雅紀が泣きそうになってるのには気付いてた。
言葉は交わさずとも、
同じ風景を眺めて
同じ空気を纏って
それだけで分かり合えてる、っていう不思議な感覚───
"解ってるよ"
そう伝えたくて触れた指先。
ピクリとした雅紀の指に、スルリと自分の指を絡めてしっかりと繋ぐ。
互いの体温が行き交い、
沈みゆく陽に雅紀の瞳(め)から光の粒が零れ落ちるのを視界の端に捉えた。
優しい光を放ち小さくなってゆく太陽と
それを反射するキレイな泪・・・
「時間が・・・、止まればいいのにね、
えへ、」
雅紀が照れ隠しのように呟いて笑った。
「そうだな、」
ギュッと繋いだ手に力を込めて
消えゆく太陽を見送った。
「は〜、沈んじゃったね。」
肩から掛けたタオルを靡かせて雅紀が立ち上がって、
潮が引いて遠のいた波打ち際へと歩く。
後を追うように近付くと
雅紀が拾い上げた枝で
『LOVE』
って足元の砂に書いた。
「ベタだろ、」
俺が笑うと
『大スキ』
って書き直して
「だって・・・、
他にコトバが見つからない。」
って、
俺をまっすぐに見て、
また一筋涙を光らせて
首を傾げて笑った。
「───、」
波が、
雅紀の書いた文字を攫って
少しずつ消していく。
「マサキ・・・、」
腕の中に抱き寄せて、
足元へ寄せては返す波に
溢れる想いを託すように
頬に伝う涙を唇に受けて
頬を辿って瞼にもキスを落として
おでこに唇を押し付けて。
「・・・ホントだな。
他に、コトバが見つからない。
・・・愛してるよ、
マサキ・・・」
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