ちょっと気の利いた女子ならば一度ならずとも「道ならぬ恋」の経験もおありだろう。
今回は生まれながらのヒール(悪役)であるM嬢の禁断の恋の話だ。
■M嬢、友人の男を横恋慕の巻 ~いけないと思いつつも止まらない激情~ 編だ。
あれは秋から冬に変りつつある肌寒い季節だった。
彼と私が出合った時は、すでに私の友人の女性は意思表明をしていた。
「彼のこと、少しイイなと思っているの」と。
私も彼のことは少し気になりつつも表面上は「頑張ればいいんじゃない」と彼女の思いを支持していた。
そんな状況でありながら、友人同士の飲み会で私と彼と彼女は一堂に会してしまった。
最初にきっかけを作ったのは彼の方だった。
いや、きっかけと言うほど目に見えるものではない。
例えば、彼女が席を外した時の私に対するねっとりとした湿度を帯びた目線。香り立つ芳香。
彼は香水をつけているのだが、香水は一般的に体温の上昇とともにその香りを強く放つ。
明らかに彼女がいないところで彼は私に対して身を乗り出し、その度に香りはきつく私の鼻を擽った。
元々彼に少し興味があっただけに、向こうがその気なら少し火遊びをする程度で私は彼の誘いに応じた。
しかし一度彼と接触するともう止まらなかった。
隠れて味わう蜜の味に私は溺れて行き、数回逢瀬を重ねてしまったのだ。
ふと気づくと、私の手首には痣が出来ている。
力が強く、また性急にことを進めようとする彼は私の手首をきつく掴んだ。その時にできた痣だろう。
私は元来皮膚が薄く血管が透けるほど色白で、痣ができやすい体質なのだ。
過去の男の中ではそれを面白がって、執拗に私の体中に情事の痕跡を残した人もいた。
あたかも自分が征服した証を女の体に残そうとするように。
私は彼のつけた手首の痕跡を虚ろな目で見つめた。
・・・ああ、なんと甘美な傷跡なのだろう。
そう、女には消えて欲しい傷と消えて欲しくない傷があるのだ。
その痕を見つめては彼と過ごした時間を反芻する。私を見つめる強くも愛しい目線を思い出す。
私は身も心も彼に溺れた。
しかし彼女に言うことはできない。
「こんなことがバレたらどうなるのだろう・・・」
その脅えは間違いなく私の気持ちを昂ぶらせていた。
女にとって程よい障害は恋を盛り上がらせるスパイスとなるのだ。
ドロ沼にはまりながらもどこかその状況を楽しんでいる私。結局、私も単なる女の一人だったのだ。
しかしスパイスだけでは腹は満たせない。
・・・この禁断の恋もついに終わりを迎えることになった。
彼と私が接触している場面を彼女に目撃されたのだ。
彼女は一瞬不思議な顔をしたのち、全てを理解したようだ。
この手の女の勘には、どんな理屈も言い訳も通用しまい。
彼女は私に歩み寄りこう叫んだ。
「この泥棒猫!!」
すでに彼に、いやこの状況に溺れていながらもどこか楽しんでいる私は妙に投げやりな感情になった。
もう雌猫でも泥棒猫でもなんでもいい。むしろ大好きな猫に例えられるなんて光栄だ。
ついでにナメ猫プレイは私の得意ジャンルだ。
―――終焉―――
彼女は怒っていた。なぜなら私が彼の全てを貪ってしまったからだ。
「どうしてシェアしてくれなかったの!?」今や悲しげに眉をひそめて彼女はこう言った。
そうか・・・。二股でもいいほど彼女は彼にゾッコンだったのか。
「ひどいよ!M嬢、どうして?どうして全部・・・
ひとりで食べてしまうの!?」
そう言ってがっくりと床に崩れ去る彼女。
「ご、ご、ごめーん。ホンマは一切れだけって思ったんやけど。
ひとつ食べたら止まらんくなってもうて・・・。ていういかアンタのトイレが長すぎるねん!」
開き直る悪女・・・汝の名はM嬢。
こうして飲み会での激しい女子同士の
―イベリコ豚の照り焼バトル- は終わりを遂げた。
私はせっかちに箸を伸ばした時に手首についた照り焼ソースの痕を業務用オシボリで拭った。
ふっ、情事の痕跡なんて簡単に消せるものだ。
このように、ヒトは必ずしも倫理に従って動くものではない。
性善説を信じる人はいるかもしれないが、理屈の前に本能が勝つこともあるのだ。
「分かっちゃいるけど、しゃーないやん」てな具合の事態も起こりうるのだ。
そこで世の中の女子に提案というか示唆だ。
意中の彼を狙っている伏兵は意外と身近にいたりするし、友人の意中の彼が貴女の運命の相手かもしれない。
小難しい常識や悟性に縛られていたら可能性を見失うこともあるかもしれないのだ。
さて、突然ではあるもののいい女でありたい貴女に贈る2006年のスローガンだ。
「なんでもアリって感じぃ?」
ぜひこの含蓄に富んだ台詞をドンキで買ったエセエルメスの手帳にでも書き込んでいただければ幸いである。
今回は生まれながらのヒール(悪役)であるM嬢の禁断の恋の話だ。
■M嬢、友人の男を横恋慕の巻 ~いけないと思いつつも止まらない激情~ 編だ。
あれは秋から冬に変りつつある肌寒い季節だった。
彼と私が出合った時は、すでに私の友人の女性は意思表明をしていた。
「彼のこと、少しイイなと思っているの」と。
私も彼のことは少し気になりつつも表面上は「頑張ればいいんじゃない」と彼女の思いを支持していた。
そんな状況でありながら、友人同士の飲み会で私と彼と彼女は一堂に会してしまった。
最初にきっかけを作ったのは彼の方だった。
いや、きっかけと言うほど目に見えるものではない。
例えば、彼女が席を外した時の私に対するねっとりとした湿度を帯びた目線。香り立つ芳香。
彼は香水をつけているのだが、香水は一般的に体温の上昇とともにその香りを強く放つ。
明らかに彼女がいないところで彼は私に対して身を乗り出し、その度に香りはきつく私の鼻を擽った。
元々彼に少し興味があっただけに、向こうがその気なら少し火遊びをする程度で私は彼の誘いに応じた。
しかし一度彼と接触するともう止まらなかった。
隠れて味わう蜜の味に私は溺れて行き、数回逢瀬を重ねてしまったのだ。
ふと気づくと、私の手首には痣が出来ている。
力が強く、また性急にことを進めようとする彼は私の手首をきつく掴んだ。その時にできた痣だろう。
私は元来皮膚が薄く血管が透けるほど色白で、痣ができやすい体質なのだ。
過去の男の中ではそれを面白がって、執拗に私の体中に情事の痕跡を残した人もいた。
あたかも自分が征服した証を女の体に残そうとするように。
私は彼のつけた手首の痕跡を虚ろな目で見つめた。
・・・ああ、なんと甘美な傷跡なのだろう。
そう、女には消えて欲しい傷と消えて欲しくない傷があるのだ。
その痕を見つめては彼と過ごした時間を反芻する。私を見つめる強くも愛しい目線を思い出す。
私は身も心も彼に溺れた。
しかし彼女に言うことはできない。
「こんなことがバレたらどうなるのだろう・・・」
その脅えは間違いなく私の気持ちを昂ぶらせていた。
女にとって程よい障害は恋を盛り上がらせるスパイスとなるのだ。
ドロ沼にはまりながらもどこかその状況を楽しんでいる私。結局、私も単なる女の一人だったのだ。
しかしスパイスだけでは腹は満たせない。
・・・この禁断の恋もついに終わりを迎えることになった。
彼と私が接触している場面を彼女に目撃されたのだ。
彼女は一瞬不思議な顔をしたのち、全てを理解したようだ。
この手の女の勘には、どんな理屈も言い訳も通用しまい。
彼女は私に歩み寄りこう叫んだ。
「この泥棒猫!!」
すでに彼に、いやこの状況に溺れていながらもどこか楽しんでいる私は妙に投げやりな感情になった。
もう雌猫でも泥棒猫でもなんでもいい。むしろ大好きな猫に例えられるなんて光栄だ。
ついでにナメ猫プレイは私の得意ジャンルだ。
―――終焉―――
彼女は怒っていた。なぜなら私が彼の全てを貪ってしまったからだ。
「どうしてシェアしてくれなかったの!?」今や悲しげに眉をひそめて彼女はこう言った。
そうか・・・。二股でもいいほど彼女は彼にゾッコンだったのか。
「ひどいよ!M嬢、どうして?どうして全部・・・
ひとりで食べてしまうの!?」
そう言ってがっくりと床に崩れ去る彼女。
「ご、ご、ごめーん。ホンマは一切れだけって思ったんやけど。
ひとつ食べたら止まらんくなってもうて・・・。ていういかアンタのトイレが長すぎるねん!」
開き直る悪女・・・汝の名はM嬢。
こうして飲み会での激しい女子同士の
―イベリコ豚の照り焼バトル- は終わりを遂げた。
私はせっかちに箸を伸ばした時に手首についた照り焼ソースの痕を業務用オシボリで拭った。
ふっ、情事の痕跡なんて簡単に消せるものだ。
このように、ヒトは必ずしも倫理に従って動くものではない。
性善説を信じる人はいるかもしれないが、理屈の前に本能が勝つこともあるのだ。
「分かっちゃいるけど、しゃーないやん」てな具合の事態も起こりうるのだ。
そこで世の中の女子に提案というか示唆だ。
意中の彼を狙っている伏兵は意外と身近にいたりするし、友人の意中の彼が貴女の運命の相手かもしれない。
小難しい常識や悟性に縛られていたら可能性を見失うこともあるかもしれないのだ。
さて、突然ではあるもののいい女でありたい貴女に贈る2006年のスローガンだ。
「なんでもアリって感じぃ?」
ぜひこの含蓄に富んだ台詞をドンキで買ったエセエルメスの手帳にでも書き込んでいただければ幸いである。