Believe 27 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

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つながる花2Believe1/26




Believe 27 /Side-S





俺の膝の上で昇りつめた後の

突然溢れた涙のその理由(ワケ)を知りたくて





「雅紀?」





左手をその頬に添えた。




泣くのを我慢する子供みたいにへの字口になった雅紀が可愛くて


宥(なだ)めるように声を掛けた。





「全部、受け留めるから。


全部、雅紀の気持ちを聞かせて?」





あれから、一度も雅紀から責めも問われもしてなくて、


その分、思うことがあったのだろう。




いつも、いつだって、自分の気持ちは表に出さない雅紀だから。


きっと、そんなたくさんの想いが、


言葉になる代わりにキレイな涙の粒になって溢れ出たんだろう。





後から後から、ポロポロと綺麗な粒を零す雅紀が

いつもなら涙を零しながらでも俺を見てエヘヘって笑うくせに




「・・・っう、」




なかなか目を合わせてくれなくて

それどころか腕で顔を隠されて



なんていうか、

距離を、置かれてる気がして



だんだんと焦燥感に駆られ始めた。




「雅紀?

何でもいいから・・・


俺への恨みでもツラミでも、たとえ言っても仕方のないことだって、

雅紀の涙を生み出すその理由(ワケ)を俺にも教えて?」




視線を阻む雅紀の腕を

雅紀の顔の上に乗ったその腕をそっと外して涙を拭ってやり、

祈るようにおでこに唇を押し付ける。




何で・・・

何でこんなことになっちまったんだろう



この世界に足を踏み入れた時

ある程度自分のプライベートを諦める覚悟はしたつもりだった。



雅紀に出会った時

まさかこんなにも自分の人生に関わって来る存在になるなんて思ってもいなかった。



想いが通じた時

俺の人生これ以上望むことはないって
俺と雅紀と、二人で幸せになるんだって

そう思って疑わなかった。




胸が、騒つく。




「雅紀、頼むから、」




頼むから雅紀(おまえ)だけは俺を信じてくれないか



頼むから、俺を諦めないでくれないか



考えないようにしていた悪い方向へと

急激に気持ちが飲み込まれていった。




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