128「エイリアン」  映像の革命家だった頃のリドリー・スコット | ササポンのブログ

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この映画の監督は、
リドリー・スコットであります。
当たり前だろう・・という声が聞こえてきそうです。

でも僕は
そのことを忘れていた。

以前の「レッドオクトーバーを追え」のレビューで、
デビューから2作品だけ物凄い傑作を撮って
そのあと、凡庸な監督になってしまうことを
「リドリースコット症候群」という・・・という
素晴らしい暴言を書いたが、
これは
恐ろしい間違いでした。

正確には
デビューから4作品だけ物凄い傑作を撮って
そのあと、凡庸な監督になってしまうことを
「リドリースコット症候群」という・・です。

傑作とは
「デュアリスト」「エイリアン」
「ブレードランナー」「レジェンド」です。

最後の「レジェンド」で徹底的な興行的な失敗をして
なぜか弟を羨ましがって
金儲けに走ってしまった。

とにかく
このデビューからリドリー・スコットの4作品は
輝くべき傑作であり、
特に「ブレードランナー」と
「エイリアン」が
後の映像世界に与えた影響は
計り知れない。

近未来都市と言えば雨が降るアジア風
エイリアンは、みんな涎を垂らしてニュルニュル・・。

まずこの映画の画期的なことは、
このひとを起用したことだろう。
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前衛画家のHRギーガがデザインしたエイリアンや
惑星のデザインは
他のどんなSF映画とも異なる
本当に不気味な魅惑に満ちていた。

この映画で魅せられて
彼の画集を買ってしまったひとも多いだろう。

彼の起用を誰が提案したのかわからないが、
それを決定したプロデューサーはとても偉いと思う。
プロデューサーのなかには
ウォルターヒルもいるが彼のセンスではないから
別のひとだろう。

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まず最初の驚きは、
このエイリアン・エッグ
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なんとこのなかには
糸こんにゃくがうごめいている。
ヌルヌル、ヌルヌル
とにかく怖いというより
おいしそうだった。

これが
いきなりガバッ!!とくる。
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この顔にベッタリと
張り付いている・・という図がすでにしてかなり画期的ではないか。
これを削除するときに
この恐るべきエイリアンの構造が
説明される。
血液が、酸というのがミソだ。
やがて
姿を消してひと安心・・。

しかし
この後に
映画史に残るショッキングシーンが・・。

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この出産シーンのなにが衝撃的かと言えば
腹を突き破って
エイリアンが出てくる・・というのが凄い。
僕の記憶だけですが
この映画以前に
人間の身体を突き破って出てくる生物・・・なんていう描写
観たことない・・。
そういうのがあるのを知っている人がいたら
教えてください。
この映画以降は
氾濫しますが・・。



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さて
逃げ出したエイリアンを
探し出して退治するのですが、
しかし
しかし
本当の敵は仲間のなかにいた・・。

まさかこの映画を見ていないひとは
いないと思いますが
ここからネタバレをしますのでご注意を・・。

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このビルボ・バギンズが・・・
失礼・・・イアン・ホルム、演じるところのアッシュがもうとんでもないやつ。
後半部分のショックシーンは
すべてこのアッシュちゃんがもっていく。

特に
僕が好きなのは
シガニーちゃんを殺すために
震える手で本を丸めて
口の中に突っ込むシーンです。

もの凄いセンスだと思いませんか?
本を丸めて、口に突っ込むなんて
凡庸な監督なら考えつかない・・。

ほんと、この頃のリドリーは凄い。

あのアッシュちゃんの震える手と表情・・。
さすがにサーの称号を持ち
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに14年間所属し
100本以上の映画、TVに出たイアンくん、
まさしく
壊れかけのアンドロイドです。

このアッシュちゃんが
ぶち壊されるところもまたすごい。
真っ白な体液(燃料?)をブウブウ吐きながら暴れ狂う!!
ぶち壊されて、
首だけにされて再始動、
詰問をされるときも
口の中から白い液体、ドロドロ・・。
この辺のセンスも、もう抜群です。

ほんと、この頃のリドリーは凄い。
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この映画
第11回星雲賞映画演劇部門賞受賞しています。
つまり
SFマニアが認めた映画です。
この辺のSFセンスはダンオバノンでしよう。
とてもウォルターヒルにはない・・と思う。

だから
ふたりがぶん殴り合いの喧嘩をしたんでしよう。
まあ、
ダンオバノンは
いつでも誰とでも喧嘩しますが・・。

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この映画のもうひとつの見どころはキャストです。

意外に渋いです。
通好みです。

前記のイアンくん以外にも

Tom Skerritt トム・スケリット
Veronica Cartwright ヴェロニカ・カートライト
Harry Dean Stanton ハリー・ディーン・スタントン
John Hurt ジョン・ハート

渋いです。
渋い陽子です。

ほんとに渋すぎて花がありません。
一番
花があるのが
やっぱりこの方と
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この方でしよう
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ということで
ラストはこの両者の対決となるわけです。
ちなみに
このシーンで
シガニーさんは全裸の予定だったそうです。
観たかったような、観たくなかったような・・。

もうひとつ余談ですが、
TV放映時、シガニーさんの声は
野際陽子さんがやってました。
普通なら結びつかない、この吹き替え
ぴったりでした。

ほんと吹き替えをキャスティングする音声監督の
職人技には、感心してばかりです。
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