秘密結社「リー・マーヴィンの息子たち」 | ササポンのブログ

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ジャームッシュとジョン・ルーリーはあるパーティで初めてトム・ウェイツに出会った。三人はその晩、ニューヨーク中のバーをハシゴして飲み明かした。その際結成された「秘教的な」(ウェイツ)組織が「リー・マーヴィンの息子たち」。

他のメンバーにリチャード・ボース、ニック・ケイヴ、イギー・ポップら多数の人々がいるとされる。この組織の会員は毎年一度、会合を開く。入会資格は、俳優リー・マーヴィンに似ているか、マーヴィンの息子であるかと錯覚させる肉体的特徴を備えていること(ゆえに女性は入会を認められない)。ジャームッシュを始め面長な顔だちが目立つのはそのせいか。

ジャームッシュはマーヴィンの大ファンで、出演作の中では特に恩師ラズロ・ベネデクが監督した
『乱暴者』(53)を始め、

『復讐は俺に任せろ』(フリッツ・ラング、53)
『リバティ・バランスを射った男』(ジョン・フォード、62)
『殺人者たち』(ドン・シーゲル、64)
『攻撃』(ロバート・アルドリッチ、56)
『特攻大作戦』(アルドリッチ、67)
を好んでいる。


だが一番のお気に入りは
『殺しの分け前 ポイント・ブランク』(ジョン・ブアマン、67)。


「悪党パーカーものの一作だが、このシリーズは『ポイント・ブランク』を観る以前に読破していた。マーヴィンの演じるキャラクターたちが皆アウトサイダーでとても暴力的だという趣向は、僕には魅力的だ。そのうち何人かはとても強い規範──たとえそれが精神病的なものであっても──を保持し、厳格に従っているように見える。『ブラック・エース』(マイケル・リッチー、71)みたいに。あの映画には何ケ所か驚くようなところがある。特にキャディラック・フリートウッドが走って脱殼機に突っ込むと、脱殼機が車をすり砕いてしまう場面なんかが。畜舎にいる麻薬漬けにされた裸の女の子たちを、牛を売るみたいにして売り飛ばす連中がいて、マーヴィンはアウトサイダーの雇われ殺し屋としてそこに出向き、納屋の中にいる裸の女の子の一人シシー・スペイセクを助け出す。ワイルドな映画だ」。


こんな面白いエピソードもある。

トム・ウェイツが北カリフォルニアのソノマ郡にあるバーにいたところ、バーテンダーが彼に「あんたトム・ウェイツでしょう? あそこにいる奴が話したがっているよ」と言った。ウェイツがその男のところに行くと、男は「座りなよ、話がある」と言った。ウェイツは少しカッとなって、「俺に何を話したいってんだ? お前のことなんか知らないのに」と言うと、男は「“リー・マーヴィンの息子たち”とかいうたわごとは何なんだ?」と尋ねた。ウェイツが「それは秘密組織で、俺は組織について話しちゃいけないことになっている」と答えると、男は「気にいらないな」と言った。ウェイツが「お前にとってあれがどうかしたのか?」と聞くと男は「俺はリー・マーヴィンの息子だ」と答えた。
                                 ウェブ@エスクァイアより


ちなみに面長の僕も、
リー・マーヴィンの息子です。