現実の連続殺人鬼が「これはおれのことを描いている映画だ」と叫び
「世界のクロサワ」こと黒沢清が、影響を受けたと言っている作品
「エクソシスト3」
おもろいホラーや、びっくりするホラーはたくさんあるが、本当に怖いホラーは少ない。
そのなかでも、これは僕のナンバー1。
とにかく怖い。なにが怖いって、この映画の全部が怖い。
映っているものが、なにもかも怖い。
監督・脚本は、ウィリアム・ピーター・ブラッティ。エクソシストの原作者でもある。
これを聞くと、映画のアマチュアが、知名度だけで撮った映画と思うかもしれないが、元々、このひとは映画の脚本家だったひと。
監督としても「トゥインクルトゥインクル・キラーカーン」という隠れた快作を撮っている。
小説家としては、キングに「一発の打ち上げ花火」と揶揄されたウィリアム・ピーター・ブラッティだが、映画監督、脚本家としての、その実力は、キングの数万倍も上であったことが、この作品で証明された。
怖えええ・・。この鋏がすげええ・・。
1で、見事悪魔を退治した、カラス神父に、今度は、悪魔が取り憑いた。
連続する残忍な殺人と彼の関係は。そして彼に取り憑いた悪魔の正体とは。
血まみれスプラッタシーンは、ほとんどない。
すべては、その残忍さを想起させるようなシーンで表現される。それゆえに、怖さが倍増する。
反骨の俳優ジュージCスコットが、その事件を担当する警部に扮している。
彼が、どんどん事件の核心に入っていくと、映画はただならぬ雰囲気になる。
ラストは、ほとんど、悪魔と人間の、二人芝居、宗教的な殺戮ショーと化す。
その画面から伝わる怖さは、監督であるウィリアム・ピーター・ブラッティのこの題材に対する執念であろう。
とにかく、この悪魔憑きという概念を持って、人間の本質に、狂気に、迫ろうとする徹底的な執念。
この映画が大ヒットしなかったのは、残念だが、ある意味ではよかったかもしれない。
なぜなら、もしそうなったら絶対に、この映画を真似て殺人を起こすやつが出るから。
本当に後を引くバットインフルエンザ(悪影響)な映画。
本気の恐怖映画です。