汚したくないと思って


新しい服から新しくない服に着替えた


だけど、その新しくない服はいつかの新しい服で


買ったばかりの新しいときには同じように汚したくないと思っていたもの


だけど何度も着るようになるうちに

いつのまにか汚したくないという気持ちはわたしの中から消えていった



それは新しくなくなったからなのかもしれないし


別の理由でわたしの気持ちが変わったからのかもしれないけれど

真っ白な画用紙にも同じように思うことがある



真っ白な画用紙を汚したくない


だって白は美しいし白ほど汚れが目立つものはないから


自由に表現して

画用紙をもしも汚してしまうことになったら

自分が悲しくなるから



だけど

その反対に画用紙の上で遊びたい気持ちもある


自由に表現したい

自由に遊びたい

画用紙の上で飛んだり跳ねたり踊ったり歌ったり


わたしの中にあるものをぜんぶ画用紙に表現したい


もしも汚れたとしても

それも美しくて面白いじゃないと



真っ白なままにしておきたい気持ちと


どんなものも自由に表現したい気持ち


どちらもわたしの中にあるもの



そんなことを思っていたら、ふとあることを思い出した。


ずいぶん昔に行ったことがある美容室が、壁も床も家具も美容師さんの服もぜんぶが真っ白で。



どうして白にしたのかを美容師さんに聞くと、

僕は繊細だから、清潔感があって自分が落ち着ける場所にしたかったからなのだと。



だけど、真っ白すぎるから、汚れは目立つわ、掃除もまめにしなくちゃいけないわで、逆にストレスで。



お店に来られるお客様は、汚してしまっては申し訳ないと遠慮がちに入ってくるのだそうで、


いろいろと考えた結果、必要以上に掃除をするのはもう、やーめたーとなったのだそう。



多少、汚れたっていいよねと。


お子様連れの方がきても、


汚したっていい


気にせず楽に過ごしてもらえたらなと。


いつからか、そう思うように変わったと、美容師さんは言っていた。



なんだかアートみたいで面白いですねとわたしが言ったら、

次にお店に来られた時は、もしかしたら、お店もわたしの服もぜんぶが赤になってるかもしれませんと、笑いながら言っていてた。



人生もきっと同じなのだろうと思う。


まだ何も描かれていない真っ白な世界からはじまって


嬉しいこと

楽しいこと

悲しいこと

辛いこと


地球でさまざまなことを経験しながら


赤も黄色も青もピンクも黒も白も


色とりどりに変化してゆく



人生もアートと一緒だね。


どんなアートが完成されるのかは、最後の日のお楽しみ





sasha♡