北野武監督(ビートたけし=63)の新作「アウトレイジ」(6月12日公開)が、
第63回カンヌ映画祭コンペティション部門で正式上映された。
上映後には3分半のスタンディングオベーションで称賛され
「客をKOした」と喜んだ。
評価は賛否両論だが、バイオレンス作品だけに反応は想定内で、
海外セールスも好調。
現地時間23日の授賞式で最高賞パルムドールなど各賞が発表される。
11年前とはまったく違う評価だ。
99年、コンペティション部門に選出された「菊次郎の夏」は、
上映での反応も、映画記者らによる評価、地元紙の反応も
かなり高かったが、結局は無冠に終わった。
北野監督は「痛めつけられてトラウマになった。いくら褒められても
期待することは絶対やめよう」とまで思っているという。
「アウト-」の評価はかなり割れている。
会場で配られる情報誌「SCREEN」での各国映画記者の評価は、
★4つを満点として、★か★★が多く、無星の「BAD」の評価も。
平均点は0・9点と、これまで上映された8作品の中では最下位と厳しい。
しかし地元紙は、北野監督と作品に2ページを使う破格の扱いだ。
「キタノはKO?」と見出しを掲げているが「足りないのは
パルムドールだけ」「今年はキタノイヤー」などと評価し、
監督賞(グランプリ)に北野監督を挙げた。
午後10時半から最も大きな劇場リュミエールで始まった
正式上映では、席を立つ人はほとんどいなかった。
うめきや笑い、拍手などの反応があり、満員の約2500人は
3分半のスタンディングオベーションでたたえた。
終了後、北野監督は「見事に客をKOした。半分以上立つかな
と思った。バイオレンスでこれだけ反応がいいのは意外」と喜んだ。
ヤクザの抗争と激しい暴力描写があるだけに、
賛否両論は想定していた。
北野監督は「よくぞカンヌがこの映画をコンペに呼んでくれた。
感謝感激。誇り高いコンペに選ばれて、なおかつ賞なんて
ずうずうしいことは言わない。こっちに来てびっしりインタビューで
埋まってるんだけど、それがありがたい」と話した。
さまざまな評価があることが、作品への興味そのもの。
注目度が高いことは間違いない。
欧州を中心に配給交渉が続いており、すでにフランス、ロシア、
香港などどの配給が決まっている。