕事休める?」
 
血の気が引いた。
 
「家族を連れて来い」
ドラマで何回か聞いたセリフ。
 
イコール癌。
 
もう仕事にならない。
夜遅くになったけどすぐ自宅に帰った。
 
癌については素人だった。一斉にインターネットで知識を詰め込む。
 
どのサイトを見ても書いていることは明白で、
 
大腸がん
肝転移
ステージ4
 
まだ32歳だぞ?
3カ月前まで出産で大学病院の管理下にあった身体だぞ?

可能性的にあり得ない。
 
そんな不幸が起こりえるはずがない。
 
そう信じて帰路に向かうしかなかった。