なんせ水野晴郎先生が
最後に観た映画だ。
・・・・。
だから、
なんだ。
いや、
なんでもありません。
「ショーン・オブ・ザ・デット」に続いて
公開がデッドになりかけた映画。
熱心なファンの署名活動によって
無事、公開。
この映画、
なにが不思議だったかと言えば
公開前に
すでにオークションに
DVDが出ていて
それには
しっかりと日本語吹き替えがついていた。
当然、
ブートレックであろうと思われるが、
吹替えは、
プロの声優がやっていたようだ。
普通、
ブートレックなら
字幕だろう・・。
なんで吹き替えが・・・。
どういうことなんだろう・・。
まず
なんでこの映画の監督、エドガー・ライトの作品が
二作連続お蔵入りになりかけたのか・・。
両方とも
アメリカでは
大ヒットしている。
この映画も、
総製作費の8倍も稼ぎ出している。
最近やたらにある
むさ苦しい野郎どもが集まって
ウジウジしている映画や
TVサイズの女優が、
ごちゃごちゃと固まって
SEXとショッピングと食い物の話しかしない映画よりは
よっぽどヒットの可能性はあるのではないか・・。
「ショーン・オブ・ザ・デッド」などは
他のロメロ・ゾンビ・オマージュ映画が
ほとんど公開されたのにかかわらず
「ショーン・・・」だけはDVDスルーである。
なぜか?
もしかしたら
この辺に、
この監督の映画の不思議な魅力を解く鍵が・・・
あるか?
さあ・・・わかんね
この映画
まずオープニングに度肝を抜かれる。
そのスピードと
画面構図のセンスは
群を抜いていて
もう非の打ちどころがない。
このオープニングで
描かれることは
「あんた、優秀な警官だけど
優秀すぎて
目立つんよ。
だから、田舎に左遷」
これがトントン、カンカンカンと描かれる。
こんなもん、
どうでもいいから
とっとと、説明します・・・と。
そして
左遷された先が
平和な村・・・・。
生真面目な主人公は
ナアナア体質な警察のやり方に
我慢できず
その組織の体質を変えていく・・・なんていう
よくあるパターンになるわけない・・・と
思っているこちらの期待をしっかりと裏切って
そういう展開になっていく。
この辺からである
この監督の特異なところ・・。
変なところ・・。
おもしろいところ
前作の「ショーン・オブ・ザ・デッド」でもそうだが、
一見すると
意図的なパロディ映画に観えるのだが
段々、観ているうちに
これは
真面目な本格的なジャンル映画を
撮ろうとしていることがわかってくる。
前作はホラー映画
今回は
ホラー風味のサスペンス映画
とにかく
この監督は昔のザッカー兄弟みたいなパロディ映画を
撮ろうとしているんじゃない・・ということがわかる。
しかし
この監督の間と繋ぎは
明らかに
喜劇映画のそれであるから
そのギャップに戸惑う人は戸惑う。
この監督
前作でもそうだが
今回も
平和なアクションシーンに
いきなり
スプラッタ真っ青の残酷シーンが出てくる。
それはもうすさまじい残酷さで
おもわず観客の度肝を抜く
しかし
次のシーンになるとまたいきなり
平和なお笑いシーンになる。
わかりやすく例えると
「SEX and the CITY」で
おしゃれなレストランで
食事中に
いきなり
サラ・ジェシカ・パーカー が
「いやだ、もうやめてよ、そんな話・・」と言いながら
キム・キャトラルの
頭に
いきなり
フォークを突き立てる・・・
血がビョオビョオ・・・。
そういう感じ?
とにかく
この監督、作品のムードというか
雰囲気がめちゃくちゃ
特に
残酷シーンのテンションが
いきなり
マッドに
MAXまで突き抜けてしまうのだ。
普通ならそういうのは
監督が
作品全体のバランスを掌握できていなくて
混乱した末に
出来てしまった駄作・・・となるわけだが
どうやら
この監督は
そうではないようなのだ・・。
なぜなら
とても
おもしろい作品になっているから。
そして
それが
デビュー作だけなら
偶然にそうなってしまった・・ということになるかもしれないが
二作続けてやったということになると
これはもう
計算してやっているとしか言いようがない。
つまり
この監督、エドガー・ライト、
とてつもない才能の持ち主ということになる。
それならなぜ
二本連続でお蔵になりかけたか・・と言えば
わかんないからです。
中途半端にたくさん映画を観ているひと、
つまり
ま、話題の映画や好きな俳優や有名監督の映画は観ているよ普通の人よりはたくさん見ているよ・・という
つまりは
ノーマルな配給会社で働いているようなひと
もしくは
僕もう誰も観ないような映画ばっかりみてるよ全然知られてない映画ばかり見てるよ・・という
アルバトロスみたいなへんな配給会社で働いているひとには
この映画、理解不能なんです。
つまり
どちらでもないんです。
じゃ
どういうひとがわかるかと言えば
デビットリーンもサムペキンパもリンチもスチュアート・ゴードンも観ます
黒澤はもちろん明も清も、そして「錆びた缶空」の次に「八甲田山」を観るよ・・という
酸いも甘いも味噌も糞もぐちゃぐちゃに見まくっているひとのみが
理解できる映画・・・・なんじゃないのかな・・・
自信ないけど・・・。
ま、いいか。
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