困った話をしよう。
私は決して記憶力は悪くないのだが、どーにもこーにも人の名前と顔が覚えるのが苦手のようだ。
とか書くと、私のことをすげーダラしなくって、冷たい女だと思う方もいらっしゃるかもしれん。
確かにわしは街中のベンチで横になって大いびきかくほどダラしないし、
泣いてすがる男を無表情でドブに放り投げるほど冷たい人間やからしゃーないけどな。ふっ。
しかし顔と名前を覚えられないと気まずい経験が多くなるのも、これディスティニー。
例えばこうだ。
とある昼下がり、営業の帰り道で飯田橋の歩道橋を歩いていたM嬢。
商談は鬼のように冴えまくり、大型契約をゲッツ。そして今宵は合コンだ。ついつい歩道橋でスキップ&ターン。
そんな私の軽やかな足取りをとめる中年男性。
「Mちゃん、久しぶり。いやー、元気だった?」
・・・誰やこのおっさん。
いや待て。この中肉中背で下がり気味の眉は確かに私の過去のどこかにソフトタッチしている気配はする。
そんな心の狼狽はひた隠しにして、デキる大人としては「いやいや、本当ですねえ。いつ以来ですかねえ?」
と過去の接触を慎重にリサーチするべく無難な質問を試みる。
「うーん、4年ぶりとかかな」
ちゃうやろ!そんなスっとぼけた答えやなくて、場面を聞きたいんじゃー。この猫背オヤジ!
私はそのおっさんの正体を探ろうと、過去の数々のグローバルな自分の活躍場面を思い起こした。
チェンマイの奥地で香ばしい草を密売していた時の卸業者だったか、
はたまたドバイで40カラットのルビーの指輪を購入した時の宝石商か、
あるいはスイス銀行でダーティーマニーをロンダリングした時の仲介屋か・・・。
・・・あかん。
この青山の2パンツスーツを着ているようなおっさんからは私の過去の栄光の匂いは微塵も感じられない。
そして、一通り何の手がかりも提供しないような世間話をしたおっさんは、水道橋方面に去っていった。
ま、ええか。
何事にも執着を見せないのもまたオトナの証。
そのおっさんのことはぺろ~んと記憶から抹消し、私はまた今日の合コンの秘策を練り始めた。
※だいぶ経ってから思い出したんだけど・・・。たぶん、あのおっさんは私のイトコだかハトコだ。
確か40歳過ぎても独身でお見合いパーチーに通い続けていた「何とかニイチャン」や。
だって、しゃーないやん!M一族ってば数が多すぎて全然誰が誰かワッカんな~いんだもん。
いやー・・・あの人、まだ独身なんかなあ?
またとある時はこうだ。
夕暮れの銀座を歩いているM嬢。初夏の昼の終わりと宵の始まりが絶妙にブレンドされた心躍る時間。
今夜のファイト一発のデートのため、美容院に向う私はすれちがう女を見て「!」と思った。
明らかに知っている人だ。その女も私を見て「!?」という顔をした。
お互い立ち止まらんばかりに歩調を緩めて、慎重に相手の出方をうかがった。
絡み合う目線と目線。まとわりつく夏の熱気。そして世界は二人を取り残して空白となった。
・・・結局、どっちとも諦めた。
何事もなかったようにすれ違う女と女。
うむ、どなたか存じませんが賢明な対応だ。世の中、触れちゃいけねえこともある。
そうなのだ。痒いからといって掻き毟ってしまうと、むしろ傷跡は広がるばかりだ。
うぉっと。何か私ってば期せずして名言ぶっこいちゃってない!?
とまあ、こんなロンリーコントを思い浮かべながら美容院に着いたわけさ。
そしてナヨっちい美容師にケラスターゼトリートメントを施されている時、ハッと閃きが私を襲った。
「あれ・・・キョンキョンや」
そーゆーことである。知り合いでもなんでもなく小泉今日子さんだったのだ。
はぁ、私って記憶力の問題以前に、どうやら認識力に著しく問題ありなんかもしれんな。
てか、フツーに銀座とか歩くなよ、ゲーノー人!そして、フツーに見つめ合うなよ、アタイと!
これ以上私の忘れん坊将軍っぷりが悪化したら、
大流行した「脳を鍛える大人の計算ドリル」でも古本屋で購入するとしよう。(←遅っ)
私は決して記憶力は悪くないのだが、どーにもこーにも人の名前と顔が覚えるのが苦手のようだ。
とか書くと、私のことをすげーダラしなくって、冷たい女だと思う方もいらっしゃるかもしれん。
確かにわしは街中のベンチで横になって大いびきかくほどダラしないし、
泣いてすがる男を無表情でドブに放り投げるほど冷たい人間やからしゃーないけどな。ふっ。
しかし顔と名前を覚えられないと気まずい経験が多くなるのも、これディスティニー。
例えばこうだ。
とある昼下がり、営業の帰り道で飯田橋の歩道橋を歩いていたM嬢。
商談は鬼のように冴えまくり、大型契約をゲッツ。そして今宵は合コンだ。ついつい歩道橋でスキップ&ターン。
そんな私の軽やかな足取りをとめる中年男性。
「Mちゃん、久しぶり。いやー、元気だった?」
・・・誰やこのおっさん。
いや待て。この中肉中背で下がり気味の眉は確かに私の過去のどこかにソフトタッチしている気配はする。
そんな心の狼狽はひた隠しにして、デキる大人としては「いやいや、本当ですねえ。いつ以来ですかねえ?」
と過去の接触を慎重にリサーチするべく無難な質問を試みる。
「うーん、4年ぶりとかかな」
ちゃうやろ!そんなスっとぼけた答えやなくて、場面を聞きたいんじゃー。この猫背オヤジ!
私はそのおっさんの正体を探ろうと、過去の数々のグローバルな自分の活躍場面を思い起こした。
チェンマイの奥地で香ばしい草を密売していた時の卸業者だったか、
はたまたドバイで40カラットのルビーの指輪を購入した時の宝石商か、
あるいはスイス銀行でダーティーマニーをロンダリングした時の仲介屋か・・・。
・・・あかん。
この青山の2パンツスーツを着ているようなおっさんからは私の過去の栄光の匂いは微塵も感じられない。
そして、一通り何の手がかりも提供しないような世間話をしたおっさんは、水道橋方面に去っていった。
ま、ええか。
何事にも執着を見せないのもまたオトナの証。
そのおっさんのことはぺろ~んと記憶から抹消し、私はまた今日の合コンの秘策を練り始めた。
※だいぶ経ってから思い出したんだけど・・・。たぶん、あのおっさんは私のイトコだかハトコだ。
確か40歳過ぎても独身でお見合いパーチーに通い続けていた「何とかニイチャン」や。
だって、しゃーないやん!M一族ってば数が多すぎて全然誰が誰かワッカんな~いんだもん。
いやー・・・あの人、まだ独身なんかなあ?
またとある時はこうだ。
夕暮れの銀座を歩いているM嬢。初夏の昼の終わりと宵の始まりが絶妙にブレンドされた心躍る時間。
今夜のファイト一発のデートのため、美容院に向う私はすれちがう女を見て「!」と思った。
明らかに知っている人だ。その女も私を見て「!?」という顔をした。
お互い立ち止まらんばかりに歩調を緩めて、慎重に相手の出方をうかがった。
絡み合う目線と目線。まとわりつく夏の熱気。そして世界は二人を取り残して空白となった。
・・・結局、どっちとも諦めた。
何事もなかったようにすれ違う女と女。
うむ、どなたか存じませんが賢明な対応だ。世の中、触れちゃいけねえこともある。
そうなのだ。痒いからといって掻き毟ってしまうと、むしろ傷跡は広がるばかりだ。
うぉっと。何か私ってば期せずして名言ぶっこいちゃってない!?
とまあ、こんなロンリーコントを思い浮かべながら美容院に着いたわけさ。
そしてナヨっちい美容師にケラスターゼトリートメントを施されている時、ハッと閃きが私を襲った。
「あれ・・・キョンキョンや」
そーゆーことである。知り合いでもなんでもなく小泉今日子さんだったのだ。
はぁ、私って記憶力の問題以前に、どうやら認識力に著しく問題ありなんかもしれんな。
てか、フツーに銀座とか歩くなよ、ゲーノー人!そして、フツーに見つめ合うなよ、アタイと!
これ以上私の忘れん坊将軍っぷりが悪化したら、
大流行した「脳を鍛える大人の計算ドリル」でも古本屋で購入するとしよう。(←遅っ)