Lurked Gloom 12 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
腐寄りにつきノーマルアラシックさまは速やかにご退出くださいませ。


これまでのお話

Lurked Gloom【1】 【11】







[8月XX日 土曜日 20:00]



『翔さん?オレ。終わったら連絡ください。何時でもオッケーなんで。じゃ。』



ピー、という機械音のあと電話が切れる。

単身の仕事が終わってマネージャーの車の中、松潤からのメッセージを再生して動揺する。



ドクン、ドクン、ドクン・・・

{560C881B-71B8-4898-8795-FEC6D5CB7AAE:01}



なんだろう。このタイミングで・・・おそらくは間違いなく雅紀の事であろうとは、本能が察知する。



俺から雅紀を奪うと宣言するのか?

それとも雅紀が一緒にいて、二人から残酷な事実を突きつけられるのか?



 
雅紀との幸せな時間や、グループとしての順風満帆だった日々が脳裏に浮かぶ。

「モデルズ」なんて言われてるあの二人が収録やコンサートで仲良くしてるのは目にしては来ていたけど、単にファンサービスの一環と思っていた。

{D1E892B7-A0F6-48E8-A73E-3B0E0DDE7800:01}

(いや、正直、時には秘かに妬いてたこともあったんだけど。)

15周年、というこのタイミングで、俺達は・・・一体どうなってしまうのか・・・



「くっそ・・・!」



プライベートでたとえどんなことがあろうとも、それを決して表に出してはならない、という仕事に就いている自分たちの身を、今更ながら呪うような気持ちで・・・


それでも前に進むために、見えない道に足を踏み出すように・・・


深く息を吸って目を閉じ、細く長く、身体の中から黒い感情をすべて出し切るように吐き出す・・・


松潤から何を聞こうとも、それが雅紀の幸せに繋がるのなら・・・

{F70A96F9-90AA-4025-BDFB-209CF33153AD:01}


統べて受け入れて、俺のキモチは心の奥底にしまい込んで・・・


雅紀(アイツ)が心を曇らせずに済むように、俺はなんでもないよと笑っていよう、と自分に言い聞かせる・・・




携帯を握りしめる右手を押さえ込む左手も震え、

呼吸困難になりそうに胸の内側が張り詰めて、

鼻の奥がギュッとなって、

視界を滲ませ、熱い滴りが目頭から鼻を伝う。



「・・・っく、」



おでこに携帯ごと両手を充て、込み上げる息を殺して、平静を取り戻そうと固く目を閉じる。



「櫻井さん?どうかしました?大丈夫です?」



マネージャーの声に、心配を掛けまいと3列目のシートから声を張る。


「いやっ、ゴメン、大丈夫。ちょっと飴が喉に引っかかっちゃって。あー、俺、今から松本と会うことになるかも。ちょい電話します。」


気持ちを奮い立たせて携帯の通話ボタンをタップする。




...to be continued