218 「博奕打ち 総長賭博」 Ⅰ 仙波多三郎という名の金子信雄  社会的には正しいひと | ササポンのブログ

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まず最初に言い訳しますと、
写真は

「博奕打ち 総長賭博」
以外のものも使います。

なぜなら
写真が少ない。

必然的に
恐らく
数回に渡って語るにしては
数枚しかないと辛いので

他の
それっぽい
写真を使います。
すいません。

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「博奕打ち 総長賭博」を
再見したときの
衝撃をどう表現しようと
ここ数日ずっと考えていた。

実際に
毎度
凄い映画を紹介するときに
感じるのですが
実際に見てもらうのが
一番いいだろう・・と。

それを
あえて、
くだくだと数回に分けて
語ろうというのだから
それなりに
策略と計略と
思惑がなければ
ならない・・と勝手に思い込んでいる。

と、いうわけで
この手の大お勧め映画を
書く前は
参考文献を買いまくる。
そして読み
万全に整えてからはじめる。

だから
長い・・。

こういう前置きを書くから
また長い。
つまりは、
興味のないひとには、
いや、
興味あるひとにも
うざい・・。

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東映任侠映画
および
実録映画で
うざい存在の代表と言えば
金子信雄。

もう
冒頭から
ぶっ殺されるためだけに
構築された演技プラン。

深夜の映画館で
殺された瞬間に
観客から
拍手喝采される存在。

特に有名なのは
「仁義なき戦い」の山守。
その見事なうざさは
後日語るとして

今回は
この映画において
憎まれ役を一身に集めた仙波多三郎役。
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大体というか
任侠映画の悪役と言うのは
パターンが決まっている。
と、
いうよりか
任侠映画はもう歌舞伎と一緒で
すべてのパターンが決まっている。

悪役のパターンは
たったひとつ
仁義、人道にも劣るやつ。

ただ
見方を変えると
現代人・・ということになる。

この映画の仙波多三郎という男、
あきらかに
やくざとしては仁義にもおとることをやっている。

しかし
組織の頭としては
正しいことをやっているのだ。

つまり
古い体質の組織に
新しい血を入れようとしていたのだ。

政治結社を作って
大陸から
麻薬を買い付けて
ひと儲けする。

そのために
花会の資金を使う。

まったくもって
優れた企業人である。

つまり
乱暴に言えば
やくざとして人間として失格者は
企業人として優秀なのだ。



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この辺は
この後に東映の看板となる実録モノで
顕著になっていくが、
この映画において
男が惚れる男
女が惚れる男
ヒーローである
鶴田浩二演じる中井信次郎
若山富三郎演じる松田鉄男
というのは
世間的に見れば
完全な
どうしようもない
頑固で融通の利かない男たちであり
社会的な
失格者である。

だからこそ
やくざとして
美しいのである。

社会的に正しく
組織の頭として
優秀な
仙波多三郎が
悪党になり成敗される男となってしまう
やくざ映画や任侠映画が
看板の東映と言うのが
現代において
衰退していき
正しい社会人が主役の
東宝が
現代において勝者となったのも
必然と言えば必然なのかもしれない。

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金子信雄というひとは
とても頭がいいひとなので
この映画で
自分の演じる世知にたけた人物に
存在感や知性があっては
いけないということがわかっている。

もし
自分が存在感を持った演技をすれば
主役の二人の
この映画における
ヒロイズムが
つまりは
任侠映画における
正しさに
陰りが出てしまうのだ。

ゆえに
金子信雄は仙波多三郎を
いかにも
憎々しく
いかにも矮小に演じている。

こういう映画全体を俯瞰して見て
演技プランを立てる頭のよさが
現代の演技派としてとても注目されている
某東大香川くんにはない。

偉そうなことを言ってしまえば
本当に演技がうまい人と言うのは
映画を決定的に
俯瞰で見渡せるひとなのだ。