もう一つのマジすか学園 第4章30話 | 指オタクオリティー

もう一つのマジすか学園 第4章30話


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~出会い~

「まっ前田!」

ボランティアもいよいよ明日1日残すのみとなったチームホルモンの面々が

対ヤバ女戦争以来、前田敦子と久しぶりの再会を果たした。

6人は、いやチームホルモンの5人はこの地に訪れて初めてといって良い満面の笑みを浮かべた。

また前田敦子にとっても懐かしく高校生らしい気持ちを取り戻せたのであった。

「そう言えば明日?明後日帰るんでしょ?」前田は笑顔でうなぎに聞いた。

「うん。明日AKB48ってのが来るだろ。それ見て帰ろうってミンナで決めたんだ」

「そっか~大変だったでしょ?」「ううん。ここの人達に比べたら全然だよ」

「まあね。でも、お疲れ様でした」前田はそう言ってホルモンの面々に向かって頭を下げた。

「よっ!よせよ!別に前田のタメじゃねぇし。俺達は好きでやってるんだからよ」

急に頭を下げられたホルモンの面々は少し照れくさくなりヲタが代表して前田に答えた。

「そうだけど・・・なんか言いたくて」「元々は戦争の責任の一環で嫌々ココに来たけど

俺は来て良かったと思っている。テレビの画面を通して見るだけなら、おそらく何も感じ

なかったよ。多分さー『へぇ~すげぇ~』って感じ。でもココに来て目の当たりにして

自分一人の小ささや力の無さも分かったし、それでもそんな小さい力でも人の役に立つってこと。

そしてそんな思いを持った人間が集ると一つの大きな力になるってこと。こんなことテレビ

だったら絶対分からないだろう。本当に来て良かったよ」そう言ってヲタはホルモンの面々を見た。

「うん。そうだね。私も卒業式で戻るまでココで頑張るよ」前田も笑顔で答えた。

「で、明日のAKBってもしかしてココでやるのか?」

園庭でステージみたいなものを組み立てているスタッフを見て、あきちゃは前田に質問した。

「うん。そうみたいだよ。トラックで機材を運び込んでた。AKBの子達も来てたよ」

それに反応したヲタは「マジ!?ドコにいるんだ?」と言いながらキョロキョロし始めた。

「出たよ~格好良いこと言ってても、いざとなるとこれか?」バンジーは冷ややかな目で見た。

「まあドルヲタの血ってやつだよな。こればっかはしょうがないって」うなぎはニヤケていた。

「ちょっと俺、あの人達を手伝ってくるよ!」

ヲタはそう言って返事も聞かず我慢出来ないとばかりに走り出してしまった。

「そう言えば時間、大丈夫なのか?」前田の休憩時間に訪ねてきたホルモンだったがヲタの行動で

冷静さを取り戻したバンジーが思い出したかのように口を開いた。

前田はシュシュと時計をしている左手首を見て

「ゴメン。そろそろ行くね。今日は本当にありがとう」「うん。分かった。じゃまたな」

うなぎがそう答えるとホルモンの面々はヲタの走っていった方向に歩き出した。

「前田・・・夜って時間ある?」「えっ?うん。あるよ」「ならまた来る」「分かった」

ホルモンを見送った前田も笑顔でホームに戻っていった。



ホルモンの面々がヲタの元に近付くとヲタはさっそくスタッフと仲良くなっていて

ステージ作りの手伝いをしていた。

「もう溶け込んでるよ」半ば呆れ顔のバンジーはウナギの顔を見た。

「あれも一種の才能だよな」「ああ~極度の人見知りって絶対嘘だよな」

2人がこんな話をしていると「ヲタってさ~相手に警戒心を解かせるのが抜群に上手いよな」

あきちゃがそう言うとバンジーとウナギはお互いの顔を見つめあい頷き、あきちゃの額に手を置き

脈をとった。「なっ何すんだよ!」「だってあきちゃが『警戒心』とか『解かせる』とか言うなんて

病気か何か悪いもの喰ったんじゃないかと思ってよ」真剣な表情でウナギが答えると

「あ~言ったな!私のことバカ扱いしただろ」「だってそうじゃん。な~」ウナギはそう答え

バンジーの顔を見た。「おっおお。確かにそうだ。なっ」バンジーはムクチの顔を見た。

ムクチは一歩前に出てあきちゃの肩をポンポンと叩いた。

「そうそう私はバカだから警戒心なんて言葉は知らないよな・・・ってなるか!」

「あきちゃがノリツッコミしてるよ!」

ウナギがそう叫ぶとバンジー、ムクチの3人は走ってヲタのいる方向に逃げた。



そのヲタは明日このステージを使うAKB48のメンバーと話していた。

「あんた達、偉いよな。ステージ作りまで手伝ってるなんて」

背は少し低いが妙に迫力あるメンバーに話しかけた。

「偉くなんてないっすよ。あなたの方がボランティアまでしてスゴいっす」

「いやいや、俺達は罰を受けてココに来たんだよ」「罰?俺達?どういう意味っすか?」

同年代の女の子に真剣な表情で聞かれたヲタは少し気恥ずかしくなり

「いやいや、コッチの事情ってやつだ。気にしないでくれ。それより明日は何曲ぐらいやるんだ?」

「私達はヒットした曲がある訳じゃないから5~6曲ぐらいだと思います」

「そうなんだ~俺はあの会いたかったっての好きだぜ」「マジっすか?知ってるんすか?」

「ははは。まあな~俺ってドルヲタなんだよ」「いや、それでも嬉しいっす」

「明日、頑張ってな」「はい。頑張ります・・・」「うん?どうした?」

「いや、頑張るのは当たり前なんですけど・・・私達みたいなのが来て良かったのかな?って思って」

「来て良かったかどうかは、あんた等が決める事じゃないと思うよ」

「それってどう言う意味っすか」「いや、俺みたいなのが偉そうに言うのもなんだけど・・・」

「いや、言ってください」「うん。あんた等が来て1人でも笑顔になってくれれば嬉しいだろう?」

「そりゃ~そうっすね」「その笑顔になった人が『来てくれて良かった』と思ってくれれば良い訳だ」

「そうすっね」「だからやる側が来て良かったのかなんて考えるのはお門違いって事だよ」

「ああ~言われてみれば・・・」「それによ~俺達は片付けしたり色々な事を手伝えるけど、ここの

人達を笑顔には出来ない。それってあんた等みたいな人達しか出来ない事なんだぜ。押し付けてる訳じゃ

ないんだから、もっと自信持ってくれよ」ヲタはそう言って下手くそなウインクをした。

「うん。確かにそうだ。ありがとう。明日、頑張るから見に来てくださいね」

「もちろん言われなくても見に行くよな~」ウナギがヲタの肩に手を置きAKBのメンバーに答えた。

「そうそうヲタは生粋のドルヲタだからな」「3度の飯よりってか」バンジーとあきちゃが茶化すと

ムクチはヲタの背後に回り肩をポンポンと叩いた。

「って言うか何か言えよ!」とヲタがいつも通りツッこんでホルモンのメンバーは爆笑した。

つづく

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マジすか学園スピンオフ まとめ その2