
まずこの映画が
アジア各国で「レッドクリフ」より評価されヒットした理由は
観ればわかる。
そして
日本において
「レッドクリフ」より評判にならない理由もわかる。
一番、はっきりしたのは
日本人は
アジア人ではないということだ。
すでに
アジアの感覚を完全になくしているということだ。
だからこの映画がわからないし
感動もしない。
なぜなら
この映画はもうすべてがアジアだからだ。
まずアジア、特に中華文化圏の小説を読むと
驚くのが
人間の命の軽さだ。
万単位の虐殺など
なんとも思ってない。
ひとりの人間の命が地球より重いなんてのが
リアルなどかけらもない
ファンタジーであることがわかる。
この映画における死々累々はもう並みじゃない。
冒頭から死々累々である。
とにかく
人が死んで死んで死にまくる。
当たり前である。
戦(いくさ)である。
戦とはすなわち死体製造行為である。
この映画は
それを徹底的に描きつくす。
ここからは例のごとく
ストーリーの肝心な部分に入っていきます。
だから
観ていない人は
ストップしてください。
ただ
もうすぐに終わると思うので
急いでみてください。

まず
この映画の主人公3人を紹介していこうと思う。
ジェットリー演じるパンは、
敗残の軍人、生き残りとして登場する。
彼の行動原理は、
すべて軍人としてのものです。
彼は、
たとえ勝ち取った土地であっても
そこに住む住民を凌辱することはけして許さない。
その時代には
当たり前であった
征服した土地の女に対する凌辱も
けして許さなかった。
しかし
征服した土地の軍人に対しての殺戮には
容赦ない。
相手が軍人であれば
その生死は
すべて征服した人間の手にゆだねられる。
この軍人としての倫理観が、
盗賊上がり
貧乏ゆえに軍人となった
アンディラウ演じるアルフと対立する。
投名状とは
義兄弟の誓約書のようなものである。
絶対に裏切りを許さず
もし
兄弟を殺めた兄弟は、これをかならず殺す。
これが
この投名状の基本であり、
この物語の根幹です。
兄弟を殺めた兄弟は、これをかならず殺す。
裏切り当たり前の
戦乱の世に
この義兄弟の契約ほど
残酷なものはない。
それでも
3人は
この投名状を信じた。
ただ
それぞれに
それぞれの考えで信じていたがゆえに
悲劇は起こった。
ジェットリーは
この映画で演技を評価された。
それは
この映画での彼の役が
彼のために作られたような役だからだ。
とにかく
軍人論理に固まった
たとえ
善行を行ったとしても
それは
すべて軍人としての善行であり、
世の中の善行とは
ずれている。
こんな
ある種、偏りのあるキャラは
もうジェットリーそのものである。
つまりは
演技をしているというよりは
ジェットリーが歩いているだけで
このパンという人物になってしまう。
もう誰にも出来ない役ではないかと思う。