116 「ピンポン」 天才松本大洋と天才窪塚洋介が作り上げた天才の物語 | ササポンのブログ

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この映画を劇場では見ていない。
観るつもりなどなかった。

なぜなら
僕は
松本大洋の大ファンで
この原作は
発売と同時に購入
帰りの電車で
読んでいて
大友克洋の「童夢」以来、
久々に駅を乗り越したことを忘れるぐらい
感動した漫画だったから・・。
この漫画を
映画に・・
それも実写になんかできるわけがない。

あのペコを生身の人間が演じられるわけがない。
・・・・。
ところが、
やってしまったのだ・・。
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本当に
この映画に出ていた頃の
窪塚洋介は凄かった。

とにかく
神がかりとは
あの頃の
彼の演技を言うのだろう。

演じる役、
すべてまったくタイプが違うのに
すべてに完璧になりきってしまう・・。

そう・・あの頃の窪塚洋介はもう天才としか言いようがなかった。

たからこそ
ペコも演じきれたのだ。

どう考えても
このキャラは生身の人間が演じられるものではない。

まずあのまったくリアリティのない言語形態を
セリフとして言うのは不可能である。
その不可能を、可能にしてしまった。

あの台本を渡されて
リアルなセリフとして再現できる生身の人間は
あの頃の窪塚洋介しかいなかった。
それどころか
最後には観客を感動させた・・。
ドラゴンとの対決の最後のあの笑顔・・。
あの笑顔で
原作のペコすら超えてしまった。

ペコの魅力を
何百倍も膨らませた。
まさしく天才である。
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さらにおどろくべきは
キャスティングである。

大倉孝二は
ナイロンの舞台で
何度も観ていて
大好きな役者だったけど
アクマじゃないだろう・・・違うだろ・・と思っていたが、
とんでもない・・見事にアクマ、そのものになっていた。

他のキャラも完璧だった。

監督・VFXの曽利文彦
脚本の宮藤官九郎 。
それぞれにオリジナリティを持ったふたりが
やったことは
たったひとつ。

原作をそのまま忠実に再現すること。

監督が
キャスティングが決まった瞬間に
この映画の成功を確信した・・と言っていたが
まさに
そのとおりだろう。
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笑ってしまう・・。
うれしくて・・。
まさか
こんなシーンを
そのまま実写でやるとは思わなかった・・。

さすがに
この頃から
松本大洋が乱発する
登場人物の突然の巨大化はやらなかったが

それ以外は
見事にそのままである。

監督は、
この原作が好きであり
その再現のみを目的にして作ったのである。

それほど
他の作り手たちを
熱狂させてしまう
この原作は
完璧であり
いまのところ
僕は
「ピンポン」が松本大洋のベストだと思っている。
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この漫画の主人公
ペコは天才である。

天才的な能力の持ち主である。

それに
続くスマイルは秀才である。

そして
ドラゴン、チャイナ、アクマは
みんな努力した凡人である。

その中でも
飛びぬけて努力したのがドラゴンであり、
だからこそ
ペコとの対決によって
あそこまでいけたのだ。

だからこそ
ドラゴンは満足しながらも
「私はここまでだ・・」と
言いきれたのだ。

アクマが
泣いたのは
ドラゴンが自分の同じ凡人であることを
卓球をやめてはじめてわかったからだ。

同じ凡人なのに
なによりもチームが好きで
卓球が好きであったから
死ぬほどの努力をして
チームを
そして
自分をここまで強くした。

でも
やはり
天才にはかなわないのだ。

どうしたって
敵わないのだ。

でも
天才が観るあの風景は観ることができる。
大いなる努力によって・・。

ただ天才はその風景を簡単に観ることができる。
さらに
上の風景も・・。
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この映画では
残念ながら
カットされてしまった
原作での
ドラゴンのその後の姿も好きである。

そして
スマイルの最後の一言も・・。

僕は
同じように原作を
ほとんど忠実に再現した
アニメ「鉄キン筋クリート」は
あまり好きではない。

そのことは
また別の機会に書くかもしれないが
まったく忠実にやっていると言っても
カットするシーンはあるわけで、
その辺のピックアップの仕方は
さすがに宮藤官九郎のほうが
一枚上であったと言うほかない。

そしてなによりも
ペコを完璧に演じきった
窪塚洋介の凄さに尽きる。

本当に
あの頃の窪塚洋介は天才だった

あの頃の・・・
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