寝言と会話をしてはいけない
それは彼岸の国の言語
予知夢をごらんになるそうですね
ですが
その夢、ちょっと問題があるんじゃないかと思いましてね
夢の中に
棲む蟲です。
そいつが
予知夢を見せるんですよ。
それはどんどん増殖する。
この薬で調節したほうがいい。
放っておけば
夢から醒めなくなっちまう
大切なのは均等です
必ず飲んでくださいよ
無くなる頃
またきます。
どうぞそれまで
よい夢を
再び
訪れたギンコの前に
荒れ果てた村
そして
予知夢を観る男、ジンだけが
生き残っていた
待ってたよ
お前に聞きたいことがあってな・・・
聞かせてやるよ
全部な・・。
西の崖が崩れたぞ
またジンの夢が当たったぞ
ありがとうございました
もし予言がなかったら・・。
本当になんとお礼を言ったらよいのか・・
妻のきぬにつぶやくジン
俺は時々
恐ろしくなるんだ
夢に観たままが真になると
まるで俺がしでかしたことのように思えるんだ
そんな・・
だいじょうぶよ、ジン
きっとあなたは皆を救うために
予言を授かっているのよ
だって皆
あなたのおかげで
幸せそうじゃない
恐れることなんてなにもないわ
しかし
ジンの予知夢への恐れは消えず
蟲師からもらった薬を
進んで薬を飲むようになった
津波だ！！
薬によって予知できなかった津波によって
娘のまゆが死んだ・・。
ジンは薬を飲むのをやめた・・
たちまち
予知夢の回数は増え
内容もより正確になっていった
そんなある日
本当の悪夢を見てしまった
指の先から
青い黴
あおいかびが生えて
全身に広がり・・泥のように崩れて・・
眼の前で妻が
そして
村人が崩れていった
悪夢のままに・・
そして
俺一人が
町に残された・・・
ギンコと言ったな
俺は気がついた
あの時
お前は俺を騙していたってことにな・・
なぜだ・・
この蟲は
完全に断つことができないからだ
生涯均整を保ち
共有していくしかないからだ
だが
もし蟲本来の性質を告げれば
宿主は
自分の作り出すものの
大きさに耐えられなくなる
そう
そして
死ねばよかったんだ！！
こんな災いの元は！！
なぜ
生かしておいた！！
何故！！
お前に罪などないさ
蟲に罪などもない
お互いに
ただその生を遂行していただけだ
誰にも罪などないんだ・・。
死ぬんじゃない
生きてくれ・・
生きることが周りの災いとなるなら
人は生き続けられない
たとえ罪とならなくても
耐えられるわけがない
もういい
とても生きられない
それでもギンコは
必死に蟲を探り
ジンに言う
誰にも罪などないんだ・・。
死ぬんじゃない
生きてくれ・・