
イーストウッドに負けず劣らず
意欲的に
作品を発表し続ける香港映画の雄
ジョニー・トー
最近
連続的に
男ゾロゾロの映画を撮っているので
男臭いアクション監督って
イメージが定着しつつあるけど
この監督
本当はなんでも撮る。
なんでも撮れる。
元々
香港の監督は
多作、多ジャンルの
雑食系でなければ生きていけない。
「イエスタディ・ワンスモアー」などの恋愛ものから
チャウチンシーの映画まで
とにかく
40本近くの監督作がある。
そんな誇るべきトーさん監督作品群のなかでも
ひときわ
異臭・・いや、
異彩を放つ作品たちがある。
「PTU」
「ターンレフト・ターンライト」
「暗戦 デッドエンド」
そして
極め付けが
今回のマッド探偵~でもコンビを組んだ
ワイ・カーファイ監督と一緒に作った
「マッスル・モンク」
アンディラウに
過剰な筋肉じゅばんを着せて
大暴れさせる・・という
あまりにも奇妙すぎる、
でも
傑作映画。
つまり
傑作なんだけど
変な映画・・というのを
トーさんは時々、撮る。
この「マッド探偵~」もあきらかに
変な映画の系譜に入る。
なんせ
主人公のバン刑事が
キチガイである。
そして
さらに
追いかける犯人も
キチガイである。
このキチガイとキチガイの追跡劇に
ノーマル青年が巻き込まれて
どうすりゃいいの????と
困惑してしまう映画。
変である。
と、いうても
物語的には
それほど
斬新ではない。
「レッド・ドラゴン」の系列だ。
しかし
トーさん、
ただの
トーさんではない。
よくある話なら
撮り方、表現を一工夫・・・。
これは
本当に変わっている。
こういう撮り方をした人が
かっていたのだろうか?
詳しくは
書かないが
最初に観たときに
唖然としながらちょっと笑ってしまった。
なんという
即物的な表現だ・・と。
それが
ラストに至って
どんどん、どんどん
斬新になっていく。
キチガイ探偵には
人には見えないものが見える。
しかし
その見えているものは
真実なのか
幻影なのか
お前はどっちのキチガイを信じる?
そう問いかけられた
凡庸な男は
実に
凡庸な
夢もロマンもない
しかし
堅実な現実を選んだ。
こういうところは
トーさんらしい
シニカルさがあふれる。
トーさん好きはもちろんだが
変な映画が好き、
カルトな映画が好きなひとには
たまらない
傑作映画であります。









