379「アンダー・ザ・ドーム」キングはとうとうディケンズになった | ササポンのブログ

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成功したキングの映像化作品。
「シャーシャンクの空」
「スタンドバイミー」は、
ホラーではなく、短編

「シャイニング」
「キャリー」
「デットゾーン」
「ダークハーフ」は
キング原作というよりは
監督の個性が勝っていて、
好き勝手に撮っている

キングの原作をそのまま映像化されたホラーで
成功作はあるか?

1つだけある


「ランゴリアーズ」

ただ残念なことに
これも原作は中編で、
180分のTVムービーだ。

キングらしい大長編で、
ホラーの大傑作はできないのか?

無理なのか?



キングの長編が映像化しにくい理由は明らかだ。

長いから。

とにかく
キングの小説は長い。

最長の「スタンド」は、
原作本で殴れば、
人が殺せるほどの長さだ。

老女が「今日はいつもとちがう・・」
いやな予感に囚われる・・ということを描写するだけで
100枚使う。
それがおもしろい。
でも
映像化は難しいというよりは
無理だ。

それなら
筋を追えばいいのかといえば
それもだめだ

なぜなら
キングの小説の筋は、
よくあるB級映画だ

目新しいものもなければ
高尚でもない

つまりは
キングの長編を筋だけおって映像がしたら
ただのよくあるB級映画になる
金だけは、
やたらにかかったB級映画・・



さて、
この「アンダー・ザ・ドーム」だが
原作は、キング史上3番目に長い

これを
映像化は、映画では無理。
TVシリーズだ。

そう判断したのは
スピルバーグだ。
いまなら、TVシリーズでも
金がかけられる。

初のキング大長編の映像化成功の条件は
揃った
「アンダー・ザ・ドーム」
どうだったのか?

言わずもがな・・
大成功だ!!

まず
スピルバーグはいまのあTVドラマのトレンドを
使わなかった。

謎が、謎を呼び、
どんどんえげつなくなっていく。
風呂敷を広げるだけ広げて
なんとか
必死に閉じる。

なずけて「JJ手法」
JJとは、
エブラハムさんのことです。
「LOST」「エイリアス」「フリンジ」
「パーソンオブインタレスト」
このパターン、いまやみんなが真似する。
類似品ごろごろ。

僕もこのパターン大好きだが
さすがに
飽きる。

スピルバーグは
この手法を使わず
あえて
伝統的なオーソドックスな
大人から子供までが
理解できる
話法を使った。

つまり、
物語が本来持つ強さを
使った。

なぜなら、
キングはそういう作家だから。

このドラマを見ながら僕は思った。

「とうとうキングは、
ディケンズになったな」

『オリバー・ツイスト』
『クリスマス・キャロル』
『デイヴィッド・コパフィールド』
『二都物語』
『大いなる遺産』などの作品は、
繰り返し映画、ドラマ化され、
古典というよりも、
現代でも物語のひな形になっている。

ディケンズの物語は、
いま、見ても読んでも面白い。
誰でも楽しめる。
それは、彼が物語の持つ力を最大限に生かしているからだ。

キングとディケンズの
紡ぎだす物語に接するといつも思う。
「物語って面白いや」



この「アンダーザドーム」。
いままでのキングの世界のほとんどが展開される。

突然の密封空間
異世界と繋がる子供
狂気に憑りつかれた大人
そして黙示録

もし
これを読んでいるひとで、
キングを読んだことない、
映像化されたものがおもしろくない。
なにが面白いのかわからないひと
さらに
昔のキングは好きだけど、
最近はね・・というひとは
このドラマを見てほしい。

ここには、
キングのすべてがあります。
物語の持つ力があります。