
まず、この音楽を聴いてください。
ジョンウィリアムスの手によるメインテーマです。
ほんとに名曲です。僕は、レコードがすりきれるほど、
何度も聞きました。映画全体のスケールを感じさせてくれます。
僕が、劇場ではじめて観た洋画は、
「ジョーズ」そして、次は、この「タワーリングインフェルノ」でした。
この二本で僕の人生が決まってしまいました。
ショックでした。とにかく物凄すぎて、
口が利けませんでした。
街の映画館から自転車で帰りながら
自分が今見てきたものの、
凄さを
ただ、ただ反芻していました。
とにかくこの映画は、とてつもない映画です。
なにがとてつもないって、マックインとポールニューマンの共演。
絶対にありえないと言われていた。とにかくお互いにライバル視していた。
特にマックインが。
ふたりはとても似た遍歴がある。
まずふたりともプロ級のレーサーである。お互いにレース映画も撮っている。
作品もよく似たものが多い。
「ハスラー」に「シンシナティキッド」。
「暴力脱獄」に「パピヨン」。
「左利きの拳銃」に「ネバタスミス」。
ただ演技者としての評価は、ニューマンのが高く、
それがマックインにとってコンプレックスになっていたみたいだ。
それに当時、
このふたりをキャスティングしようとしたら
莫大なギャラがかかる。
だからこそ、絶対にないと言われていた大スターの共演。
製作が発表されてからも、
どちらかがなにかイチャモンをつけるかもしれないと、
映画会社もファンもドキドキしていた。
作品のほうも、これが笑っちゃうぐらいに、
ふたりが役割分担。
それぞれにしっかりと活躍の場があるという見事な設定と構成。
だれかがギャグで言っていたが、もしふたりの出演時間を計算したら、
ぴったり同じ時間になるかもしれない・・と。
いや、冗談ではなく、本当に同じだったりして。
こういう事情で作られた映画は、大抵、つまんないものが多い。
だって映画なんて作るだけでも大変なのに、
スターさんに気をつかわなくちゃならないなんて・・。
ところが、これが傑作ときてるから、世の中わからない。
特にマックインとニューマンのキャラ分けがうまい。
マックイン・・肉体、
ニューマン・・頭脳、という色分けがよいし、
それを嬉々として演じているふたりも大人。
個人的好みとしては、マックインの
おいおいお前は、スーパーマンか、クスリでもやってんのか、的な活躍ぶりが楽しい。
他のキャストも、凄い。
William Holden ウィリアム・ホールデン
Faye Dunaway フェイ・ダナウェイ
Fred Astaire フレッド・アステア
Susan Blakely スーザン・ブレイクリー
Richard Chamberlain リチャード・チェンバレン
Jennifer Jones ジェニファー・ジョーンズ
O. J. Simpson O・J・シンプソン
Robert Vaughn ロバート・ヴォーン
Robert Wagner ロバート・ワグナー
和田誠氏のエッセイにあったが、
この豪華キャストが
バタバタと犠牲になる。
もうおしげもなく犠牲になってしまう。
そうなると、
へたするとマックインもポールニューマンも
危ないんじゃないかと思ってしまう。
「きっとこんなに登場人物が助からないのは
ジョージケネディが出ていないからだよ」
と誰かが言っていたらしい。
映画ファンならにやりとしてしまうジョークだ。
豪華キャストのなかで、特にいいのが、
フレッド・アステア!!
彼の凄さは、また腰をすえて書いてみたいが、
この映画での彼もいい。
誰もがこんな感じで年を取りたいと思う。
でも無理なんだよね。ほんとすべての仕草に品のある素敵なひとです。
ちなみに彼が、この映画の中で、どうなるかは・・内緒です・・。
ニューマンもマックインも、
一番人気があり、
一番脂が乗っていた時期の
そして
ハリウッドが
絶対的な自信を持っていた頃の
ハリウッドしか作れない
スケールと規模を伴った
見事な芸術。
とにかくこんなめちゃくちゃなビルを
燃やそうなんて思わないし
出来ない。
そこから人間を助け出そうなんて無理を、
平然とやってのける・・。
前年度に、豪華客船をひっくり返したスタッフだから、
それぐらい簡単だったのだろう。

映画らしい映画。
それは
映画しかできないことをやってのけること。
パニック映画は、
その際たるものだろう。
この映画の残像は
のちに
「ダイハード」という大傑作を生み出すこととなる。
そして
巨大なスケールの映画に
負けないぐらいの存在感で屹立した
ふたりのスター。
スティーヴ・マックイン
そして
ポールニューマン
やはりこれも見事なスター映画である。
もういまでは、
これだけのスケールに太刀打ちできるスターはいない。
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