295 「ヒアアフター」 観賞後に読むバージョン  ソンドラ・ロックの影 | ササポンのブログ

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ひとを観ていないものを観ます

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とりあえず
この映画、前にも書いたけど
出来る限り
情報を入れないで観てください。

もし
イーストウッドの映画が
好きなら
DVDが出てから・・なんて言わないで
劇場で観てください。
時間がたてば
どんどん情報が入ってきてしまうし
色々と聞きたくなるのも
人情です。

だから
出来るだけ真っ白な状態で
スクリーンで
対面してください。


ここから後はネタバレです。ペタしてね

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この映画は
かなりうがった見方かもしれませんが
イーストウッドによる
恋愛映画・・じゃないかと思います。

それもかなり
絶望的な恋愛映画。

最近のイーストウッドの映画で
理想的な女性、女房として出てくるのは
みんなすでに死んでしまっているひとです。

「許されざる者」の奥さん
「グラントリノ」の奥さん

すべて
死んでしまっています。

「ミリオンダラーベイビー」に
至っては
泣きながら命を奪います。

天涯孤独のふたりが
やっと
お互いに心通じた・・と思った瞬間にある。

すべては
別のひとが脚本を書いているけど
その脚本を気にいって
撮ると決断するのは
イーストウッドだ。

だから
その話には
彼の意志が当然ながら入っている。

これ以前の
彼の作品の中で
女性が
彼のキャラクターの行動や心を変えていたのは
ただひとりの女
ソンドラ・ロックだ。

彼女の出ていた映画では
イーストウッドは
彼女の意志に従って運命を変えるという
キャラクターがある。

「ガントレット」
そして
「ダーティハリー4」

映画としての出来は最低だ。

ファンの間では
不評だった彼女のことを
もしかしたら
みんなが想像している以上に
もしかしたら
イーストウッドは
心の底から
彼女のことを
思っていたのかもしれない。




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だから
別れた後の慰謝料などのゴタゴタが
もしかしたら
彼の心を蝕んでいたのかもしれない。

そんなことを
邪推してしまうほど
この映画が
絶望的な恋愛映画・・なのだ。

この映画で
一番、不可解というか
構成的に
バランスが悪いなあ・・と思うのが
マットデイモン演じる
ジョージが
料理の教室で出会うメラニーとのエピソードだ。

意味的には
ジョージの能力が
いかに普通の人には理解しにくいか
彼の能力と相対するのは
いかに
難しいか・・ということを
描きたかったのだろうが
それにしては
このエピソードの時間が長い。

どう考えても
もっと短く描いたほうがいい。
なぜなら
このメラニーという女性は
物語にそれほど重要ではないからだ。
そのエピソードは重要だが
この女性は、
この後に一切出てこないのだから
あんなに時間をかける必要はない。




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それと比べて
津波に巻き込まれ臨死体験の後
霊能力者となる
マリーとの出会いはラストだけである。

それだけであるが
俗に言う
運命の結びつきってやつを
完全に印象付ける。

つまり
どれだけ時間をかけて
育もうとも
現世における女性との恋愛は
不毛なもの・・と。

それよりも
この世のものではない魂の部分で
結びついていれば
それは永遠のものである。

それは
双子という、
ある種の不思議な結びつきで結ばれた
兄弟の絆もしかりだ。


どれだけ
愛していようとも
我の塊のようなイーストウッドが
自らを変えて
尽くそうとも
現世の愛は
空しく悲しく終わり
醜く変容してしまった。

イーストウッドというひとは
回りが思っている以上に
繊細でデリケートで
違う言い方をすれば
めめしいひとなのかもしれない。



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イーストウッドは恐らく
死後の世界なんて信じていないだろう。
あったらいいとは思っているが
信じてはいないだろう。

この映画は
死後の世界との会話とか
愛する人の死に直面する悲しみと苦しみ・・とか
そういうのがテーマではないだろう。

もし
そうだとすれば
この映画、
極めて出来が悪い。
構成も破たんしている。

イーストウッドはそれよりも
この脚本に魅かれ
あえて
一切手直ししないで撮った理由は
この映画に出てくる
マリーとジョージ、
そしてマーカス少年のような
特異な世界での結びつきでなければ
人は
愛し合えない・・という
そういう、あまりにも絶望的な
イーストウッドの恋愛観を
描いた映画だと
僕は解釈した。

こんなことを考えるのは
恐らく
僕だけ。

他の人はまったく別のことを考える。

そういう映画。


だから
僕にとっては
本年度ナンバー1候補でも
貴方にとっては
ワースト1かもしれない。




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