国民投票により、わずか100万票ほどの差で

イギリスのEU離脱が国民の意思として示されました。

ドイツのフランクフルターアルゲマイネ紙によれば

実際の離脱に向けての手続きは時間を要するので

最終的な離脱は2020年あたりになるのではないかと予想しています。

またこの間に再投票が行われる可能性も否定できないとのこと。

いずれにしてもイギリスはEUを離れる。

移民問題がこれほどヨーロッパに大きな影を落とすとは…

シリア難民流入、

海岸に打ちあげられた難民少年の写真、

ドイツメルケル首相による大量受け入れ宣言、

パリやベルギーでのテロ事件

これがジャブとなり増大していった…

EU残留派は今回の離脱問題を経済問題と捉えていた

現にロンドンの金融の中心地シティで働く人は

8割が残留に投票したそうです。

問題を単純化して一つの議題に集約することはできませんが

ただ実際には国民の半数以上は経済よりも

移民問題を優先していたとも言えるかもしれません。

もちろん実際に住んでいる方々が直面している

多くの問題を総合しての投票でしょうけど…

これで実際に失業の矢面に立たされるのは

シリアなどの移民ではなく、

EU圏内の経済の弱い国から働きに来ている労働者

そしてEUの中心地ということでロンドンに本社(もしくは支社)を置いていた

金融や保険の分野の労働者なのだそうです

また、イギリスのEU離脱が進む中で

EU残留の声が大きいスコットランドの

独立運動は再燃するでしょうし

北アイルランドの大英帝国離脱、

もしくはアイルランドとの統合

という話にもなってくるかもしれません。

今回の国民投票に置いて経済問題が

思ったほど国民の関心を集めなかった背景の一つとして

世界経済と政治バランスの変化も大きく関係していると思います

そもそもEUはなぜ成功したかといえば、

第2時世界大戦まで世界の覇権を握っていたヨーロッパだったわけですが…

太平洋戦争の開戦で大戦に大きく関わったアメリカの登場で

戦場となって疲弊したヨーロッパに変わって

戦後アメリカが大きく力をつけ「西側のリーダー」となりました

もはやヨーロッパで争っていてはソ連も含めて大国には勝てない

軍事的にも経済的もいがみ合っていてはダメだという危機感が

21世紀の平和なヨーロッパを生んだ部分が大きいと思います。

ところが近年のアメリカ経済の弱体化、

軍事力の影響力の低下が

(ロシアもしかり)

間違いなくイギリス国民の危機感を薄め

「自分たちだけでやっていける」

という自信の裏付けになっているのではないでしょうか?

ただ結局はこの経済混沌の時代に分離することによって

EUもイギリスも力が弱まる

この状況を一番喜んでいるのは

計画的な経済統制が可能で、

今世界的にも発言権が強くなってる中国ではないでしょうか?

AIIBの効力が今後さらに強まってくるかもしれません

経済も政治もあくまでも手段であり

私たちが幸せな未来を迎えるために本当に必要なことは何なのか?

改めて問いかけてきている

今回のイギリスの国民投票である気がしてなりません