Moon#12
「・・・ンな顔すんなって。
離れられなくなんだろ?」
そう言って、頭をポンポンとしてくれた翔ちゃんの顔はもう、『サクライキャスター』の顔だった。
そう言って、頭をポンポンとしてくれた翔ちゃんの顔はもう、『サクライキャスター』の顔だった。
翔ちゃんは、おでこにそっと唇を押し付けてからおれの目を覗き込むと
「ほら、笑って!」
って、前髪をくしゃくしゃってした。
「・・・じゃ、行ってくる。
「ほら、笑って!」
って、前髪をくしゃくしゃってした。
「・・・じゃ、行ってくる。
すぐ帰るから。
あっち着いたらメールも入れる。
電話もする。
雅紀もロケ、頑張れよ。
ちゃんと食えよ?」
そうして、おれの大好きな人は、
そうして、おれの大好きな人は、
振り向かずに玄関から出て行った。
ここんとこずっと欠かさず会ってたのもあって・・・
ここんとこずっと欠かさず会ってたのもあって・・・
会えない日が続いたら自分がどうなっちゃうのか・・・
翔ちゃんがいないのにちゃんと笑って仕事できるかなって、
正直すごく不安だった。
でも、考えてみたら翔ちゃんがソチに行ってる期間はメンバーもみんなソロ活動の仕事ばかりで。
おれはというと、タイトにスケジュールが組まれた映画の撮影。
たとえ翔ちゃんが日本にいたとしたって
ロクに会えなかったような状況で・・・
実際のところ、「さみしい」なんて、情緒的に感傷に浸ってるヒマもない。
その忙しさに救われながら、
気が付けばもう4日という時間が過ぎていた。
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