P•A•R•A•D•O•X #2 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
腐寄りにつきノーマルアラシックさまは速やかにご退出くださいませ。

前回のお話
Chained Moons #1



Moon#2






久し振りの友人との会話は懐かしく、


俺の知らない世界の話は新鮮で。



海外帰りなのに不思議と逆に力が湧くようで、車中眠くなる暇もなくあっという間に東京へ帰ってきてしまった。




途中で軽食を摂ってから雅紀のマンション近くで車から降ろしてもらう。



挨拶代わりのハザードが焚かれた彼のランクルが国道の車の波に紛れる頃には、


心はもう雅紀に早く逢いたいと、はやる気持ちで一杯になっていた。




実は、雅紀に内緒でNYで買ってきたものが胸の内ポケットに入っている。



NYでの自由時間、雅紀と出かけた時に入ったショップで雅紀が気に入って眺めていたもの。



合わせるとフルムーンになるという

月がモチーフになった珍しいペアのペンダント。



片方が三日月だったソレが、ちょうど今仕上げに入っている「PARADOXという曲のイメージに合うねと言って、ショーケースの中を繁々と見ていたのだ。



「しょぉちゃん、しょぉちゃん、これNYにぱらどっくすの練習に来た思い出にもなるんじゃない?」



なんて言って気に入ってる事をアピールしていたが


ちょうど日本人観光客らしいグループがショップに入ってきてしまって慌てて店を後にするしかなかった。




そのあと、雅紀がニノとどこかへ出かけて行った時、一人で戻ってこっそり買ってきたのだった。





雅紀、これ渡したらどんな顔するかな・・・


自然に笑みをこぼしながらエレベーターで通い慣れたマンションを上がる。




合鍵を使って中に入ると部屋は間接照明だけで薄暗く、


リビングの真ん中のフワフワのラグの上で俺がプレゼントしたブランケットに包まれ、


丸くなった雅紀が猫のようにうたた寝をしていた。







起こそうかとも思ったが、疲れているだろうし荷を解く間だけでも寝かせてやろうと思い


寄り添うように座ってスーツケースとボストンバッグを広げる。



と、小さな箱がボストンバッグのポケットから床へと転がり落ちた。



箱を開けて中の小瓶を手に取り、



・・・しばし眺める。





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