
ファーストシーン
薄暗い、室内から、
敵を追って
ボンドが
薄暗い、狭い廊下を走り
眩い、外に出た瞬間
圧倒的な光と、音が
スクリーンを満たす
その瞬間!!
映画を観すぎて
DNAにまで映画が食い込んでしまっているひとにとって
何度も、
いや
何度体験しても
すばらしい
至福の
あの、映画的な、
あの、瞬間!!
映画は何でもできる唯一の世界
そういったのは淀川さん
一瞬のうちに宇宙を破壊できる
まるで知らない国の夫婦のいさかいを肌身に感じることも
隣に住んでいるひとの悲しみに嫌悪感を感じることも
なんでも可能
それゆえに
万能がゆえに
映画はそれを総括する
監督のすべてが見える
映画的才能の有無がいやがおうにも
見える
僕や
これを読んでる映画に染まり切ったあなたにも
007シリーズは
ここ近年
その存在意義を問われた
そのきっかけは「オースチンパワーズ」
この映画で笑いとばした、つまりは
もう007というのは、
時代遅れでお笑い草・・と
そのシリーズの歴史と、スキルには
敬意を払うが、
もうあなたは老兵なのだと
スカイフォールの監督のサムメンデスは
製作から
アクション抜きで作ったらどうだといわれたそうだ
その裏には
最近のヒット作「裏切りのサーカス」「ナイロビの蜂」などの
一連のジョン・ル・カレ原作のスパイサスペンスが
あったのだろう
信じられない話だ
007の制作側から「アクション抜き」なんて話が出るなんて
いまの007の置かれた立場がそうさせる
「ボーンシリーズ」でアクション
「MIシリーズ」でガジェットを先行されてしまった
いまの007
しかし
サムメンデス監督は言った
「アクションを含めてこそ007です」
そして
メンデスがこの映画でやった007とは
007である前に
アクション映画である前に
スパイ映画である前に
ガジェット映画である前に
映画であろう・・と
極めて映画的な快楽に満ちた映画であろうと
洞窟に巨大な岩が転がってきて潰されそうになるとか
朝比奈順子が、浴槽で旦那に縛られて、それを義理の弟が覗いたり
屋根に上った三船敏郎が谷を下る野武士の群れを観て雄たけびをあげる
観ている観客の両腕に鳥肌を立たせ
見終えた後、感動で立てない
あのあまりにも映画的すぎる映画
それを作ればいいんだろ・・と
007という巨大すぎるメディアを活用して、そして敬意を払って
このスカイフォールは
見事すぎるほどそれを成し遂げた
だからこそ
007マニアも
新しい007など見たことないひとも
感動して
劇場に殺到した
最近の映画では珍しくリピーターも多いそうだ
つまりは
この映画が映画的であるがゆえに
映画館で観ようと・・観なくてはいけないと思わせる
パワーがあるということだとおもう
観た後で
友だちと深夜のファミレスであのシーンがよかったとか
あのセリフがよかった・・と夢中で話したくなる・・そんな映画
この映画のどこがそんなに映画的なの?と
なにも感じなかったあなたは
恐らく
映画には向いてません
日本のドラマ、およびDVDでどうぞ(=⌒▽⌒=)
(追記)
久しぶりに007じゃないですか、この主題歌