338 「ドライブ」  「ザ・ドライバー」と「ナッシュビル」は危険なので真似してはダメです | ササポンのブログ

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映画、音楽、アニメにドラマ
そしてサントラなブログ
ひとを観ていないものを観ます

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まさか、まさかの
1か月落ちである

一日、5回も更新していた男が
一か月、まったく
音信不通だ

かといって
なにがあったわけでもなく
ただたんに
忙しかっただけ
他に楽しいことがあっただけ

実際
書かなくてもアクセス数は
あんまりかわんない

絶対、安定というか
ま、
観られる記事は変わんないけど

映画を、
全然、観てないという
事実もあるし

と、いうわけで
なにもなかったのごとく
誰も待っていないであろう
再開であります

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再開にふさわしいというか
まあ、
これは観るでしょう
僕的には

まず
驚きなのが
誰も、この映画を語るのに
あの映画と比較も引き合いにも出していないということ

分かる人には
タイトルと、
設定を観ただけで
すぐに
思い浮かぶあの映画
ウォルター・ヒルの
「ザ・ドライバー」

え・・思い浮かばなかった
僕だけなのかなー
だって
主人公が名無しのドライバー・・ってとこも
同じなのに・・


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あの映画のなにがすごかったって
感情が
まるでなかった・・

あるのは
行動のみ。
行動のみがその登場人物たちのすべて

ある意味
究極のハードボイルド映画

正直
「ザ・ドライバー」は
よく企画が通ったと思う
まず100%、ヒットはしない
間違っても無理
ただ
作り手はやりたがる
特に
アクションを得意としている作り手なら
憧れだろう

なぜなら
アクションは感情が絶対条件
ワンパターンな感情が

自らの欲望から発する感情
要するに
金が欲しい
おっぱいがでかい女とやりたい
あとは
惨めないまの状況からの脱出

まず
前半にその状況、感情などの説明に費やされる
これが
また大体、ワンパターン
愛する奥さんが死んでたり
仕事がうまくいかなかったり
上司が、バカだったり・・

大体、
刑事もの相棒ものの
一方は家庭になにか問題がある・・と
もう
またかよ・・の連続

ところが
「ザ・ドライバー」はそれらを
すっ飛ばした。

だから
作り手、特に日々、約束パターンに飽き飽きしていたシナリオライターは
ふっ飛んだ

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さて
今話題のこの「ドライブ」だが
感想をいえば
「気持ちはわかるけど、惜しい!!」だ

まず
この主人公の行動は、
ハードボイルドアクションのひとつの典型
つまり
「死に場所を見つけた」

そのパターンの傑作は「トゥルー・グリット」だろう
要するに
「命をかける価値のあるひとをみつけた」


大体が、
普通の女か子供
この映画は、両方そろっている。完璧。

しかしだ
この映画が落ちている部分があるのだ
それは
欲望



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僕は、この映画をみてずっとわからないところというか
考えていたところがあった

それは
主人公のドライバーが
人妻のアイリーンと、
寝たのか、寝ていないのか?

正直、
僕が鈍感なのかもしれないが
分からない

雰囲気としてはやっている気もするが
もちろん
直接的には描いていない

この
描いていない・・はっきり「わからない」が
この主人公の弱さとなる

前記した
ワンパターンの描写をなぜワンパターンと知りながら
やらなくてはならないかといえば
後半に繰り広げられるアクション、暴力に
説得力をもたせるため

女とやりたい・・だから人を殺す
バカだけどわかりやすい

いまの貧乏から抜け出すために
金を奪う・・わかりやすい

「ザ・ドライバー」はこの辺を完全に超越しているから
説明などいらない
「ドライブ」の主人公の行動原理は
この欲望・・である
淡々としているからそうはみえないが
この男のアクション原理は欲望だ

平凡で幸せな家庭を持ちたい
これだって
孤独な人間にとっては立派な欲望である

この主人公は
その欲望のために滅びていくのだが・・



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この監督は、
おそらく、いや、かなり確信をもっていうが
「ザ・ドライバー」を目指していたと思う

だから
主人公の感情描写が少ない
しかし
行動原理が欲望・・
結果、行動の説得力が、弱くなってしまう。

この男、かなり冷静で、頭がきれる
冒頭の、逃亡ドライブを観ればそれはわかる
ただ
ぶっとばして、ドライブテクで、逃げる奴ではない

だからこそ
後半でアイリーンの旦那とのあの計画
転落の始まりのあれが、
唐突なのだ

もう少しうまく立ち回れないのか
それはあれだよ、
恋に判断が鈍ったんだよ・・
それなら
そこまで狂う、内的欲望を描写しなくては
弱くなる

勘違いしてはいけないのは
「ザ・ドライバー」はもともと欲望がないから
それを描く必要がない
しかし
この映画の主人公は欲望があるのだ
だから
それに
説得力を持たせなくてはいけない
そうでなくては
主人公のすべてが弱くなる

それは
同じ過酷な現状からの女と一緒に脱出する「ザ・タウン」が
すべてが力強く、説得力があるのとは
対照的だ

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ここまで
書いておいてこんなことをいうのもなんだか
この映画、けして悪くない

特に
あの
エレベーターのシーンでは泣いた
見事であります
山田君、座布団、10枚持ってこい!!である

だからこそ
惜しい!!のだ

だめだよ
「ザ・ドライバー」なんかやったら
あれとアルトマンの「ナッシュビル」は
危険なので真似してはだめです

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