281 「やくざの墓場 くちなしの花」 昭和51年度 文化庁芸術祭参加作品!!(爆笑) | ササポンのブログ

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なにが驚くって
始まっていきなり出てくる字幕

昭和51年度文化庁芸術祭参加作品

おっと
違う映画のDVD入れちゃったかよ・・
間違ってません。

これ本当に参加を申し込んで
一度は相手が受け入れた・・が
「取り下げてもらえませんか?」と、言われた。

最初は
「やめたほうがいいよ」と
乗り気だった製作者側に言っていた
深作のきんちゃん。

この言葉にカチンと来て
「誰が取り下げるか、ぼけ!!」と
まあ、いうわな、
きんちゃんだもん。

実際のところは最後に取り下げたのだけど
字幕は、そのまま

ま、確信犯でしようなあ。

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史上最凶暴映画「仁義の墓場」のコンビ
深作欣二と渡哲也が
これも冷徹な凶暴男、
笠原和夫の脚本を得て
描くは
あの名作「県警対組織暴力」の世界!!

これで燃えなきゃ
男・・いや漢じゃねえ・・と

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えっと
これは
やくざの幹部の写真じゃありません。

警察の捜査第4課長の藤岡重慶
副本部長の成田三樹夫
署長の金子信雄
警部補の室田日出男

そして、
そのトップに立つ本部長が
大島渚。

もうこれ以上ないほど
イヤな上司。

パワハラなんて当たり前
女性だったら
セクハラ必定。

金子信雄がお膳立て
最初に
大島渚、
次に成田。
そして
最後に室田・・と
もう
ヤラれまくりの枕営業・・。

あくまでも
イメージです。
映画にそんなシーンは
ありません。



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「県警対~」の構造
悪徳警官とやくざの友情。

腐った警察上層部による
一方的なやくざへの弾圧。

そして
破壊・・・。

見事なまでによく似た構成。

やくざの側に梅宮辰夫
悪徳警官に、渡哲也

そして
指輪も回るほど痩せてやつれた・・くちなしのような女に
梶芽衣子。

同じ構図を使っている・・といって
この映画が
それに匹敵する傑作、
もしくは
別の側面を見せる快作になっているか・・と言えば
残念ながら
「県警対~」には敵わなかった。

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まず
「県警対~」で文太が演じた悪徳刑事は
最初からやくざとの癒着が当たり前として行動していて
それが
社会的に悪なのか善なのか、
なんてことを考えもしていなかった。

しかし
この映画で渡が演じる刑事(名前がいいぞ、黒岩だ!!)は
型破りであるが、
最初は
普通の刑事であった。

それがなぜ
梅宮やくざに思い入れして
義兄弟の契りを結んだのか・・。

その辺のところに
説得力があれば
別の意味での傑作となりえた。

強固な構成力を持つ笠原氏の脚本であるから
その辺の心情は
ちゃんと押さえている。

やくざを射殺した過去
そのやくざの女を、情婦にしている。
そして
大陸で生まれ引き揚げてきた渡と
朝鮮人のハーフの梶と
朝鮮人純潔の梅宮やくざ

それゆえに
結ばれた3人の友情・・・。
ちゃんと設定はある。

ただ
それがなぜか弱いのだ。
僕がその心情にうとい・ということもあるだろうが
その心情の表れ方も
いかにも突然なのだ・・。

相手が、朝鮮人と知った途端に
義兄弟の契りを結んでしまう・・・というのが
あまりにも唐突なのだ・・。

これはやはり
僕のこの心情に対する無知のせいだろう。

まだ
私欲や権力で結びついていたほうが
理解できる。

元々
義兄弟を結ぶという行為自体が
やくざ世界で生活している人間以外
いや、
そのにいる人間にとっても理解しがたいのたもしれない。

ゆえに
ラストに向かって
破滅していく黒岩刑事の心が
いまいち、
伝わってこないのだ。

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ただ
画面から放たれるパワーは
相変わらずであり、
どんなに頑張っても
いまのビデオ画面のVシネマでは出せない
人間の生々しい躍動が
やはり
観る者を最後まで引き付ける。

そして
TVの黒岩警部にはない
渡哲也の演じる
黒岩刑事の地べたを這うような
破壊人生はやはり痺れる。

唐突かもしれないが
高村薫原作の刑事ものが
いまいち、
映像化に成功しないのは
この頃の東映映画にあった
どろどろとしたパワーがもう生み出せないからじゃないかと・・。

どう考えても
高村薫の小説が醸し出す匂いは、
いまの映像世界のそれではない気がする。

「マークスの山」も「レディジョーカー」も
あの頃の東映で
深作か、中島貞夫で映画化すれば・・と



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