こちらの続きです。


実母と二手に分かれて、私は外来の処置室で術前検査のための採血を行いました。

そのまま病棟へ上がり、部屋の準備が出来ていないので今度は病棟の処置室へ案内されます。

術衣に着替えるように指示をされて着替えていると、ベット周りを囲うカーテンがシャッ!


あんぐり「!!」


担当医とは別の女医さんでした。


女医予防「あらら!やっぱり!!誰、着替え指示したスタッフはむかっ

あなたはいつショック状態になって倒れてもおかしくないの。男性なら死んでるわよ、この採血結果じゃ。ちょっと誰か着替え介助して〜!」


今の私には恐ろしい冗談です。おばけくん

担当医も、この女医さんも雰囲気がよく似ていました。第一印象がチャキチャキしていて頼もしく思ったことを覚えています。


ベテラン助産師さんが来て術衣をベットに敷き、その上に横になるよう指示を受け、ササッと着替えさせてくれました。


そこからはあれよあれよと血圧計を撒かれたり、点滴されたり、足りない血小板の成分輸血をしたりポータブルレントゲンで肺のレントゲンを撮られたり、心電図を付けられました。そしてとにかく説明→同意書にサインの繰り返し。


そうこうしているうちに母が手続きを終えて合流し、担当医もオペ着に着替えて様子を見に来てくれました。



担当医予防「順調に手配できているからね。手術室が空き次第すぐ案内をしたいのだけど、ご主人の携帯がつながらなくてね。仕事中なんだと思うんだけど、手術の前に絶対に会ったほうがいいと思うの。絶対に、ね。電話が繋がったら職場に私から話すこともできるから、来られるように連絡することはできそう?」


夫は実母が連絡をして手術後に間に合うよう来てもらえたらいいねと実母と話していましたが、

それでは遅い、つまり私が出産後に死に至る可能性があることを指し示していることは馬鹿でも分かりました。

でも先ほどのメソメソの私とは違います。

今の私は子を守る母です。病気に対して闘志がメラメラなのです。



「はい、お気づかいありがとうございます。職場に直接掛けて繋いでもらいます。」



主人は医療職のため勤務中は携帯を所持しておらず、緊急時は職場に掛けると事前に決めていました。



びっくり「どうした?病院何かあった?」


闘志メラメラでしたが、やはり夫の声を聞くと涙腺が緩みます。

こんな電話を受ける夫の気持ちを思うと申し訳なさもあります。


悲しい「っ、あのね、今から赤ちゃん産むことになっちゃった。痛みの原因はヘルプ症候群って言う病気だった。血小板も1.2万にまで下がっちゃった。それで、手術前に会っておいたほうがいいって先生が言ってくれて、今から大学病院まで来られるかな。必要あれば、担当医が職場の人に事情を説明してくれるって。赤ちゃんは大丈夫だよ。ちょっと小さく生まれるみたい。

、、、ごめん。」


心配かけてごめん、職場に迷惑かけてごめん、そして、ちゃんと赤ちゃんをお腹で育ててあげられなくてごめん。たくさんのおもいを込めました。

泣いてしゃくり上げてしまうのをなんとか抑えながら、要点を説明します。


びっくり「うん、うん、分かったよ、すぐにそっちへ行くよ。大丈夫だからね。しっかりね。」



主人の勤務先からは少し距離がありましたが、タクシーを使い1時間かからず到着してくれました。

夫が到着した後に担当医から再度説明があり、手術室へ向かう前の5分ほどスタッフの皆さんが室内から退出し、家族だけにしてくれました。