「・・・しょぉちゃん?」
離れた俺を覗き込むように首を傾げてきた、その瞳(め)が
「・・・いや・・・、別に、」
やけに色っぽくて戸惑う。
がっつきたくはないのに、
誘ってンじゃないかって、惑わされる・・・
「あんま、見んなって、」
想いが通じた、
今はそれだけでいい。
そう思うのも本音だけど。
今まで時間をかけて遠回りしたんだから、
今更急ぐことはないじゃないか、
それも本音だけど。
右肩に預けられた相葉くんの頭の重みが。
重ねて弄られてる、右手に絡む相葉くんの指が。
ヤバイな、
押し 倒 したくなる・・・
キス、だけ。
キス、までなら・・・、
相葉くんの様子を見ようと思って
寄りかかられた肩をずらすと
頭をもたげてこっちを見てくる。
「キス、してもいい?」
そんなこと
聞いたことなかったけど
カァッ、て緋(あか)くなって視線を斜め下に落として
照れたように笑ってみせる横顔に
「ね・・・、こっち、向いて?」
身体を向けて右手で髪を撫でる。
頬を染めたまま相葉くんも身体を向けて
ゆっくりと顔を上げて、
視線が絡む。
「・・・いい?
・・・キス・・・、しても・・・?」
雰囲気に流されてとか
そういうんじゃなくて
ちゃんと相葉くんの気持ちがノッてないとキスしたくないと思った。
「ん・・・、シ て?・・・キス・・・。
シ よう?・・・しょぉちゃん、
キス、シ よう?」
相葉くんの右手が俺の左手を掴んでキュって握った。
俺たちは
ゆっくりと互いに唇を近付け
軽く触れたあと
角度をつけて食(は)むように
何度か音を愉しむキスをして
少しずつ触れる時間が長くなって
互いの掌が
互いの身体を
頬を
後頭部を
包む頃には
深く、
濃 密に
互いの舌 を絡 めて
何度も角度を変えて
何度も
何度も
熱を確かめ合うように
なんだか泣きそうになるほどに
愛しく想う気持ちを伝え合った。
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