
ダイナーで向き合う
自分と自分
自分に対して
自分が「お前は、自分のことしか考えない」と
未来の、じじいの自分が、
自分を責める
余計なお世話だ・・と
自分は答える
俺は、自分の思う通りに生きるのさ・・と
じゃ、俺も勝手にやるさ・・とじじいの未来の自分
そこに
犯罪組織の殺し屋がやってくる
未来のじじいの自分を
犯罪組織の殺し屋と一緒に
殺そうとする自分
あ!
でも
俺も犯罪組織から
命、狙われてたんだっけ
もともと
タイムトラベルものは
矛盾の塊
それを
論理的にしようとすると
さらに
矛盾が増幅する
要するに
オモシロいならいいのだ
禿げウィルスと
ふさふさジョセフ・ゴードン
田舎のダイナーで向かい合って
「お前は、自分勝手だ」
「いや、俺は、あんただし」
「俺は、お前と違う」
「違わねえよ!」
そりゃ、おもしろい・・と
思ったひとは
観てください
考えない、考えない
ここから、ネタバレです

とりあえず
ファーストシーンから立て続けに描かれる
ルーパーの
お仕事描写が、
なんとも
即物的というか
ヒュときてドカーン
ヒュと来てドカーン
死体からから報酬の
銀をとり
死体を焼き場に落とす
後は
クラブに行ってドラック目薬で
トリップ
殺して、
銀が、多ければ、
それは
未来のお前・・・ルーパーは閉じられて
30年後の寿命が確定
30年後にお前に殺される?
誰に?
お前に!
この設定を考えたときの
ライアン・ジョンソン監督のしてやったり感が
映画の全編を覆う
とにかく
考えたアイデアを全部、
ブチ込む。
そいつが、殺される前に
歌を歌ったんだよ
思い出の歌を・・・
躊躇して
未来の自分を逃がした男は
悲惨極まりない死に方をする
そして
今度は主人公のジョーが躊躇したために
逃がしてしまう
同じ時代に
いまと未来のふたりのジョーが
逃亡する
これだけで
充分に面白いのに
それだけでもかなり
許容量一杯なのに
そこから
また「ターミネーター」をやっちゃう。
正直、
これがいまの娯楽映画なのかな・・と
少し苦笑する
とにかく
ぎっちりぎっちりつめこむ
ぐいぐいと無理やりつめこむ
まあ、
この映画のように
それらを
最後に見事に集約させて
感動のラストに落ち着かせてくれればいいのだが・・
前半の展開がもろに
PKディックの世界観
観た人の中には
なんとなく「ブレードランナー」を思い出したひとが
いるかもしれない
逆転世界、
SF的なガジットを活用して
独自の側面から観た世界
未来からに自分を殺す・・という
わくわくの逃走劇
それだけでもう充分・・
なのに
物語が
なんだか、「ターミネーター」的な
ラブストーリーになっていく
それに対しては
まあ
それぞれの評価があるかもしれないが
僕的には、
やはり少し蛇足かな・・と
時間が短いのでジョーの心境の変化に
かなり無理がある・・と
最近の映画ファンは情報はあるので
「あ、続編のための設定ね」と思ってしまう
「ブレードランナー」的な殺伐の中の
生と死の和解と別離になっていく・・
そっちのほうが
僕には、
好みかもしれないが
恐らく
ヒットしなかっただろうな・・・
娯楽は変化しているもので
それは
実感してきたが
それが
自分とずれてくるといささか
哀しい
つまりは
いまの物語の構成は連続のテレビドラマ向きなのかもしれない
要するに
物語に贅沢になりすぎて
映画という時間の中では無理がありすぎる・・と
この問題は、
これからもたびたび
考えるかもしれない