Discostar★Love 4 #131S | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

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4最初から→#1S
前回→#130S

Discostar★Love 4
#131/Side-S





アレ?雅紀トイレって言ってたよな?

トイレじゃないなら、どこだ?



サッと店内を見渡しても雅紀らしい頭部は見当たらず、

奥にあるトイレ前から
視線を流しつつ店の出入り口の方へと足を進める。




雅紀は───、


あいつは、フィズにいるときは自信たっぷりで誰をも魅了するディスコスター様なのに

ステージを降りた実生活ではスゲェ控えめで



いつだって自分より他人(ひと)優先で

どうも自分に自信が持てないところがあって



どんなに一緒にいて

どんなに愛して

どんなに啼かせたって

(時々顔を出す熱い想いは本当だと分かるのに)


しっかり捕まえていないと
ヘリウムガスの風船みたいにこの腕をすり抜けて逃げていってしまいそうで。




『愛してる』とか『好きだよ』なんて言うのはカッコ悪ィと思っていたはずの俺が
 
雅紀に出逢ってからは伝えずにはいられなくなる時がある




店の外に出ようとして表から来た男女をやり過ごした先、

線の細い愛しい姿を見つけてドクンと胸の中で心臓が鳴いた。




「しょぉちゃ・・・、」
「どした?大丈夫か?」




俺を見るなり雅紀が周りを気にせず抱きついて来た。




「ぅお?どした・・・?」




雅紀がこんな風になるのは珍しい。




「ちょ、こっちおいで。」




店の脇の、人目につかない給湯器の陰でギュッと抱き締める。




「雅紀?」




抱き締めながら、さっきのことを思い出す。


雅紀にヤキモチ焼かせて気持ちを素直に出させようなんて、そんなやり方俺たちには必要(あわ)ないんだ。


雅紀の純粋さ、まっすぐさなんてとっくに分かってたはずなのに。



たちまち胸に後悔の念が、
謝罪の気持ちが広がっていく。




「・・・俺が好きなのは、雅紀だけだよ?」




素直にこの気持ちを言葉にする。




「なん、で、」




掠れた声が肩にくぐもって小さく響く。




「なんで分かるのって?」




そっと身体を離して黒目がちな瞳を覗き込んだ。




「ぁ、」




雅紀が俺の視線から逃げる。




「雅紀、俺を見て?」




左手で雅紀の肩を抱き、右手でそっと頬に触れ

不安そうに揺れる瞳の端に滲んだ涙を親指で拭った。




「俺分かっちゃうんだよね、最近。

雅紀が何を考えてるかとか。」




・・・いい歳して笑えるけど、今のこの空間がスゲェ愛おしい。




「え・・・、」




雅紀との愛情を確認しようとするこの瞬間が。




「マロに、ヤキモチ焼いた?」




分かりきった雅紀の、俺に対する愛情を確認して味わいたい。




「焼っ・・・!」




瞬間にして耳まで真っ赤にさせて俯いたその反応だけで十分過ぎるくらい伝わって

ニヤケそうになる。