278 「ゴーン・ベイビー・ゴーン」 イーストウッドを継ぐ男、ベン・アフレック | ササポンのブログ

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ひとを観ていないものを観ます

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どうにも
こうにも、
最近の僕のプログは
他人をディスってばっかりで
作らなくてもいい、敵を作っている
反省、反省・・でも、またディスります。

なんで
この映画が未公開なわけ?

これを観て
なんでお蔵にぶちこめるわけ?

あのさ、
映画の会社に入るってのは
映画が好きだから入るわけでしょ

あ、違うのか・・・
違うんですよね。

そうでなきゃ、
この映画を配給しないなんて
結論は出せないよね。

配給会社の人間は
み~んな映画が大嫌い・・なんだろうよ!!



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「ミスティック・リバー」と同じ原作ということで
どうしても
イーストウッドと比べてしまう。

比べても
遜色はない・・
おいおい
この映画は
ベン・アフレックのデビュー長編映画だぞ

それで
この完成度はなんだ。

正直言って
イーストウッドの「ミスティ」より
はるかに出来がいい。

ファーストシーンの街の風景の撮り方から
もう堂々たる、巨匠の風格なのだ。

弟のケイシー・アフレックを主役に据えて
自分は、
監督に専念した選択は賢明だ。
しかも、
自分によく似た弟を出すことで
自分の存在を思い起こさせる辺り
かなりの
やり手だ。

まあ、
ケイシーも、兄に負けないぐらい達者であるのだが・・。



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誘拐された幼女
乱れた生活を送るその母親。

失踪者専門の探偵カップル
パトリックとアンジーは
幼女のおじとおばに捜査を依頼される。

おばを演じるのが
エイミー・マディガン。
「ストリート・オブ・ファイヤー」の女戦士
驚くほどしわくちゃ顔。いいねえ。

そして
モーガン・フリーマン
安定と言うのは、このひとの演技を言う。

エド・ハリス
このひとが出れば映画は何十倍も魅力的になる。

俳優が、監督をやる場合、
チョイスされた役者のセンスが
その監督の才能である・・と。

そういう意味では
この映画のキャスティングは完璧だ。

物語的には
実は
凡庸だ。

私立探偵ものの
類型の物語。

刑事たちより地元に詳しく
強制的に組まされたエド・ハリスたち刑事より
情報は先んじている。

それも類型的。

昔の海外刑事ドラマで腐るほどあったパターンだ。

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ただ
類型的な物語を綴られた映画というのは
その監督の演出力が
よくわかる。

ベン・アフレックは
徹底的に押さえた演出した。

たとえば
刑事が突然、銃撃されるところ。
パンという乾いた銃声。
倒れる刑事。
それを比較的、ロングで撮る。
そこで実際に起ったように、しかし
いま流行りのドキュメントもどきのグラグラ映像じゃない、
映画としてリアルで
しっかりと表現される。

グラグラ揺らしていれば、
リアルでサスペンスだと思っているトニー・スコットとは
レベルが違う

それゆえに
ラストに向かって
異様に歪んでいく・・それゆえに
悲しすぎるラストが染み渡る。



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悪人ヅラのエド・ハリス
そして
善人ヅラの
モーガン・フリーマン
いかにもあばずれな
エイミー・ライアン
そして
どこでもいそうな
ケイシー・アフレック

そのキャスティングが
この映画が持つテーマに
見事にはまっていく。

誰が犯人か・・なんてことは
どうでもよく
誰が犯人でも悲しく
苦い、この映画のラストは何度でも観れるものとなっている。

犯人の動機や
主人公の選択をどう思うか・・・

正義の話をしよう。

ベン・アフレックがこの映画で語りかける。

そこにある現実を見つめながら
人間の持つ根源的な正義の真実を静かに見つめる。

娯楽としての映画の要素は
すべて
シナリオの構成によって形作られている・・というのも
ドキュメント手法だ。

画面がセンセーショナルじゃないけど
観客を最後まで引き込むテクニックは
構成だ。

それがわかっているベン・アフレック。
頭がいい。
知的というほかない。

それゆえに
現代のアメリカで
イーストウッドを越えられるのは
ベン・アフレックしかいない。
イーストウッドが好きで
本当のサスペンスが好きなら
ぜひ、レンタルして観てください。

新作
「ザ・タウン」
無事に配給される。

よかったよかった。






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