And if...2-7
おれの腰に添えられた翔ちゃんの手は、特別な意味なんかはないんだ
・・・そう思い込もうとしてるのに、
翔ちゃんの親指が・・・
腰をゆっくりと撫でた気がして、意識が間近に迫った富士山よりも
手を添えられた腰に集中していく。
・・・やっぱ気のせいじゃない・・・
指が・・・
ゆっくりと、上下してる。
「おぉ!アレ富士急じゃね?!」
「フジヤマ!」
「高飛車!」
前の3人がさらに盛り上がるのに合わせて、翔ちゃんも
『戦慄迷宮?!怖ぇー!』
って身を乗り出しながら、Tシャツの裾から左手が直接肌に触れてきた。
ビクッてなったの、絶対バレた・・・
翔ちゃんの手が、腰から背中を撫でていく。
腹筋に、力が入っちゃう・・・
「あ、意外と平日も人がいるんですね。」
「遊園地かぁ~、行ってないなぁ」
「アナタは暇さえあれば釣りに行っちゃうからでしょ」
「オレと相葉くんは観覧車なら乗ったよね?」
「えっ?あっ・・・?!うん、乗ったね!乗った!」
怪しまれないようにはしゃいだふりして答えたら、
その瞬間に、背中から胸側へと翔ちゃんの手が回された。
ぅあ、ちょ・・・、
さすがに、と思って翔ちゃんのことを見たら
・・・また柔らかく笑って
車内を包む洋楽の音に紛れるように耳元で囁いてくる。
「・・・スベスベして気持ちいい肌だね。」
「はっ・・・?!」
し、翔ちゃんてこんな感じだったっけ?
おれ・・・翔ちゃんに遊ばれちゃってんのかな?
固まってるおれを見てフッて笑うと
翔ちゃんは手をシャツの中から引き抜いて、
シートに深く座るとまた外を眺め始めた。
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