12年越しのアイラブユー
Side-A
《8》
まだそばにいたい。
もっと翔ちゃんと一緒にいたい。
あー、オレ酔ってるなぁ・・・
自覚はあるけど
だからって翔ちゃんの腕をつかんだ自分の手を解くシレイが脳みそから出発しなくて
何か言わなきゃって思うのに
翔ちゃんの目を見たまま思考がとまる。
「帰らないよ。」
優しい翔ちゃんがまゆ毛にちょっとだけキュって力を入れて
小さな子供に言うみたいに柔らかく言った。
「ホント?」
メイワクじゃない?
酔って駄々こねて
翔ちゃんオレを嫌わないかな?
「本当。風邪ひくから布団行こう。」
翔ちゃんが『ほら、』って、オレの手をぽんぽんってしてベッドルームに連れて行こうとしてるけど
待って、
それじゃあせっかく翔ちゃん帰らないのにもう寝なきゃいけないじゃん。
酔った頭の中でいっしょうけんめい考える。
どうしたらもっと翔ちゃんと一緒の時間を過ごせる?
どうしたらもっと翔ちゃんと仲良くなれるのかな。
あ・・・
どうしよう今オレ、スゴイ事思いついちゃった。
ドキンドキンって心臓が早くなり始める。
ウソってバレないかな
『ヤダよ!』なんて断られちゃったりしないかな
えぇい!
その時はその時だ!!
「しょおちゃん?」
あぁ、声がふるえそう。
「あの、さ?オレん家、お客さま用の布団、ないからさ?一緒に、寝よ?」